農業には「農繁期」と呼ばれる忙しい時期があります。しかし、農繁期がいつ訪れるのかは一概にはいえません。栽培する作物や地域によって作業のタイミングが異なるため、農家ごとに繁忙期はさまざまです。

また、「農繁期は忙しい」「農閑期は暇」というイメージを持つ人もいますが、実際には農閑期にも翌シーズンに向けた重要な仕事があります。

この記事では、農繁期の意味や時期をはじめ、作物や地域、栽培方法・作型による違い、農閑期との関係について解説します。

目次

  1. 農繁期とは?
  2. 農繁期はいつ訪れる?
  3. 作物別に見る農繁期
  4. 地域による農繁期の違い
  5. 栽培方法や作型によっても農繁期は変わる
  6. 農閑期とは?
  7. 農繁期に発生する人手不足への対策
  8. 農繁期の省力化・時間短縮のご相談はイノチオへ

農繁期とは?

農繁期とは、種まきや育苗、定植、収穫、出荷などの作業が集中し、農家が特に忙しくなる時期のことを指します。

農業は工場のように年間を通して同じ作業を繰り返す仕事ではありません。作物の生育段階や天候に合わせて作業時期が決まるため、ある特定の期間に作業が集中します。

例えば野菜栽培では、

  • 苗を育てる
  • 畑を準備する
  • 定植する
  • 誘引や摘葉などの管理を行う
  • 収穫する
  • 出荷する

といった工程があります。

それぞれには適したタイミングがあり、遅れてしまうと品質や収量が低下する可能性があります。そのため農繁期には長時間労働になることもあり、多くの農業法人ではアルバイトや季節雇用を活用して人員を確保しています。

農繁期はいつ訪れる?

農繁期の時期は一律ではありません。

「農家=夏が忙しい」と考える人もいますが、実際には、

・作物

・栽培地域

・栽培方法

・作型

これらの要素によって忙しい時期は異なります。

作物別に見る農繁期

水稲の場合

日本で最も広く栽培されている作物の一つが水稲です。

水稲栽培の主な農繁期は年に2回あります。

春の農繁期(4~6月頃)

この時期は、

  • 種まき
  • 育苗
  • 代かき
  • 田植え

が集中します。

田植えは適期が短く、天候を見ながら作業を進めなければなりません。

秋の農繁期(9~10月頃)

  • 稲刈り
  • 乾燥
  • 籾すり
  • 出荷

これらの作業が行われます。

収穫が遅れると品質低下につながるため、多くの農家にとって最も忙しい時期といえます。

野菜の場合

野菜栽培では、品目ごとに農繁期が異なります。

キャベツやレタスなどは収穫適期が短く、出荷作業も発生するため繁忙になりやすい作物です。

一方でトマトやキュウリは収穫期間が長く、数か月間にわたって毎日の収穫作業が続くことがあります。

そのため、

  • 定植期
  • 管理作業期
  • 収穫期

のすべてが農繁期になる場合もあります。

果樹の場合

果樹は収穫だけでなく、品質を高めるための管理作業も重要です。

例えばリンゴ栽培では、

  • 剪定
  • 摘花
  • 摘果
  • 袋掛け
  • 葉摘み
  • 収穫

など多くの工程があります。

特に収穫時期には短期間で作業を終える必要があるため、人手不足が課題になることも少なくありません。

地域による農繁期の違い

同じ作物でも、栽培地域によって農繁期は異なります。

北海道

北海道では冬季の積雪や低温の影響から栽培期間が限られ、春から秋にかけて農作業が集中する傾向があります。

東北地方

水稲中心の地域が多く、

  • 春の田植え
  • 秋の稲刈り

が農繁期になります。

関東・中部地方

多様な品目が栽培されており、年間を通じてさまざまな農繁期があります。

九州地方

温暖な気候を活かして栽培期間が長く、収穫時期が関東より早いケースもあります。

このように、農繁期は地域の気候条件によっても左右されます。

栽培方法や作型によっても農繁期は変わる

作物や地域だけでなく、栽培方法や作型によっても農繁期が異なります。

栽培方法による違い

例えば、屋外で育てる露地栽培では気温や日照時間など自然条件に合わせて栽培が行われるため、定植や収穫などの作業が特定の時期に集中しやすい傾向があります。

一方、ビニールハウスなどの施設内で育てるハウス栽培では、温度や湿度をある程度コントロールできます。そのため栽培時期を調整しやすく、収穫時期を早めたり遅らせたりすることが可能です。その結果、農繁期が分散したり、収穫期間が長くなったりすることがあります。

関連記事:露地栽培と施設栽培の違いとは?メリット・デメリットから徹底比較

作型による違い

農業では「作型(さくがた)」と呼ばれる栽培スケジュールも重要です。作型とは、作物をいつ植え、いつ収穫するかといった計画のことです。

主な作型と農繁期の例

作型作型の概要主な収穫時期農繁期になりやすい時期
促成栽培ハウスなどを利用し、本来より早い時期に収穫する作型冬~春冬~春
半促成栽培露地栽培より収穫を早めるため、ハウスやトンネルを活用する作型春~夏春~夏
夏秋栽培春に播種・定植し、夏から秋にかけて収穫する作型夏~秋夏~秋
抑制栽培栽培時期を遅らせ、秋以降に収穫する作型秋秋
秋冬栽培夏に播種・定植し、秋から冬に収穫する作型秋~冬秋の定植期・ 秋~冬の収穫期
春まき栽培春に種をまき、生育後に夏から秋に収穫する一般的な露地作型夏~秋春の播種・定植期、夏~秋の収穫期
秋まき栽培秋に種をまき、越冬後の春から初夏に収穫する作型春~初夏秋の播種期・ 春の収穫期

作型は土壌の条件や地域の気候などに応じて決定されます。

同じ作物でも作型が異なれば農繁期や農閑期の時期も変わります。

農閑期とは?

農閑期とは、農繁期に比べて農作業が少なくなる時期を指します。

しかし、「農閑期=休み」というわけではありません。

実際には農閑期だからこそ行う重要な仕事が数多くあります。

農閑期に行われる主な仕事

・農機具や設備のメンテナンス

農繁期に使用したトラクターや管理機などの整備を行います。

故障を防ぐために欠かせない仕事です。

・土づくり

堆肥投入や土壌改良を行い、次の作付けに備えます。

品質の高い農産物を生産するためには、農閑期の土づくりが非常に重要です。

・栽培計画の作成

前年の課題を分析し、品種選定や作付計画、販売計画などを検討します。

・学習・研修

農業技術は年々進歩しています。

農閑期を利用して研修会や講習会に参加する農家も多くいます。

代表的なトマト栽培の年間スケジュール例

トマトの農繁期は、露地栽培かハウス栽培か、またどの作型を採用しているかによって大きく異なります。ここでは一般的な「露地栽培(夏秋栽培)」と「ハウス栽培(促成栽培)」を例に見てみましょう。

露地栽培トマト(夏秋栽培)の例

時期主な作業農繁期・農閑期
1~2月栽培計画、資材準備、農機具整備農閑期
3~4月育苗、土づくり、畝立て農繁期
4~5月定植、支柱設置
6~7月誘引、わき芽かき、病害虫対策
7~9月収穫、選果、出荷
10~12月圃場片付け、土壌改良、来季準備農閑期

ハウス栽培トマト(促成栽培)の例

時期主な作業農繁期・農閑期
7~8月ハウス整備、土づくり農閑期
9~10月育苗、定植農繁期
11~5月誘引、摘葉、温度管理、収穫、出荷
6~7月栽培終了、片付け、施設整備農閑期

同じトマトでも、栽培方法や作型によって農繁期・農閑期の時期が大きく異なることがわかります。

露地栽培では春の定植から夏の収穫期にかけて作業が集中する一方、促成栽培では秋に定植し、冬から春にかけて収穫や出荷のピークを迎えます。

農繁期に発生する人手不足への対策

農繁期は、定植や収穫、出荷などの作業が短期間に集中するため、多くの農業経営体で人手不足が課題となります。

特に近年は農業従事者の高齢化や労働力不足が進んでおり、収穫や管理作業に必要な人員を確保することが難しくなっています。

人手不足によって作業の遅れが発生すると、収穫適期を逃したり、品質や収量が低下したりする可能性があります。そのため、農繁期を乗り切るためには、作業の効率化や省力化に取り組むことが重要です。

スマート農業による省力化も選択肢のひとつ

近年はICTやIoTを活用したスマート農業技術の導入が進んでいます。

例えば、

  • ハウス内の温度や湿度を自動で管理する環境制御システム
  • センサーを活用した栽培管理
  • 作業状況の見える化
  • 遠隔でのモニタリング

などを活用することで、管理作業の負担軽減や作業効率の向上が期待できます。

また、人による経験や勘に頼りがちな栽培管理をデータ化することで、作業の標準化や安定生産にもつながります。

ビニールハウスを遠隔で管理する「エアロビート」
イノチオアグリの環境制御システム「エアロビート」は、ハウス内外の環境を各種センサで感知し、設定した値になるように、自動で温度・湿度等の制御を行います。本体1台とコンピュータ1台で、最大10区画または10棟までのハウスを管理できます。

また、遠隔操作にも対応しているため、複数のハウスが離れた場所にある場合でも、外出先やご自宅から設定の確認や変更が可能です。

また、機能を厳選した「エアロビートmini」も新たに登場しました。エアロビートよりも安価に導入できるほか、栽培規模に合わせて3つのラインナップ(制御点数:8点/16点/24点)から、ご自分のハウスに合わせた最適な製品を選ぶことができます。

農繁期の省力化・時間短縮のご相談はイノチオへ

イノチオでは、施設栽培を中心に、生産者の省力化や安定生産を支援するさまざまな製品・資材を取り扱っています。

また、作業動線の改善や設備の見直しなど、より作業しやすい環境づくりに向けたリフォーム工事のご提案も可能です。

「管理作業に時間がかかる」「移動や見回りの負担を減らしたい」「もっと効率よく作業したい」などのお悩みがあれば、お気軽にご相談ください。お客様の栽培環境や経営規模に合わせて、最適な省力化をご提案します。