本業とは別に収入やスキルを得られる、副業。

本業でデスクワークをする傍ら、自然に触れたいという気持ちから農業を副業として選ぶ方が増えています。

今回は、そんな「副業としての農業」をはじめる方法や、副業におすすめの作物などを解説します。

副業で農業はできる?

副業で農業をすることは可能です。

他に仕事をしながら農業を営む「兼業農家」の数は、農業を本業にしている人の約2倍とも言われています。

しかし、会社員と公務員では副業をするための条件が異なります。
まずは、副業での農業を検討する前に抑えたいポイントについてご紹介します。

公務員も副業できる?

一般に、副業禁止とされているイメージのある公務員ですが、近年は副業として農業に従事することを認められるケースが増えています。

地方自治体の職員は、法律で「任命権者の許可を受けなければ(中略)報酬を得て事業や事務に従事してはならない」と規定されています。
つまり言い換えれば、許可があれば副業が可能ということです。

農業は国に欠かせない産業であり、人手不足の課題を抱えていることから、他業種と比較して許可が下りやすい傾向にあります。

副業の目的はあくまで地場産業の保護や地域貢献につながる活動で、副業で扱える品目や働く期間を特定する自治体もあります。副業である以上、本業に支障をきたさないことが原則ですが、労働時間は国家公務員の兼業規定に沿って週に8時間以内、月に30時間以内を上限とし、報酬は「社会通念上、相当と認められる程度を超えない額」としています。

就業規則の確認を!

会社員の場合は法律による規制はありませんが、就業規則に従って副業を検討しましょう。

農林水産省によると、副業農業は「年間60日以上農業を行っている65歳未満の世帯員(世帯主と生活・生計を一緒にしている人)」と定義されています。 つまり、会社員の方は年間60日以上農業を行い収入が発生した際に副業となります。

そもそも会社が副業を許可しているのか、本業に支障のない範囲で副業ができるのかを事前に確認しておきましょう。

副業として農業をする5つの方法とは

副業として農業を行う5つの手段を解説します。

週末農業

平日は本業に従事し、本業が休みとなる週末のみ農業を行うことを週末農業といいます。副業として農業をはじめやすい、おすすめの方法です。

基本的には、低コストで農業を行えるメリットがあります。週末農業では、次にご紹介する市民農園やシェア畑などを利用するケースが多いです。

市民農園

市民農園とは、農地のレンタルを行っている農園のことです。
利用者は、月額もしくは年額料金を支払うことで、指定された農地をレンタルでき、そこで作物を栽培することができます。

市民農園の中には、農具を用意してくれるところもあるので、手軽に農業をはじめることができます。

シェア畑

シェア畑とは、農地を共同利用している畑のことです。
所有者の高齢化や人手不足など、様々な理由で使われなくなった畑を有効利用するために考案されました。

利用するには、多くの場合月額料金を支払います。中には、農業について全面的にサポートしてくれるシェア畑もあり、初心者でも安心して利用できます。

家庭菜園

農業ができる土地を所有しているなら、家庭菜園がおすすめです。
家庭菜園なら、農地に行く時間や場所確保のための追加コストがかからず、ある程度自由に農業をすることが可能です。

しかし、作物や農機具などの資材の用意や農地の管理を自分で行う必要があり、農業初心者にとっては収益を上げることが難しい場合もあります。

半農半X

半農半Xは、自分や家族の食料は自分で栽培するという農業の形です。
自分で食べる分の食料を栽培する傍らで、会社員や自営など形態を問わず他の場所で働くことを「X」と表現しています。いわば、兼業に近い副業の農業です。

余った作物を販売すれば、現金収入を得られることもあります。

農業の副業におすすめの栽培作物を解説!

副業としての農業で栽培する作物は、「手間」「単価」「作付面積」の3つに注目して選ぶことをおすすめします。

副業で農業をする場合は大量生産が難しいため、利益を出すには作物の選び方が重要なポイントとなります。

手間がかからない作物

手間のかからない作物として、根菜類の野菜が挙げられます。水やりの頻度や肥料が少なくて済むことや、収穫タイミングが長いといったメリットがあり、栽培の手間を省くことができます。

例として、以下のような野菜がおすすめです。

  • ジャガイモ
  • さつまいも
  • 里芋
  • しょうが
  • ビーツ

これらは、種芋を植えれば土の中で育つため、手間のかからない作物と言えます。

単価が高い作物

単価が高いのは、「ミョウガ」「タラの芽」「アスパラガス」です。

ミョウガは病気や害虫になる可能性が低く、毎年収穫することができます。
ネット販売では、1キロあたり5,000円以上で販売されているものもあります。

タラの芽やアスパラガスも単価が高く、栽培にも大きな手間がかからないため、おすすめの作物です。

狭い面積で栽培できる作物

レンタル農園などでは、使えるスペースが少ないことで悩んでしまう場合があります。

狭い作付面積で栽培できる作物として、「ナス」や「トマト」があります。
これらの作物は、1つの苗から複数の実を収穫できるという点もおすすめの理由のひとつです。

副業の農業での販売方法はどうする?

農業で収入を得るためには、収穫した作物を販売する必要があります。

収穫した作物を販売する手段として、次のような方法があります。

直売所

直売所とは、作物を直接販売する場所のことです。町で指定された場所や道の駅などにあります。

直売所では、販売者が売る作物や価格設定をある程度自由に決めることができます。
ただし、直売所の利用料を支払う必要があるため、あまりに低い価格に設定してしまうと赤字になる可能性もあり、注意が必要です。

JA(農協)

収穫した作物をJA(農協)に販売するという方法があります。

JA(農協)では決まった価格で販売ができるため、安定した収入を得ることが可能です。ただし、形や大きさといった一定の基準を満たしていないと販売できないデメリットもあります。

一定の基準を満たしたものはJA(農協)で、それ以外は直売所で売るなどの工夫も必要です。

ネット販売

ネットショップやフリマアプリなど、インターネットを通じて、作物を販売する方法もあります。ネット販売の場合、全国の多くの人に販売することが可能となるため、商機は拡大します。

また、近年ではSNSを駆使して知名度を上げ、売上増に繋げている人も多くいます。

副業で農業をするメリットとは

ここからは、副業として農業を行うメリットをご紹介します。

新鮮な野菜・果物を食べられる

副業で農業を行えば、自ら収穫した新鮮な野菜を食べることができます。自分で作った野菜を食べるという感動を味わえるのは、農業ならではの醍醐味といえます。

また、野菜の購入費も抑えることができます。

自分のペースで農業をはじめられる

副業の農業は、主軸の収入となる本業があるため、農業で稼がなければならないというプレッシャーがありません。本業が休みである週末だけ稼働するなど、自分のペースで農業を始めることができます。

肉体的・精神的に余裕を持ちながら楽しめるのも、副業を農業にする魅力です。

ビジネスとして確立できる可能性がある

副業としての農業は、趣味として細々と農作物の販売を行うだけが道ではなく、大きなビジネスとしてスケールアップできる可能性もあります。

そのためには、農業技術・知識だけなく、経営に関しても十分な知識をつけておく必要があります。
起業したい場合は、まずは収穫が軌道に乗り十分な収益が発生してから検討してみましょう。

副業で農業をするデメリットとは

次に、副業として農業を行う際のデメリットについて解説します。

初期投資が必要

副業として農業で収益をあげるためには、農地や農機具、人員などの準備のため、高額な初期費用が必要となります。これに加えて維持費なども発生するため、計画的な準備が不可欠です。

国や市町村が農機具や設備に対する補助金・助成金などを用意しているため、利用できるものがないか確認してみるのもおすすめです。

定期的な手入れが必要

農作物は、変化する環境の中で常に成長するため、定期的な作業が必要です。
作業をする際は、水は十分か、雑草が生えていないか、害虫や病気などが発生していないか、といった細部にまで気を配る必要があります。

また、収穫時期が早すぎたり遅すぎたりすると、市場のニーズに合わなかったり品質が落ちたりして、希望する価格で販売できない場合があります。そのため、収穫のタイミングには特に注意が必要です。

本業が忙しい方は、前述で解説した根菜類など、できるだけ手間のかからない農作物を選択するとよいでしょう。

農業を副業にするときは確定申告を忘れずに!

雇用先から支払われる給与については、企業側が年末調整を行なうため、確定申告は基本的に必要ありません。
しかし、農業などの副業で年間20万円以上の収入が発生した際は、確定申告が必要です。

農業の所得は事業所得に分類され、計算方法は次の通りです。
〈総収入金額−必要経費=所得金額〉

収入が発生した翌年の2月16日から3月15日の間に、必ず確定申告を行いましょう。

また、例え副業の年収が20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。
収入があった翌年の3月15日までに区役所の税務課で申告を行いましょう。

関連記事:農業経営における確定申告の重要性とは?経費や必要書類を徹底解説

隙間時間で農業!農業マッチングサイトの利用もおすすめ

「もっと手軽に農業を体験したい」という場合は、土日や1日だけなど、隙間の時間で農業に取り組むことができる農業マッチングサイトやアプリの活用もおすすめです。

近年では、時代の変化にともなってさまざまな農業マッチングアプリ・サイトが誕生し、手軽に農業バイト求人の掲載・応募ができるプラットフォームを提供しています。

アプリ・サイトによって、1日だけの単発バイトをメインに取り扱っていたり、特定の地域の求人に特化していたりと、取り扱っている求人の特色が異なります。
さまざまなアプリ・サイトの特徴を比較し、自分の希望と合うものを選ぶのがよいでしょう。

参考リンク:ジモベジワークス「農業マッチングアプリ・サイト8選!農家のお手伝いバイトで人手不足を解消」

イノチオアグリは農業への一歩を応援します

ビニールハウスにたずさわり50年以上の歴史を持つイノチオアグリは、「農業総合支援企業」として、数多くの方の農業のスタートをご支援してきました。

農業を開始するにあたり必須となる農地や資金の準備、栽培技術のサポートだけではなく、ビニールハウスの設計と建設、収支計画の試算に基づく作物や栽培方法のご提案など、お客さまの農業を総合的に支援いたします。

農業を新たにはじめる際のお悩みは、ぜひ当社へご相談ください。
お客さまひとりひとりの状況に合わせ、就農前に必要な準備のサポートをはじめ、農業開始後も経営安定に向けてサポートいたします。