2050年 世界の食糧難に立ち向かう
株式会社アグテコ
滋賀県野洲市でレタスの水耕栽培をしているアグテコファーム吉川。施設面積2.8haという巨大ハウスの中は独自のシステムを活用して栽培管理の75%が機械化。香港を拠点に置くグローバル企業でもある株式会社アグテコの栽培への取り組みとビジョン、パートナーとしてのイノチオとの関わりについてお聞きしました。
目次
農業のグローバル企業を目指す
現在、日本の農業人口は大幅に減少しています。気づけば、農業は若者に選ばれない職業になってしまいました。アグテコは、農業の企業化とグローバル化を実現することで、農業という仕事が若者の職業選択の一つになって欲しいと考えています。アグテコは、香港・中国・日本を拠点としたグローバル企業を目指しています。IOT技術を導入した業務のDX化とスマート農業の導入を積極的に行っています。社員一人ひとりが思考的発想力を持ち、農業技術の継承と新しい農業ビジネスを構築できる人材育成にも取り組んでいます。
2050年の食糧危機に立ち向かう
アグテコは1人の農家ではなく、複数人で力を合わせれば農業に新しい可能性が生まれてくるという想いで誕生しました。経営管理、栽培技術、運営管理という役割を取締役3名が分業することで農家が起業化した形の農業生産企業を設立しました。そして、2050年にも到来すると予測される食糧危機を農業の力で解決することを目指しています。
栽培管理の75%を機械化に成功!
アグテコファーム吉川では、手作業が必要な仕事と機械化できる仕事の住み分けができているので、現在では栽培管理の工程の約75%が機械化されています。お客さまに安心安全でおいしい野菜を提供するという使命感があるので、グローバルG.A.Pはもとより、生育スピードを早めるなど無理な栽培は行わず、お客さまのニーズに耳を傾けて丁寧にじっくり育てることで新鮮でおいしい野菜を提供できるようにしています。
出荷されるレタスは種まきから約50日で出荷。もっと短期間で出荷できるそうですが、栄養素の高いレタスを届けるために太陽の光をしっかり当てて育てています。
情報共有をデジタル化
アグテコにはパートタイムの従業員を除くと、取締役の3名を含め7名の社員がいます。その中で2名~3名だけが農場の中で働いています。少人数で回せているのは、タブレット端末を活用して、農場運営に必要な情報をいつどこにいても逐一共有ができているからです。
困ったときにはイノチオに聞くと良い
私たちは市販の製品ではなく、自社開発プラントを導入しています。そのためハウスの設計段階において複数の企業から断られてしまいました。しかし、イノチオは私たちの考えを真摯に聞いて、ただ否定するのではなく、他の農業施設を案内して丁寧に説明してくれたり、修正案を提供してくれる企業でした。「困ったときにはイノチオに聞くと良い」というイノチオの目指す農業のファーストコールカンパニーそのものでした。ハウスが完成した後も、親身に相談に乗ってくれました。初年度に取得したグローバルGAPに関しても丁寧に指導をしていただきました。
アグテコの今後のビジョンについて
今後はレタスの水耕栽培だけでなく、露地栽培も行いたいと考えています。水耕栽培は、アグテコファーム吉川を拠点に栽培データを蓄積・分析・改善を繰り返して進化させていきたいと考えています。今後は、他の企業とも提携していくことでアグテコの強みを活かし弱みを補っていきたいです。
アグテコのファーストコールカンパニーで居て欲しい
竣工から早いもので1年が経った現在も私たちの改善した内容に対して、できる限りの対応をしてもらっています。今後は、水耕栽培と露地栽培の圃場拡大に向けて相互にシナジー効果が生まれることを望んでいます。イノチオに効果をもたらすのはまだ先になりますが、成長も見守ってもらい、今後も「アグテコのファーストコールカンパニー」で居て欲しいと期待しています。
株式会社アグテコが導入するビニールハウス
SANTAROOF
高収量を実現するオランダ式高軒高のビニールハウス
SANTAROOFは、トラス構造を用いた設計で、ビニールハウスの柱高を最大6.0mまでとした広い栽培空間を実現できるオランダ式高軒高のビニールハウスです。作物を上部に伸ばすことで高収量を目指せるハイワイヤー栽培にも対応。トラス構造の採用や部材の強化によって高強度を実現。さらに、屋根部材の小型化によってビニールハウス全体に太陽光が行き届く高い採光性を確保し、作物の成長を促進させます。
広い栽培空間による高い換気効率が温度や湿度のムラを減らし、栽培を安定できることも特徴です。企業の農業参入や大型施設を中心にビニールハウスの価格や建設プラン、栽培開始後の事業プランまでトータルでご提案いたします。
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株式会社アグテコが導入するスマート農業製品(内部設備)
環境制御システム AERO BEAT
使いやすく高性能!日本農業に最適な環境制御システム
エアロビートは、施設園芸に携わり50年以上、これまで培ってきた自社実績と生産者の声を取り入れて開発した生産者目線の環境制御システムです。環境制御と合わせて、モニタリング機能も搭載。エアロビート本体とコンピュータ1台で最大10区画または、ビニールハウスを最大10棟まで管理でき、管理時間と導入コストの両方を削減します。オリジナルの管理画面に設定することができ、はじめての方にも使いやすい仕様となっています。
お客さまがの「ビニールハウスへ行かないと栽培の管理ができない」、このようなお悩みをエアロビートは遠隔制御で解決します。異常時のメール発信だけでなく、PC・スマートフォン等から遠隔制御が行えますので、外出先から監視・設定変更が行えます。
環境制御システム AERO BEATを見る
ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイント
個人の新規就農や企業の農業参入で施設園芸の分野で農業をはじめる場合に、ビニールハウスの建設は不可欠です。しかし、ビニールハウスと一言に表現しても種類や規模、導入する設備によって金額感が大きく変動してきます。
こちらでは、お客さま事例のブルーチップさんのように栽培を行うために、ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイントをご紹介します。
知っておきたいポイント➀ビニールハウスの構造体
ビニールハウスの価格は、建設面積の大型化や、軒高(柱高)が高くなることによって、ビニールハウス価格が上がる傾向にあります。それに加えて、風速や積雪等の厳しい地域では、土地環境に耐えうる構造体で設計されるためにさらなるコストアップとなります。
ビニールハウス価格を抑える際は、ビニールハウスの性能を損なわない形で、用地に基づく合理的な設計をすることで金額抑制に繋がります。弊社はお客さまの予算、栽培作物、栽培方式、土地環境をもとにビニールハウス1万棟の建設実績から仕様やビニールハウス建設プランをご提案いたします。
知っておきたいポイント➁被覆材
ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの1つ目として被覆材があります。ビニールハウスの被覆材は農業用ビニール(農ビ)、ポリオレフィン系フィルム(POフィルム)、硬質フィルムなどがあり、耐用年数や製品特性に応じてフィルムの選定をします。性能や耐久性の高い製品を展張の場合、フィルムそのものの価格とともに、施工方法に伴う資材や工事費も高価となります。
耐用年数3~5年の被覆材と15年以上の長期展張型フィルムを比較すると、 100万円以上の価格差が生じるケースもあります。そのため、立地条件、栽培作物、栽培スケジュール、ご予算などから、お客さまにとって最適な性能(耐用年数、厚み、保温性、透光率、波長、流滴性)の被覆材をご提案いたします。
知っておきたいポイント➂内部設備
ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの2つ目としてハウス内部設備があります。ハウス内部設備は選択する仕様によって、ビニールハウス本体の価格と同程度またそれ以上の価格になることもあります。
遮光や保温を行う内張りカーテン装置、ビニールハウス内の温度管理を行うための暖房設備やヒートポンプ設備、ハウス内の温度環境の均一化を目的とする循環扇などの空調設備、炭酸ガス施用設備、環境設備や潅水設備など、設備仕様は多岐にわたります。内部設備の選定に関しても、ビニールハウス建設実績1万棟以上の知見を活かして、栽培作物と目的に適したビニールハウスの内部設備をトータルでご提案いたします。
企業が農業参入するまでの流れ
企業が農業参入する上で、事前準備が非常に重要です。新規就農・農業参入における流れや準備物を個人及び担当者で調査し、明確化することは非常に難しいです。そのためビニールハウスや施設園芸に携わり50年以上の知見を活かし、農業参入するまでの流れをご説明します。
農業参入するまでの流れ➀事業構想の作成
先ずは、企業が農業参入をする事業の目的、参入意図、栽培作物、販路の4つを整理します。企業の場合、目的や参入意図として、独立した事業での農業生産のみならず、既存事業との相乗効果発揮や人材の再雇用先創出、SDGsやCSRなどの観点による企業PR強化、新規事業での参入などが多く見られます。まずは企業として、どのような目的や意図を掲げて参入をするのか?どのような栽培作物を栽培するのか?生産した農産物をどこに販売するのか?を検討することからはじめましょう。
各目的に応じて、必要な検討材料が異なります。例えば、新規事業の場合は農業参入を行うことでのイニシャルコスト、ランニングコストをもとに検討を重ねる必要があるため、検討段階の初期からハウスメーカーに相談することが重要です。
農業参入するまでの流れ➁作物選択と事業計画・収支シミュレーション
事業構想の作成が明確になり次第、ハウスメーカーに相談を行い、事業計画を作成していきます。イニシャルコストでは、ビニールハウスの仕様やビニールハウス本体以外の内部設備、栽培1年目の準備物を検討していきます。ビニールハウスは各製品によって、適用作物、耐積雪及び耐風速、間口や奥行などの仕様が異なるため、土地を探す前に理解しておくことがポイントです。事業構想に最適なビニールハウスや導入設備をハウスメーカーに提案していただきましょう。
ランニングコストでは年間の売上原価や販売費、一般管理費の試算をもとに、必要な人員やコストを把握します。大規模な農業経営では作業時間から算出した人員の確保が非常に重要であり、人員確保できない場合は事業を軌道に乗せることが困難です。そのため事業開始時の人員を明確に把握し、準備しておきましょう。
一例としてコスト面としてはビニールハウスの修繕や頻度を事前に把握することがポイントです。ビニールハウスの被覆材は耐用年数によって修繕費用や頻度が異なるため、把握した上で信頼できるハウスメーカーとハウスの仕様を決めていきましょう。
農業参入するまでの流れ➂農地の確保と調査・測量
農地の確保は、求める農地の条件が明確になり次第、各市区町村や農業委員会に相談し、候補地を探していくのが一般的です。すでに農地の候補が複数決まっている場合は、思い描く目的や意図をもとに最適な土地なのか?建設可能なのか?栽培に適しているのか?を確認しましょう。必要に応じて、水質などの調査も行い、栽培開始に向けたリスクを事前に把握した上で対処しましょう。
加えて、大規模ビニールハウスを建設する場合は外部環境にも目を払うべきです。周辺地域への深刻な環境負荷が起きないかなどの検討も必要になります。農場から排出されるリスクを最低限にするなど、農地確保段階で周辺調査は専門的な企業へ相談しましょう。
農業参入するまでの流れ④ハウス仕様の決定
計画段階では、栽培エリアのみならず、機器設置エリア、選果エリア、集出荷スペース、そして事務所や制御室、休憩室などを併設することがあります。管理方法、作業動線などを緻密に計画、配置などのプランニングを行う必要があります。それらの建屋は栽培エリアではないため、建築や設置の考え方が大きく異なることがあります。事業計画段階で行政確認のうえで、信頼できる業者と連携して進めることが望ましいです。
農地の確保と調査、測量、行政確認が確認でき次第、土地に沿った仕様でビニールハウスと内部設備を最終確定していきましょう。特に大規模圃場の際は、イニシャルコストだけでの判断ではなく、適切な圃場運営を実現するための労働効率や作業導線、異常気象や故障のフォロー体制、栽培支援などのリスク対策も含めて総合的に判断しましょう。
一方で補助事業の場合、施設仕様の妥当性を重点に捉える必要があります。闇雲に「軒を高くする」「重装備な設備を入れる」などは、収支採算上のこと以外に、選定理由や規模の決定根拠で「過剰設備」と判断されることもあります。導入実績例や必要性を明確にして仕様決定していきましょう。
イノチオアグリは新規就農・農業参入を支援します
イノチオアグリについて
イノチオアグリは施設園芸(農業ハウスやビニールハウス)に携わり、50年以上の知見がございます。50年以上に渡り、培ったノウハウを活かし、農業参入・新規就農を計画段階からご支援しております。お客さまのご要望や条件に基づいて農場を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算までの事業計画の策定をお手伝いします。
さらに、圃場研修や専門指導員によるサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。
ビニールハウス事業
イノチオアグリでは作物や栽培方式、土地環境に沿ったビニールハウスをご提案。10年間に渡る収量や収益性の試算からお客さまの理想を実現するビニールハウスとスマート農業製品などを含めたハウス内部設備、農業経営の開始後までトータルでご提案いたします。