「農業の自動化」についてご存じですか?農業界では、高齢化や人手不足が深刻化していますが、この問題を解決するとして注目されているのが「農業の自動化」です。
今回のコラムでは、農業における自動化とは何かを押さえた上で、農業自動化のメリット・デメリット、さらに自動化をスムーズに進めるためのポイントについても解説します。農業の未来を見据えた自動化の可能性について、一緒に考えてみましょう。

目次

  1. 農業における自動化とは?
  2. 農業自動化のメリット
  3. 農業自動化のデメリット・課題
  4. 農業における自動化導入のポイント
  5. 自動化を活用したお客さま事例
  6. 農業の自動化はイノチオアグリへご相談ください

農業における自動化とは?

農業を自動化する目的

農業界では、農業従事者の高齢化や人手不足という問題が深刻化しています。この問題を解決できる糸口として注目を集めているのが「農業の自動化」です。従来の農業は経験と勘に頼ることが多く、効率化や品質向上に限界がありました。

農業の自動化技術は、データやAIを活用し、少ない人手でも効率的に作業を行うことを可能にする技術です。さらに、作業の精度が上がることで、収量や品質の安定化も期待できます。
持続可能な農業を目指していく上で、農業の自動化は今後もますます重要性を増していくでしょう。

農業の自動化技術

農業の自動化技術には、さまざまな種類があります。ここでは、いくつかの主要な技術をご紹介します。

収穫ロボット

野菜や果物の収穫を行うロボットで、搭載されたカメラで取得した画像から、収穫に適した状態かどうかを判別して収穫作業を行います。

自動運転トラクター

農地での耕作や播種を自動で行うトラクターです。GPSやAI技術を活用することで、高精度な位置情報の取得、障害物の検知、遠隔操作を可能にしています。

農業用ドローン

農業分野において活用されるドローンは農薬や肥料の散布、ほ場観察を目的に活用されています。農薬や肥料を積んで飛行するため、一般的なドローンに比べて機体のサイズも大きくなっています。

関連事業:農業用ドローン導入サポート イノチオプラントケア
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環境制御システム

環境制御システムとは、施設園芸においてハウス内環境を制御するシステムのことです。光・温度・湿度・CO2濃度・換気などを作物の生育に最適な条件で維持し、収穫や品質の向上を図ります。

関連製品:環境制御システム エアロビート
関連製品:環境制御システム エアロビートmini
関連記事:スマート農業で生産力向上!環境制御システムの役割とは?

潅水管理システム

施設園芸において、潅水や養液供給は、作物の生育において非常に重要な要素です。潅水管理システムは、作物に必要な水分を効率的に供給するための自動化システムで、生育環境の最適化し、高収量・高品質な作物の生産を可能にします。

関連製品:灌水制御制御システム アクアビート/アクアビートメビウス
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農業自動化のメリット

農業の自動化には、いくつかのメリットがあります。

作業負担が軽減される

農業現場に自動化技術を導入することで、これまで人の手で行っていた重労働や繰り返し作業、長時間の監視といった作業の負担を軽減することができます。また、作業の効率化によって、必要な労力や時間を大幅に削減することができます。労働力不足や後継者不足が問題視される中、少ない人手で農作業を可能にするという点で自動化技術は期待されています。

作業や判断の制度が上がる

センサーやAIを活用した技術を用いることで、データをリアルタイムで収集・解析することが可能となります。例えば、土壌水分センサーや気象センサーは、環境データを正確に把握し、最適な潅水や施肥のタイミングを自動で判断します。これにより、データに基づいた正確な作業や判断の精度が向上します。

後継者に技術を伝承しやすい

技術やノウハウをデジタル化してシステムに組み込むことによって、経験や勘に頼らず、データに基づいた正確な作業が可能になります。また、操作が簡単な自動化機器を使用することで、新規就農者や若い世代の方でも短期間で技術を習得できるようになります。

農業自動化のデメリット・課題

農業の自動化で得られるメリットは大きい一方で、導入に向けてのデメリットや課題もあります。

導入コストが高い

高性能な機器やシステムは高額であり、導入には多額の初期投資が必要です。特に小規模な農業者にとっては、これらの費用は大きな負担となりかねません。さらに、導入後のメンテナンスやアップデートにもコストがかかる場合があります。そのため、導入を検討する際には、目的を明確にし、必要な機能をある程度絞っておくことが重要です。

作業者の育成が必要

自動化技術を導入するには、作業者が新しい機器やシステムを使いこなすためのスキルを習得する必要があります。特に高齢の農業従事者にとっては、技術の理解や操作が難しい場合があり、適切なサポートと教育が不可欠です。

機器間の互換性が統一されていない

農業の自動化が注目され始めたのは比較的最近のことで、機器やシステム間の互換性が統一されておらず、拡張性が低い点が課題となっています。そのため、これまでの作業の負担を軽減させる目的で自動化技術を導入しても、機器やシステム間の連携が上手くいかず、管理が難しくなるケースがあります。

農業における自動化導入のポイント

ここでは、農業の自動化をスムーズに進めるためのポイントを解説します。

補助金・助成金を活用する

自動化を進める中で大きな課題となるのが、やはりコスト面です。その課題を解決する方法の一つとして、補助金・助成金の活用があります。ここでは、農業の自動化に使える補助金・助成金を3つご紹介します。

ものづくり補助金
中小企業や小規模事業者が新しいサービスを開発したり、生産のやり方を改善するための設備を購入する際に使える補助金です。農業分野では、スマート農業機器やシステムの導入にかかる費用も対象となります。

強い農業づくり総合支援交付金(食料システム構築支援タイプ)
農林水産省が提供する補助金で、農業の生産性向上や省力化を目的とした技術導入を支援します。ロボットトラクターやスマートフォン操作の水管理システムなどが対象となります。

IT導入補助金
IT導入補助金は、事業者が効率化や生産性向上を図るために、ITツールの導入を支援するための補助金です。対象となるITツールには、業務の効率化や生産性向上、セキュリティ対策に役立つソフトウェアやサービスが含まれます。
補助上限額は最大450万円で、導入するソフトの1/2~4/5の補助が受けられます。

今回、ご紹介している補助金・助成金に関しては、年度や時期によっては制度の有無、内容が異なる場合がありますのでご自身でご確認をしてくださ

リースやシェアリングを利用する

補助金や助成金を活用する以外にも、農業自動化の導入コストを抑える方法があります。それが、リースやシェアリングの利用です。リースとは、農業機械を一定期間借りて使用する契約のことです。初期費用を押さえながら最新の技術や機器を活用することができます。

一方でシェアリングとは、複数の農家が共同で農業機械を利用する方法のことです。機器の購入費用や維持費を分担することで、個々の農家にかかるコストの負担が軽減します。

これらの方法を活用することで、農業の自動化を低コストで導入し、効率的に運用することが可能となります。

技術や機器を正しく選定する

自動化技術の導入は、何を自動化したいのかという目的を明確にするところから始まります。農場の課題を特定し、どのような改善を目指すのかを具体化する必要があります。

自動化導入の主な目的例
● 労働力不足の解消
● 生産コストの削減
● 栽培技術の継承

さらに、導入する機器やシステムは、農地の規模や作物の種類に適しているかを確認することも大切です。これらのポイントを踏まえて技術や機器を選定することで、農業の自動化を効率的に進めることができます。

自動化を活用したお客さま事例

イノチオアグリでは、施設園芸において農業の自動化を可能にするさまざまな製品を取り扱っています。ここでは、実際に製品を導入して、自動化を成功させたお客さまの事例を2つご紹介します。

マスプレー導入で防除作業の省力化に成功!

愛知県豊川市でイチゴ栽培を約40年営んでいるKさん。栽培総面積約26aで年間約17,000株を栽培しています。そんなKさんがマスプレーを導入したきっかけは、防除作業の労力と時間の削減のためです。導入する前は、出荷を終えて帰ってきた日中に汗を流しながら防除を行っていましたが、自動のマスプレーを使うようになってからは、約26aという面積の消毒作業が3時間程度で終わるようになったということです。マスプレーについての詳細は、下記リンクからご確認いただけます。

関連製品:防除・潅水支援システム マスプレー
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潅水制御システムがムラがない給液をサポート

九州電力株式会社が運営する上寺いちご園は、6aの栽培用ハウスが2棟と6aの育苗用ハウスを1棟を所有しており、電力の強みを活かした、市場が求める時期に出荷をコントロールできるイチゴ栽培を目指しています。

上寺いちご園では、自動潅水制御システムであるAQUA BEAT(アクアビート)を導入しており、日射比例での潅水制御を採用しています。植物・環境の状態と給液・排液のデータを付け合わせることで、日々の振り返りが順調にできていとのことです。AQUA BEAT (アクアビート)についての詳細は、下記リンクからご確認いただけます。

関連製品:自動灌水制御システム アクアビート/アクアビートメビウス
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農業の自動化はイノチオアグリへご相談ください

イノチオアグリは「農業総合支援企業」をコンセプトに、50年以上にわたり農業用ビニールハウスに携わってきた経験とノウハウを活かし、農業の自動化を考えているお客さまを多角的にサポートします。

弊社では、ビニールハウスの製造・販売に加え、スマート農業機器やシステムの導入支援なども行っております。自動化技術以外にも、農業に関するお悩みがある方は、お気軽にお問い合わせください。