新規就農の始め方|ゼロから農業を仕事にするための基本ステップ
農業に興味はあるけれど、「何から始めればいいのかわからない」「経験がないまま就農して本当に大丈夫?」と不安を感じている方は少なくありません。近年は新規就農者向けの研修制度やサポート体制、補助金も整備され、未経験からでも農業を仕事にできるチャンスが広がっています。しかし、その一方で、農業は準備不足のまま踏み出してしまうと、就農後に「こんなはずではなかった」とつまずいてしまうケースも多いのが現実です。
そこで本コラムでは、まったくの未経験から農業を仕事にするための基本ステップを、できるだけわかりやすく、順を追って解説していきます。
未経験からの就農を検討されている方は、ぜひご覧ください。
目次
ステップ1:まずは農業を“知る”ことから始めよう

農業に関する情報を集める
最初のステップは、農業に関する情報をできるだけ幅広く集めることです。
農林水産省や都道府県の就農支援窓口、自治体の農業振興課などが公開している資料、書籍・動画・農家の発信などさまざまな情報源があります。
特に注意したいのは、農業は「作物によって働き方も収入も全く違う」という点です。
例えば、施設園芸(ビニールハウス)は天候に左右されにくく安定しやすい一方、初期投資が必要です。露地野菜は少ない設備で始めやすいものの、気候変動の影響を受けやすいなど、メリット・デメリットは大きく異なります。
関連記事:露地栽培と施設栽培の違いとは?メリット・デメリットから徹底比較
農業体験に参加して、自分に合うか確かめる
情報を集めたら、次は「体験」です。
机上の知識だけでは、農業の本当の大変さや楽しさは理解しきれません。
各自治体の農業体験会、先輩農家での研修、収穫体験、農泊イベントなどへの参加がおすすめです。
現場で実際に土に触れ、作物の成長を感じることで、「自分にとって農業は合っているのか」「この作物を育てたい」など、進むべき方向が明確になります。
関連記事:農業体験の魅力とは?農業に興味があるなら行って欲しいおすすめの施設を紹介!
家族の了承を得る
もうひとつ大切なのが、ご家族の理解を得ることです。
農業は生活スタイルに大きく影響しますし、就農直後は収入が不安定な時期もあります。
後からのトラブルを防ぐためにも、
- どこで農業を始めたいのか
- 初期費用はいくら必要なのか
- 収入が安定するまでどれくらいかかるのか
など、事前に共有することが重要です。
ステップ2:作物選定・収入設計・研修・農地探し
ステップ1で農業に触れたら、次は「就農に向けた具体的な計画づくり」に移ります。
作物を選定する
作物選びは就農の成否に大きく影響します。
初心者が選びやすい作物から、専門性が求められる作物まで幅が広く、それぞれ難易度や収益性が異なるため注意が必要です。
選定ポイントとして、例えば次のことが挙げられます。
- その地域で栽培しやすいか
- 売り先を確保しやすいか
- 労働量や技術の難易度はどうか
- ビニールハウスが必要か、露地でできるか
特に施設園芸(トマト、キュウリ、イチゴなど)は収量の安定性が魅力であり、ビニールハウスの導入計画が重要となります。
農業での収入をイメージする
農業収入を「なんとなく」で考えるのは危険です。
作物の単価や栽培面積、必要経費をもとに、シミュレーションしておくことが重要です。
この段階で
- 年間の作付け計画
- 収穫量の見込み
- 市場出荷か、直売所か、ECか
など、販売方法を含めて収入モデルをつくります。
イノチオでは、作物に応じた売上・コストのシミュレーションを作成するサポートも行っているため、数字に不安がある方は相談すると安心です。
農業研修で技術を習得する
本格的に就農する前に、1〜2年間の農業研修を受けるのが一般的です。
形式としては、自治体や農協が行う研修や先輩農家のもとで学ぶ研修(委託研修)、公的な農業大学校などがあります。
研修中に農業の基礎技術、作物の管理、出荷作業、農業経営の基本を身につけます。
また、この研修期間中に後述する「就農準備資金(年間最大150万円)」を利用できる場合があります。
関連記事:働きながら農業を学べる!社会人向けの農業研修について解説
農地を探す
農地は勝手に購入したり借りたりできず、厳密な許可制度があります。
農地探しや農地所有者との交渉、農地法に関する手続きなどを初心者が独力で進めるには難しいのが実状です。
農業委員会や市町村の相談窓口に相談しながら進めることをおすすめします。
ステップ3:申請・手配・設備準備など就農直前の準備

いよいよ就農に向けて最終段階に入ります。
「認定新規就農者」の要件を確認し、申請を準備する
農業を本格的に始める前に、自治体が定める「認定新規就農者」の認定を受けることで、補助金や融資を利用しやすくなります。
たとえば、後述する「青年等就農資金」という融資制度では、認定新規就農者を対象に無利子で上限3,700万円の融資を実施しています。
※融資を受けるには一定の要件を満たす必要があります。
認定を受けるには、将来の農業経営方法や作付計画、資金計画などを盛り込んだ「青年等就農計画」を作成し、審査を受ける必要があります。
認定新規就農者の制度内容については、こちらの記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:認定新規就農者制度とは?メリット・デメリットまで解説
必要な資格を取得する
作物や栽培方式によって、必要な資格がある場合があります。
例えば、農薬指導士、フォークリフト、大型特殊免許(トラクター利用時)などが挙げられます。
自治体や研修先と相談しながら取得を進めましょう。
関連記事:農業に役立つ資格18選!取得方法と特徴について解説!
農地の貸借・購入手続き
農地法に基づき、農業委員会の許可が必要です。
スケジュールに余裕をもって進めましょう。
住居を手配する(遠方で就農する場合)
地域によっては移住支援制度があるため、あわせて確認することをおすすめします。
関連記事:田舎に移住して農業をはじめる方法とは?自治体の支援情報と補助金について解説
機械・設備の準備をする
作物に応じて必要な設備は変わりますが、特に施設園芸の場合はビニールハウスの導入が不可欠です。
イノチオでは、
- 栽培作物に合わせた“最適なビニールハウス”の設計
- コストに応じた設備提案
- 設計・建設・メンテナンス
- 就農後の栽培サポート
まで一貫して支援しています。
ステップ4:いよいよ就農!

準備が整ったら、ついに農業経営のスタートです。
就農初年度は学ぶことが多く、思いどおりにいかないこともありますが、自分の作物が育ち、出荷され、誰かの食卓に届けられる喜びは格別です。
就農準備に使える支援制度
新規就農者向けの代表的な補助金と融資をご紹介します。
※ご紹介している補助金・融資の情報は、名称や内容が変更になる場合があります。申請を希望される場合は、補助金を交付している該当機関のホームページをご確認ください。
就農準備資金(研修期間中の生活支援)
就農準備資金は、次世代を担う農業者となることを目指す者に対し、就農前の研修を後押しする資金です。
都道府県などが認める道府県の農業大学校や先進農家などの研修機関で研修を受ける就農希望者に、就農前の研修を後押しする資金を交付します。
| 対象 | 研修期間中の研修生 |
| 支援額 | 12.5万円/月(150万円/年)×最長2年 |
| 支援率 | 国による支援:100% |
| 主な要件 | ・就農予定時の年齢が49歳以下であること ・独立後、五年以内に認定新規就農者または認定農業者を取得する事 ・自営就農または雇用就農を目指す都道府県等が認めた研修期間等でおおむね1年以上(1年につきおおむね1,200時間以上)研修すること ・常勤の雇用契約を締結していないこと ・生活程、求職者支援など国の他の助成金と重複受給していないこと ・前年の世帯所得が600万円以下であること ・研修中の怪我等に備えて傷害保険に加入すること |
研修に集中しながら、生活費の不安を減らせる制度です。
経営開始資金(就農直後の経営支援)
認定新規就農者を対象に、就農直後の経営確立を支援するための資金を交付する制度です。
| 対象 | 認定新規就農者(前年の世帯所得が原則600万円未満) |
| 支援額 | 12.5万円/月(150万円/年)×最長3年間 |
| 支援率 | 国による支援:100% |
| 主な要件 | ・就農予定時の年齢が49歳以下であること ・独立して営業を行っていること ・親元就農の場合は、農業に従事してから5年以内に経営権を継承し、新規参入者と同等の経営リスクを負うものと市町村に認められること ・「人・農地プラン」に中心経営体として位置づけられているか、農地中間管理機構(農地バンク)から農地を借り受けていること ・生活保護、求職者支援など国の他の助成金と重複受給していないこと ・前年の世帯所得が600万円以下であること ・研修中の怪我等に備えて障害保険に加入すること |
この制度を活用することで、就農初期に発生しやすい「資金不足による経営の縮小」や「収入が安定するまでの生活不安」を和らげ、計画的に農業経営を成長させていくことができます。
青年等就農資金(設備投資を無利子で支援)
これから農業を担う新規就農者が、安定した農業経営を始めるために必要となる資金を、3,700万円を上限として無利子で借りられる融資制度です。
ビニールハウスの設置や農業機械の導入、作業場や施設の整備など、就農初期に大きな費用が必要となる場面を後押しする目的で設けられています。
| 対象者 | 認定新規就農者 ※市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人・法人 | |
| 使用用途 | 青年等就農計画の達成に必要な次の資金 ただし、経営改善資金計画を作成し、市町村を事務局とする特別融資制度推進会議の認定を受けた事業に限る。 | |
| 施設・機械 | 農業生産用の施設・機械のほか、農産物の処理加工施設や販売施設など | |
| 果樹・家畜等 | 家畜の購入費、果樹や茶などの新植・改植費のほか、それぞれの育成費など | |
| 借地料などの 一括支払い | 農地の借地料や施設・機械のリース料などの一括支払いなど ※農地等の取得費用は対象外 | |
| その他の経営費 | 経営開始に伴って必要となる資材費など | |
| 融資の条件 | 返済期間 | 17年以内(うち据置期間5年以内) |
| 融資限度額 | 3,700万円(特認1億円) | |
| 利率(年) | 無利子(お借入の全期間にわたり無利子です) | |
| 担保・保証人 | 担保:原則として、融資対象物件のみ 保証人:原則として個人の場合は不要、法人の場合で必要な場合は代表者のみ | |
青年等就農資金については、こちらのコラムでさらに詳しく解説しています。
関連記事:「青年等就農資金」とは??メリット・デメリットまで解説
就農初期に直面しやすい課題と、その乗り越え方
就農すると、理想と現実のギャップに戸惑う方も少なくありません。
特に就農1〜3年目は、技術も経営もまだ安定していないため、次のような課題が起きやすくなります。
収量が想定どおりにならない
初年度は土壌の状態や作物の特性を把握できておらず、計画どおりに収穫できないケースが多く見られます。天候変動の影響も大きく、適切な水管理・肥培管理ができるようになるには時間がかかります。
そのため、就農初期は
- 生育状況をこまめに記録する
- 先輩農家に相談する
- 普及指導員やアドバイザーの助言を取り入れる
といった地道な積み重ねが重要になります。
イノチオでは、施肥・灌水の考え方やハウス環境データの見方・活用方法など、栽培管理の基礎からサポートする「営農サポート」を一部有償にてご提供しています。栽培に自信がない場合も安心して農業に取り組んでいただけます。
販売先との関係構築に時間がかかる
農業は収穫して終わりではなく、販売までが重要です。直売所や市場出荷、飲食店への卸、EC販売など選択肢は豊富ですが、販売先によって求められる規格や数量が異なります。
はじめは複数の販売チャネルを試し、「どこで売るのが一番効率的か」「どの販売先が自分の作物に合っているか」を見極めていく必要があります。
最近ではSNSやECを活用した直接販売も増えており、写真の撮り方や商品の伝え方など、マーケティングの知識が役立つ場面も増えています。
関連記事:農業で取り組むマーケティングとは?成功へのポイントを解説!
設備の使い方やメンテナンスに慣れない
特に施設園芸の場合は、ハウス設備や資材の取り扱いにも慣れる必要があります。
例えば、
- 換気するべきタイミング
- 暖房設備の使い方
- 灌水の管理
- フィルムや骨材のメンテナンス
これらの設備知識は生産性に直結するため、早い段階で身につけておきたいスキルです。
イノチオでは、ビニールハウスだけでなく各種内部設備の取り扱いも行っております。設備のメンテナンスのご相談も承っています。
地域コミュニティとの関わりも成功のカギ

農業は「地域とのつながり」が大きな力になります。
農地の管理や用水、共同作業など、地域農家との関係性は日常の営農に影響します。
例えば、集落の会合へ参加したり、農作業や共同草刈りに協力したり、先輩農家に困りごとを積極的に相談するといった地道な行動が、長く地域で農業を続けていくうえで重要となります。
困ったときに相談できる環境をつくるためにも、地域との関係づくりは早期に取り組むことをおすすめします。
イノチオなら、新規就農の不安をまるごと解決できます

新規就農は、準備から経営まで覚えることが多く、ひとりで抱え込むと負担が大きくなります。
だからこそ、経験豊富なサポーターを味方につけることが成功への近道です。
イノチオでは、次のような新規就農者が抱えがちな悩みを丁寧にサポートします。
- 作物選びの相談
- 収支シミュレーションの情報提供
- 青年等就農計画の作成伴走
- 最適なビニールハウスの提案
- 建設・設備導入のシミュレーション
- 就農後の栽培サポート
「自分に合った農業が知りたい」「補助金申請や計画書づくりが不安」「どんな設備を入れればいいかわからない」など、どんな段階の方でもお気軽にご相談ください。
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