埼玉県鶴ヶ島市で農福連携でのイチゴ栽培に取り組むカウベルいちご園さま。運営を行う「NPO法人パン工房カウベル」は約20年前に設立され、今では約50名の利用者さんが働いています。今回のインタビューでは、農福連携でイチゴ栽培を選んだ理由とビニールハウスや灌水制御システムをはじめ、実際にイノチオアグリの製品を使用して実感する良さについてお話しいただきました。

所在地等
埼玉県鶴ヶ島市
栽培作物
イチゴ

NPO法人パン工房カウベルについて

NPO法人パン工房カウベルが設立されたのは、約20年前のことです。現在の代表がパンの製造を始め、そこから2人の障がい者の方を雇用してスタートしました。その後、20名の利用者さんを迎え入れ、現在では約50名の利用者さんが働いています。

当初の仕事の内容はパンの製造と鶴ヶ島近隣の方々へのパンの販売をしていました。また、内職としてタオルを畳む仕事も行っており、これは現在も続けています。

そして、9年前にこのイチゴ園を完成させました。当初は10アール(約300坪)でしたが、移設に伴い今では500坪(約16アール)に拡大して、イチゴの株数も6,200株から1万株に増やしています。

“できる”をつなぐ農園 誰もが活躍できる場所へ

ここで働く利用者さんは知的障がい、身体障がい、精神障がいの3つに大きく分かれます。手や足に障がいがある方には、主に販売などに当たってもらっています。軽い知的障がいや精神障がいの方には、私と一緒にイチゴの収穫を行い、収穫したイチゴをパックに詰めて販売所に持っていく作業から販売まで行っています。

能力的に難しい作業がある方には、農園の掃除を担当してもらっています。掃き掃除やテーブルの拭き掃除など、清潔できれいな農園を保つには毎日の掃除が欠かせません。多種多様な作業を通じて、利用者さんが働く喜びを感じてもらえるように心がけています。

“喜び”を育てるいちご園 就労支援B型施設の取り組み

就労支援B型の施設として、ここカウベルいちご園は鶴ヶ島界隈にある約7つの障がい者施設の一つです。農業に取り組む多くの施設が大根やきゅうりなどの野菜作りを手掛けていますが、私たちの代表は利用者さんやお客さんが喜ぶものをと考えイチゴを選びました。

他の農家さんに負けない甘くて良いイチゴになるようにじっくり手をかけて作ることが、私たちの施設の強みであり醍醐味です。

農業未経験からの挑戦 甘くて美しいいちごを目指して

私は、いちごファームKumagayaで1年間修行をして農業の経験がない中で多くのことを学びました。特に苗の生育が一番苦労しました。生育状況によってイチゴが腐ったり、株が倒れたりすることがあり、どうすれば正常なイチゴを育てられるかを学びました。

そのために環境を整え、甘さを出すことが目標でした。大きさと甘さ、そして色付きの良いイチゴを育てるために多くの試行錯誤を重ねてきました。今年で9年目になりますが、味も形も良いイチゴを作れるようになってきました。まだ課題はありますが、一応の通過点に達したと感じています。

高設栽培と屋根型ハウスで実現する、快適ないちご農園

屋根型ハウスを選んだのは、ドーム型や外の土耕と比較した結果です。いちごファームKumagayaで研修をしていた際に、イノチオアグリのビニールハウスを建てることを強くすすめられました。

屋根型ハウスの利点は、雨風に強いことです。雪に対しては保険に入っていますが、雪が降った際には暖房で雪を溶かす機能も備えています。また、天井が広く空間があるため、利用者さんが働きやすい環境が整っています。高設栽培により汚れにくく、管理が非常にしやすい点も魅力です。

困ったときにすぐ頼れる、心強いイノチオのサポート体制

現在、営業の方と営農支援の方、ハードとソフトの両面でサポートをいただいています。困った際にも電話一本で迅速に対応してくれて、メンテナンスも非常に丁寧に行ってくれ、雨漏りなどの問題が発生した際には、すぐに駆けつけていただけるので非常に助かっています。また、お二人からいただく情報は非常に濃く、栽培に関することや他の農園の最新システムなど、貴重な情報を提供していただいています。

精密な灌水管理を実現できる「アクアビート メビウス」

以前のアクアビートから使用していますが、製品としての魅力は株あたりの肥料の量や濃度を数値で簡単に調整できる点です。この2点が最大の魅力です。

今年、ハウスを建て替えた際に、イノチオアグリさんから新しい「メビウス」の紹介を受けました。新型のメビウスの特長は、EC(濃度)を画面上で設定できることです。以前は液肥の濃度を手動で測定していましたが、メビウスでは0.1段階で設定できるため、作業の手間が大幅に省けました。さらに、pHも一目で確認でき、廃液カウンターも画面上で履歴として確認できるため非常に便利です。これらの理由から、メビウスへのアップグレードを決めました。

アクアビートメビウス導入で変わる!イチゴ栽培のEC管理

アクアビートメビウス導入以前は、EC濃度を毎日測定していました。特に定植後は、1日2回から3回測定していました。ある程度育ってくると、1週間に2回程度になりますが、定植後は毎日の測定が重要です。

アクアビートメビウスを導入してEC制御が可能になったことで、時間の短縮ができました。以前は各チューブから2〜3カ所の検体を取り、全て測定していましたが、今では一目瞭然で数値が分かるようになり、大きな進歩です。

また、イチゴがどれくらいの濃度を必要としているかをタイムリーに把握できるようになりました。人間が空腹を感じたらすぐに食事を取るように、イチゴも必要な時に適切な量の肥料を与えることが重要です。これがタイムリーにできることは、イチゴにとって大きなメリットです。

使い方についても1から10まで丁寧に教えていただきました。設定も営農支援の方が行ってくれており、メビウスのEC設定やアクアビートの設定も今まで通りなので、操作に関してサポートしていただいて助かっています。

カウベルいちご園の挑戦 PB商品で広がる“イチゴ”の可能性

今後、カウベルいちご園を確立するためには、ただ生産して販売するだけでは行き詰まってしまうかもしれません。そこで、プライベートブランド(PB)商品を作ることを代表とともに考えています。

例えば、イチゴ加工品として、第6次産業が注目されている中で、アイスクリームやかき氷、ジャム、パンに練り込むなど、様々な方法があります。現在、試行錯誤しながらカウベル独自のイチゴを使った商品を確立していきたいと考えています。

カウベルいちご園さまも導入するおすすめ商品
自動灌水制御システム「アクアビートメビウス」

EC・pHの濃度ムラを軽減して品質と収量を向上させる

アクアビートメビウスは、通常のアクアビートの制御機能に加え、EC・pH・日射での制御が可能です。さらに、AIが設定したEC・pH値に応じて最適な肥料混入量を学習・制御します。新開発の「メビウスユニット」はインラインミキシング方式を採用し、液肥の濃度ムラを抑えるだけでなく、系統ごとの濃度調整にも対応しています。

イノチオアグリは農業参入を応援しています!

イノチオアグリはビニールハウスに携わり、50年以上の知見と全国1万棟以上の建設実績がございます。培ったノウハウを活かし、企業の農業参入における計画から計画生産や労働生産性を考えたビニールハウス設計、建設をトータルでご支援しております。

お客さまのご要望や条件に基づいて、事業計画を立案し、ビニールハウス、内部設備を設計し、栽培方法や作業計画の立案を伴走いたします。

さらに、圃場研修や専門指導員による就農後のサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。