従来のビニールハウスが抱えていた生産性と収量という二つの課題を解決するためにドリームフィールドを導入したと語ってくれたのは、京都府城陽市でミニトマトの栽培をしている北澤良祐さん。導入後、1作目を行っている現場へ行きインタビューをさせていただきました。(2020年10月7日取材)

所在地等
京都府城陽市 北澤農場
面積
約40a(うちドリームフィールド20.2a)
栽培作物
ミニトマト

従来のビニールハウスの生産性に限界を感じた

これまで一般的なビニールハウスでミニトマトの養液栽培をしてきましたが、ビニールハウス内の温度や湿度、培地の水分量といった環境を制御することがしにくく、高い収量を得ることが難しいのが実情でした。また、例えば夜間に大雨が降ったら車で出かけていくなどの不自由さも感じていました。

環境制御で収穫量アップに挑戦

こうした課題を解決しようと、特に収量の向上を狙ってICT(情報通信技術)などのスマート農業を使った環境制御システムの導入を考えました。しかし、既存のビニールハウスでは導入したいスマート農業システムが対応しないことから、新型ビニールハウスの新築に踏み切ったのが経緯です。最も重視したのは経済性で、建設コストを抑えながら最新のスマート農業システムを入れられる機能性も不可欠。それを両立できるビニールハウスがドリームフィールドでした。

低コスト!涼しい!収量5割増し

稼働してから1作目ですが、これまでのビニールハウスと比べて明らかに生育がいいですね。まず、定植後の根の活着が良かったです。天窓が両側に大きく開くので、ビニールハウス内の熱が抜けやすく、この夏は「とにかく涼しい!」と実感しています。これまで10a収量は10t程度でしたが、今作は15tを見込んでいます。作物にも、働く人にも優しいこのビニールハウス、もう片側天窓のビニールハウスには戻れないです(笑)

立地に応じて規模を設定

ドリームフィールドは間口(幅)8m×奥行4.5mが標準仕様となっていて、建てようとする立地にうまく合うかどうかが決め手となりますね。私は当初、8連棟で建てたかったのですが、立地条件から7連棟になりました。低コストと耐候性、ICTの活用を条件とする京都府の補助事業を受ける要件に合致しているのも決め手となりました。

北澤良祐さんが導入するビニールハウス

ドリームフィールド
低コスト耐候性ビニールハウスのNewモデル

ドリームフィールドは、幅広い栽培に選ばれてきた丸型ハウスD-1と屋根型ハウスのメリットを併せ持つ高性能ビニールハウスです。ビニールハウスの間口・柱高・奥行きを標準化、一定基準の強度を保ちながら、部材数の削減を行うことでビニールハウスのコストダウンを実現。さらに、オランダ式高軒高のビニールハウスと同等水準の採光性を兼ね備えています。

特徴でもある開口部104cmの天窓は、真夏の高温を軽減させ、作物にも人にも快適な「涼しく」「明るい」優れた栽培環境で多収を実現します。新規就農者、企業の農業参入、ハウス増設をご検討中の方々にビニールハウスの価格や建設プラン、栽培開始後の事業プランまでトータルでご提案いたします。
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北澤良祐さんが導入するスマート農業製品(内部設備)

自動潅水システム AQUA BEAT Ex
多彩な灌⽔設定で作物に最適な栄養供給をサポート

アクアビートは、時間・流量・⽇射※1から、お客さまの栽培⽅法に合わせて理想の灌⽔制御が⾏えます。1系統ごとに灌⽔量と肥料倍率の設定もができ、お客さまのこだわりの栽培を実現します。

これまで熟練の経験を持った⽣産者でなければ、最適な灌⽔を⾏うことが困難でした。しかし、アクアビートなら灌⽔量・排液量※2の記録ができるので、データをもとにした持続的な栽培が可能です。

エアロビート、スラブサイトを同時に活⽤することで、⽇射・気温・湿度・灌⽔量・地上部と地下部の栽培環境の⾒える化を可能にします。導⼊後のサポート体制も整っているので安⼼して栽培を⾏えます。
※1:⽇射制御は別途指定センサが必要です。
※2:排液量計測は別途指定センサが必要です。
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培地重量センサ Slabsight
培地内の見える化で最適な栄養供給を実現

スラブサイトをビニールハウス内の培地の下に設置することで、作物への水分不足ポイントが一目でわかります。栽培水分量が見えることで、栽培の振り返りをすることができ、安定した作物の成長をサポートします。また、過去のグラフデータを振り返ることで、栽培管理者の栽培力向上と後継者育成にも役立ちます。

エアロビート、アクアビートを同時に活⽤することで、⽇射・気温・湿度・灌⽔量・地上部と地下部の栽培環境の⾒える化を可能にします。
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ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイント

個人の新規就農や企業の農業参入で施設園芸の分野で農業をはじめる場合に、ビニールハウスの建設は不可欠です。しかし、ビニールハウスと一言に表現しても種類や規模、導入する設備によって金額感が大きく変動してきます。

こちらでは、お客さま事例の北澤さんのように栽培を行うために、ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイントをご紹介します。

知っておきたいポイント➀ビニールハウスの構造体

ビニールハウスの価格は、建設面積の大型化や、軒高(柱高)が高くなることによって、ビニールハウス価格が上がる傾向にあります。それに加えて、風速や積雪等の厳しい地域では、土地環境に耐えうる構造体で設計されるためにさらなるコストアップとなります。

ビニールハウス価格を抑える際は、ビニールハウスの性能を損なわない形で、用地に基づく合理的な設計をすることで金額抑制に繋がります。弊社はお客さまの予算、栽培作物、栽培方式、土地環境をもとにビニールハウス1万棟の建設実績から仕様やビニールハウス建設プランをご提案いたします。

知っておきたいポイント➁被覆材

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの1つ目として被覆材があります。ビニールハウスの被覆材は農業用ビニール(農ビ)、ポリオレフィン系フィルム(POフィルム)、硬質フィルムなどがあり、耐用年数や製品特性に応じてフィルムの選定をします。性能や耐久性の高い製品を展張の場合、フィルムそのものの価格とともに、施工方法に伴う資材や工事費も高価となります。

耐用年数3~5年の被覆材と15年以上の長期展張型フィルムを比較すると、 100万円以上の価格差が生じるケースもあります。そのため、立地条件、栽培作物、栽培スケジュール、ご予算などから、お客さまにとって最適な性能(耐用年数、厚み、保温性、透光率、波長、流滴性)の被覆材をご提案いたします。

知っておきたいポイント➂内部設備

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの2つ目としてハウス内部設備があります。ハウス内部設備は選択する仕様によって、ビニールハウス本体の価格と同程度またそれ以上の価格になることもあります。

遮光や保温を行う内張りカーテン装置、ビニールハウス内の温度管理を行うための暖房設備やヒートポンプ設備、ハウス内の温度環境の均一化を目的とする循環扇などの空調設備、炭酸ガス施用設備、環境設備や潅水設備など、設備仕様は多岐にわたります。内部設備の選定に関しても、ビニールハウス建設実績1万棟以上の知見を活かして、栽培作物と目的に適したビニールハウスの内部設備をトータルでご提案いたします。

新規就農者を助ける支援制度

認定新規就農者制度

認定新規就農者制度とは、これからの農業を支える新規就農者を増やし、安定的な新規就農者を地域農業の担い手として育成することを目的にしています。新たに農業を始める方が作成する青年等就農計画(事業計画書)を各市区町村が認定し、認定を受けた方に対して、早期の経営安定に向けた措置を集中的に実施する制度になります。

認定新規就農者を取得することで、独立して農業を始める際に必要な設備や機械の初期投資資金や所得確保の給付金等の支援策が優先して、取得できる等のメリットがあります。

認定を受けることで得られる支援を下記でご紹介します。
認定新規就農者制度を知る

青年等就農資金

青年等就農資金は、新たに農業経営を開始する新規就農者を対象に、国が無利子で資金を融資する制度になります。実際には国の出資金をもとに、株式会社日本政策金融公庫が融資に関する審査及び諸手続きを行います。

対象となる条件として、認定新規就農者として市区町村から認定を受けた青年(原則18歳以上45歳未満)、効率かつ安定的な農業経営を営むために活用できる知識・技能を有する65歳未満、これに該当する人が役員の過半数を占める法人、農業経営を開始してから5年以内の方も対象になります。

青年等就農資金の融資限度額は3,700万円(特認1億円)になります。利子は返済終了まで無利子であることも新規就農者にとって、力強い支援制度です。返済期間は12年で、据置期間は最大5年以内と設定されています。資金の使い道も幅広く活用可能であり、施設・機械の導入費や農地の借地料・機械のリース料に関する一括支払いなどでご活用いただけます。
青年等就農資金を知る

経営開始資金

新規就農者育成総合対策「経営開始資金」(旧 農業次世代人材投資資金)は、経営を始めて間もない時期の所得を確保したい方におすすめです。

制度内容としては、規定の要件を満たす認定新規就農者に対して、経営開始から最長3年間、月12.5万円(年間最大150万円)の給付になります。要件としては、就農時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者であることなど5項目を全て満たす方が対象となります。

夫婦ともに就農する場合(家族経営協定、経営資源の共有などにより共同経営者であることが明確である場合)は夫婦合わせて1.5人分の交付も受けることが可能です。また、複数の新規就農者が法人を新設し、共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円を交付される制度です。
経営開始資金を知る

経営発展支援事業

経営発展支援事業は、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、経営発展のための機械・施設等の導入を地方と連携して親元就農も含めて支援する制度になります。

新規就農をされる方に機械・施設等の導入にかかる経費の上限1,000万円(経営開始資金の交付対象者は上限500万円)に対し、都道府県支援分の2倍を国が支援する取り組みになります。

対象となる条件としては、認定新規就農者として市区町村から認定を受けた独立・就農時の年齢が49歳以下であるほか、就農における事業計画書である青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている方になります。

経営発展支援事業は、補助対象事業費上限1,000万円のうち県支援分の2倍を国が支援する内容です。補助率の例として、国が1/2、県が1/4、本人1/4になります。1,000万円の施設や機械導入費が1/4に抑えられること、助成対象も幅広い用途で活用できることから新規就農者が苦労する資金確保を解決する可能性のある力強い制度です。
経営発展支援事業を知る

イノチオアグリは新規就農・農業参入を支援します

イノチオアグリについて

イノチオアグリは施設園芸(農業ハウスやビニールハウス)に携わり、50年以上の知見がございます。50年以上に渡り、培ったノウハウを活かし、新規就農・農業参入を計画段階からご支援しております。お客さまのご要望や条件に基づいて農場を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算までの事業計画の策定をお手伝いします。 さらに、圃場研修や専門指導員によるサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。

イノチオアグリが行う新規就農支援とは?

新規就農は一次産業ですが、会社を興すことと何ら変わりません。新規就農後の農業経営を行うための経営資源である資金確保や経営、営農技術の習得からビニールハウス・機械などの経営基盤構築が必要になります。新規就農には、十分な事前準備が不可欠です。

弊社は新規就農までの課題である、就農計画の提案や新規就農で活用できる融資制度のご紹介、就農までに必要な事業計画書作成支援やビニールハウスの図面、概算見積をトータルで支援いたします。ご要望ございましたら、下記お問い合わせからお申込みください。