トマト栽培を検討されている方、すでに情報収集をされている方へ、ビニールハウス(園芸用ハウス)を活用した施設園芸でのトマト栽培についてご紹介します。トマト栽培の基本的な情報をはじめ、どのようなビニールハウス(園芸用ハウス)がおすすめなのか、あると便利な設備についてなど、幅広く解説しています。

トマト栽培のポイント5選!

作物ごとに栽培に適している環境があります。良い品質の作物を栽培するには、ポイントを抑えておく必要があります。まずはじめに、トマト栽培のポイントについてご紹介します。

ハウス内に十分な日光を確保する

トマト栽培には、外から降り注ぐ十分な日光が不可欠です。日照が不足すると茎や葉が「徒長(とちょう)」と呼ばれる細く長い状態になってしまうだけでなく、果実の成長にも悪い影響を及ぼします。

ビニールハウス(園芸用ハウス)を建てる際にも、周りが森や林に囲まれた影の多い農地ではなく、一日中よく日が当たる場所を選ぶようにしましょう。

加湿な状態を避ける

トマトは、水分が多い土壌環境を好みません。排水の悪い土壌で栽培をすると、生育不良や根腐れ・病気になるリスクがあります。農地選びの際は、上記で説明した日当たりだけでなく、土壌の性質についても注意しましょう。

連作障害から守る

トマトは、同じ区画で栽培を繰り返すと、土壌病害が蓄積し続けることで「連作障害」が起こりやすい作物です。

対策としては、毎年同じ場所でトマトばかり育てないようにし、他の作物と輪作するか、どうしても同じ場所で作る場合には土の消毒や接ぎ木苗の利用など対策を行いましょう。

また、土耕栽培による連作障害を避けるという目的でコヤシや化学繊維で作られた培地を使用した栽培もおすすめです。

トマトに適切な温度を保つ

トマトの適温は日中20~25℃、夜間10~15℃程度とされています。この環境に近づける事が栽培を行う上で重要になりますが、近年の異常気象環境下では適温を維持する事が難しくなってきています。

特に、夏と言われる温度帯が4月~11月くらいまで延びてきています。そのため、温度を下げるために遮光カーテン、塗布剤、ミスト、冷房などで環境を適温に近づける、植物自体をそのようなストレス環境でも強くするための資材を活用する必要が出てきています。

芽かき・葉かきをこまめに行う

トマトは、小まめに手入れを行わないと枝葉が生繁ってしまうため、芽かきや葉かきなどの手入れを定期的に行う必要があります。不要な脇芽や下葉は早めに摘み取り日当たりや風通しを確保することが、品質・収量の確保に影響してきます。

着果した実の数が多いから良いのではなく、小さな実や変形した実を適切に処理することで、他の果実に栄養が行き渡るようになります。

ビニールハウスでトマト栽培をするメリット

ビニールハウス(園芸用ハウス)とは、鉄骨やパイプを骨材に使い、フィルム素材で空間を覆った栽培施設のことです。トマト栽培だけに限りませんが、作物をビニールハウスで育てることにはさまざまなメリットがあります。

天候の影響を受けにくい

風や雨は、トマトの茎や葉を傷つけたり、果実の表面に損傷を与えたりすることで、商品としての価値を下げてしまいます。さらに、これらの損傷が原因で病気が広がる可能性もあります。しかし、ビニールハウス(園芸用ハウス)を利用すれば、外部環境からの風雨の影響を防ぐことができ、こうした被害を大幅に軽減することが可能です。

病害虫の被害を受けにくい

トマトには、さまざまな病気や害虫が発生するリスクがあります。主な病気には疫病、葉かび病、斑点細菌病、青枯病などがあります。また害虫ではアブラムシ、コナジラミ、オオタバコガ、ハモグリバエなどが代表的です。これらの病害虫の発生は、収穫量の減少や品質の低下につながります。これらの被害を抑えるためにも、外部環境と遮断されたビニールハウス(園芸用ハウス)での栽培は有効だと言えます。

このような病害虫の発生は、外から持ち込まれるか、適切な環境で栽培できていないといった原因が多いです。ビニールハウス(園芸用ハウス)で栽培しているからといって安心するのではなく、発生のリスクに備えた栽培管理が重要です。

関連事業:土壌分析・病害虫診断事業

環境制御・灌水制御ができる

トマトのビニールハウス栽培では、環境制御や灌水制御を行うことで、安定した生育環境を確保できるという大きな利点があります。温度や湿度、CO₂濃度、光量などを適切に管理することで、トマトの成長を促進し、病害のリスクを低減することが可能です。また、灌水制御により、根に最適な水分を供給しつつ、液肥を効率的に与えることで、品質の高い果実を安定して生産できます。これらの制御技術により、収量の向上、品質の均一化、省力化、さらには周年栽培の実現など、多くのメリットが得られます。

関連事業:スマート農業事業

ビニールハウス栽培でのトマトの作型を紹介

トマトは、日本全国で生産されており、地域によっては周年で栽培をされているメジャーな作物です。ここでは、トマトの主な作型=栽培方法についてご紹介します。

促成栽培

促成栽培は、加温したビニールハウス(園芸用ハウス)で栽培を行い、冬~春にかけて収穫を行う栽培方法です。比較的、高単価が期待できるケースがあります。

半促成栽培

半促成栽培は、促成栽培と比較すると加温は控えめです。主に春先に収穫を実施します。栽培から収穫まで、コストと収益のバランスが良い栽培方法です。

抑制栽培

抑制栽培は、暑さが増す夏に定植、秋に収穫を行う栽培方法です。高温障害や病害虫が発生しやすいため注意してください。

トマト栽培におすすめのビニールハウス

ここからは、トマト栽培におすすめビニールハウス(園芸用ハウス)と栽培事例についてご紹介します。

丸形ハウスD-1

丸形ハウスD-1は、全国的に目にするスタンダードなビニールハウス(園芸用ハウス)で、新規就農者から熟練の生産者まで幅広くご利用していただいています。

特長として、屋根の合掌にアーチ状のスチール角パイプを採用、採光性と耐久性に優れ、トマトをはじめ幅広い作物に対応可能です。側部谷部の巻き上げや自動天窓による換気も可能で、環境制御と連動した生産性向上にも期待できます。オプションで天窓、フッ素フィルム、骨材強化も選べます。

関連製品:丸形ハウスD-1

事例:梅村桂さん ミニトマト栽培

梅村さんは大学卒業後、就職した一般企業を退職し、研修を経て東京都日野市で農地を取得して新規就農されました。設立したネイバーズファームは、「街の行きつけ農園」をコンセプトに地域から愛される農園となっています。

丸型ハウスD-1は栽培しやすいビニールハウス
建設した丸型ハウスD-1は、通常仕様では天窓が付いていませんが、オプションで天窓を追加していただいた仕様になっています。

収穫したトマトの3割~4割は、流通業者を挟まずにビニールハウス横の自動販売機で販売をしています。
トマト業界は、自分の特徴を出していかないと売上を伸ばしていくことが難しくなっています。私は元々農家じゃないので、消費者としての意識が自分の中で大きく「消費者として何が欲しいか?」という視点で考えています。

関連事例:数字の記録がおいしいトマトにつながる 梅村桂さん

屋根型ハウス

屋根型ハウスは、丸形ハウスD-1と比較し広い栽培空間を確保できるため、よりトマトにとって最適な栽培環境を作り出すことに適したビニールハウス(園芸用ハウス)です。

80種以上の作物・8,000棟超の導入実績があります。建設方法によっては、積雪地域での栽培も可能となります。本体の間口・柱高を自由に選べ、土地形状に左右されず栽培面積を最大限確保できます。最大柱高4.0m・強度鋼材により誘引栽培にも対応しています。

関連製品:屋根型ハウス

事例:関健一さん ミニトマト栽培

関健一さん、約400年前から東京都清瀬市で続く農家の17代目です。水菜栽培のパイオニアと言われた父親から受け継ぎ、現在は水菜栽培だけではなく、新たに養液栽培によるトマト栽培にも取り組んでいす。

ビニールハウス性能が収量を決める
トマト栽培は収量の最大値がビニールハウス(園芸用ハウス)の持つ性能で決まると考えています。より器の大きいビニールハウスを建て、栽培環境を整えて収量を上げていきたいという思いから、イノチオの屋根型ハウスと栽培システムを導入しました。

屋根型ハウスは採光性に優れており、見るからにトマトが元気そうです。農業大国オランダで言われている「1%理論(採光が1%増加するこことで収量が1%増加)」なんてことも期待できるのではないかなと思っています。

関連事例:ビニールハウスの性能が収量を決める 関健一さん

高軒高ハウス サンタルーフ

サンタルーフは、高軒高ハウスとも呼ばれ、柱高最大6mの設計できます。屋根型ハウスと比べて、小さな屋型ハウスが連結している見た目の通り、建設面積と栽培空間を最大限に活かすことができるため、高品質・高収量の栽培に期待できます。1ha規模の大型菜園でのトマト栽培では、サンタルーフのような高軒高ハウスが採用されているケースが多いです。

屋根部材の小型化で採光性が高く、換気効率にも優れ、安定した栽培環境を提供します。トラス構造と複合部材により強度を高め、耐風速50m/s・耐積雪10〜20cm/㎡の高耐久設計です。

関連製品:高軒高ハウス サンタルーフ

事例:東馬場農園さん ミニトマト栽培

株式会社東馬場農園を運営する東馬場怜司さんは、農業系メーカーを退職後、地元の兵庫県神戸市でトマトとイチゴの栽培に取り組んでいます。

採光性十分!サンタルーフで生産性向上!
サンタルーフは2期目のハウスです。1期目のD-1ハウス以上の生産性を目指し、軒高が高く、ハウス内の空間も広いサンタルーフを提案していただきました。しかし、どれほどの採光性があるのか懸念があったので、愛知県で栽培をされている生産者さんの圃場へ視察に伺いました。実際に見てみると採光性も十分あり、これなら以前よりも生産性を上げられると思い導入を決めました。

サンタルーフでは、D-1ハウスと比較して同じ面積あたりで約1.3倍の収量があります。新規就農の方であれば、コスト面が第一です。初期投資とコストパフォーマンスを踏まえればD-1ハウスは、生産性やその他性能を含め魅力的なビニールハウスであることは間違いありません。
どちらが正解ということではなく、選ぶ方の経営方針によってどちらが有利なのか決まると考えています。

ビニールハウス選びのカギは「生産性とコストパフォーマンス」 株式会社東馬場農園さん

農業経営がはじめての方も営農支援の活用で安心!

新規就農や農業参入をした1年目は、上手く栽培ができるのか?品質のよい農作物を出荷して売上を出せるのか?など不安が付き物だと思います。

農業は、定植から収穫までの期間が長く、その期間に病害虫が発生するリスクも想定できます。その際に、適切な対応が取れないと品質や収量に大きな被害を与えるかもしれません。また、導入した機器も使いこなせるか?など多方面に不安を抱えて過ごすことになる場合もあります。そのような不安を払拭して、はじめての農業経営に打ち込める方法として、営農支援の活用をおすすめしています。

イノチオアグリの営農支援では、主要作物ごとに現場経験が豊富な社員がお客さまの栽培上の不安を解決します。
訪問サポートでは、専門スタッフが圃場へお伺いして、圃場の管理データと作物の状態や栽培管理・作業進捗・病害虫発生状況など目視での情報を合わせ、圃場運営管理のアドバイスをさせていただきます。
それ以外にも、メールにて各種調査データに基づいた情報提供と相談受付を行うWebサポートもご用意しています。訪問とWeb、ご自身の栽培技術や経営スタイルに合わせてお選びいただけます。

関連事業:営農支援事業

ビニールハウスでのトマト栽培に関するお悩みはプロへ相談!

今回のコラムでは、ビニールハウス(園芸用ハウス)でのトマト栽培を検討されている方、これから農業を始められる方向けに栽培のポイントやおすすめのハウスと設備についてご紹介しました。実際に具体的に検討をしていくと、今回紹介したこと以外いにもさまざまな課題が出てくるでしょう。そのような際には、イノチオアグリへ一度ご相談ください。施設園芸に携わり50年以上、農業の現場を知り尽くした社員がサポートさせていただきます。