夏の農業に欠かせない暑さ対策資材を紹介!
7月を過ぎれば、連日ニュースで猛暑日・酷暑日といったキーワードを耳にするようになります。真夏になれば、外気温が35度を超える日が続き、熱中症警戒アラートが発令されるほど外は危険な環境下となっています。特に、ビニールハウスは対策をしなければ真夏の熱い日光を直接受け、内部は40度を超え作物も人も耐えられない危険な状態に陥ってしまいます。そのような状況を緩和するためにも、作物やビニールハウス本体へ暑さ対策を適切に施すことが求められます。今回のコラムでは、イノチオアグリがおすすめる暑さ対策資材を中心に、幅広くご提案します。
目次
夏の農業には暑さ対策が欠かせない!
ビニールハウスが暑くなる理由

ビニールハウスは、別名「温室」とも呼ばれるように、高温環境が必要な農作物を冬でも栽培するために導入され広まりました。今では積雪の多い地域を除き、年間を通して使用されるようになってきています。
ビニールハウスの内部が暑くなる理由は、太陽光による日射がハウス内の土に吸収されることで、閉め切った施設内の温度を上昇させます。ビニールハウス内が暑くなるのは、この熱がうまく外へ排出されずに室内に籠ってしまうことが原因です。そのため、真夏でもない時期にビニールハウス内が40度を超すような状況が生まれてしまいます。
暑いビニールハウス内での栽培による影響
夏場のビニールハウスの40度を超えるような過度な暑さは、作物にとって良いものではありません。日差しが強くなりハウス内が30度を超えた場合や、平均気温25度以上の日が続いた場合に、障害が発生しやすいとされています。トマト・キュウリなどは温度の影響を受けやすく、着果不良などの生理障害によって収穫量が減少してしまうリスクが発生します。
また、病害虫が発生しやすい環境となるため注意と対策が必要です。日差しが強いと葉焼け・枯死・斑点病による生育悪化や、裂果・着色不良などの症状が発生し作物に悪影響を及ぼす恐れがあります。
ビニールハウス栽培における温度管理の重要性
ビニールハウス栽培において温度管理は、品質よい作物を育てる上でとても重要となりますが、栽培管理技術が求められます。ビニールハウスの温度管理の難しさは、外部環境の影響を受けにくいというメリットの反面、露地栽培に比べて空気がこもりやすく、強い日差しによりビニールハウス内の温度が上がってしまうことが原因です。それにより、温度が上昇することで開花が遅れたり、果実が傷んだり、作物が枯れてしまうなど高温障害が発生しやすくなります。
密閉された空間は、温度とともに湿度も上昇するため、病害虫が繁殖しやすい環境にもなります。さらに、作業者の熱中症や脱水症状を引き起こしてしまう恐れもあります。そうなってしまうリスクを防ぐためにも、最適な暑さ対策が重要となってきます。
イノチオアグリが提案する夏の農業の暑さ対策
イノチオアグリではビニールハウスをはじめ、暑さ対策に関連する多種多様な製品を取り揃えています。今回は栽培用資材、ハウス資材、栽培システム・設備、リフォームの各カテゴリーに分けてご提案します。
栽培用資材
夏の暑さは、作物にとって非常に生きにくい環境です。特に、目に見えない根域には気を付けなければなりません。
夏の環境ストレスに対する抵抗性向上「スティムピュア」

夏場は暑さだけでなく、ゲリラ豪雨や梅雨により不安定な気候になる傾向があります。環境を整える新たなシステムの導入は、コストとタイミングの両面で難しい場合もあるでしょう。必要なタイミングに、低コストで対策をしたい方におすすめなのがスティムピュアです。
スティムピュアは、海藻より抽出された、ラミナラン(免疫刺激)、ベタイン(浸透圧調整)、マンニトール(ABA酸誘導)フコイダン(活性酸素除去)などが植物に働きかけ、内生的に植物ホルモンを活性向上させます。
静岡県でイチゴ栽培をされているお客さまは、スティムピュアを夏に灌注、冬は葉面散布で使用されました。作終わりまで葉の立が良く、チップバーンも少なく作後半もなり疲れも少なく、例年に比べて大きな実が獲れたのことです。
ハウス資材
施設園芸における暑さ対策としてイメージしやすいのがハウス資材ではないでしょうか。外部対策資材と内部対策資材、それぞれ目的に合わせて紹介します。
用途に合わせて選べるハウス内張りカーテン「なつみスクリーン」

なつみスクリーンは、イノチオアグリが手掛けるオリジナルのハウス内張りカーテンです。遮光・遮熱・保温と用途に合わせて製品をお選びいただけます。ハウス内に設置すること直射日光を遮り、ビニールハウス内の温度の上昇を抑えてくれ、温度を調整することができます。作物によって必要な太陽光の量が異なるため、育てる作物に適した遮光率の商品を選ぶと良いでしょう。なつみスクリーンは、薄く軽量で畳んだ際の収まりもよく、光を遮らないので日光が必要なタイミングでも使いやすくおすすめです。
ハウスに塗布して夏の暑い日差しと熱から作物を守る「遮光剤・遮熱剤Qシリーズ」

遮光剤や遮熱剤といったビニールハウス用の遮光遮熱塗料は、ビニールハウスの表面に吹き付けることでハウス内の温度上昇を抑える効果が期待できます。温度上昇を抑えることで、葉焼け防止など、作物への高温対策のほか、ビニールハウス内で働く人の作業負担が軽減に効果があります。
今回紹介する遮光剤・遮熱材Qシリーズは求める遮光期間と目的に合わせて選ぶことができます。特許を取得した微粒分子バインダーを使用しているため、降雨による自然剥離が均一です。そのため、ハウス内の遮光にムラが少なく、遮光が必要な期間に追加で塗布する必要がありません。また、吹き付けた遮光剤は、専用の除去剤を使用することで簡単に剝離できます。
栽培システム・設備
導入コストがかかる製品もありますが、栽培環境を整えるという意味ではぜひ検討いただきたいのが環境制御システムや自動灌水制御システムに代表される栽培システム・設備です。
ハウス内環境の見える化で高温化でも収量・品質を守る「環境制御システム エアロビート」

夏場のビニールハウス内は、急激に室内温度が上昇する恐れがあります。そのため、生産者がハウスに居ないがゆえに適切なタイミングで対処できず、結果として品質・収量を落してしまいます。そのような事態を防ぐために役立つのが環境制御システムです。
環境制御システム「エアロビート」は、ハウスを最大10区画・10棟を1台で管理できる高性能な環境制御システムです。制御点数を拡張することで最大320点とハウス内に設置されたさまざまな設備・システムを一括制御してくれます。
エアロビートは、高性能で1台で1ヘクタールを超えるような広い面積を制御できるのが魅力ですが、規模によっては機能を持て余してしまうことがあります。そのような方におすすめなのが「エアロビートmini」です。
エアロビートminiは、制御点数を8点・16点・24点とハウスの規模や制御したい設備・システムに合わせて選ぶことができます。また、制御可能な区画も最大2区画となっています。エアロビートから機能を抑えることで、価格も抑え、300㎡~2000㎡の栽培規模の生産者にも導入しやすい製品となっています。タブレット・スマートフォンでの遠隔での操作にも対応しているので、夏場の急激な温度上昇にも瞬時に対応できます。アラート機能でお知らせをしてくれるのも生産者にとっては安心材料となるでしょう。
関連製品:環境制御システム エアロビート
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細やかな灌水とムラの少ないEC管理で安定した栽培ができる「自動灌水制御システム アクアビートメビウス」

夏場の土壌・培地内の水分は、暑さとともに急激に奪われていきます。
イチゴ栽培を例にあげると、近年は夏=暑い時期が非常に長く、苗を定植しても想定よりも上手く生育できないといったケースがあります。この原因としては、低濃度でEC管理をしたいが濃度ムラの影響で均一な栽培管理はできなくなっています。特に夏場は、EC濃度が高すぎると根がやけてしまう恐れがあり、品質にも影響がでてきます。このようなケースにおすすめしたいのが、灌水制御システム「アクアビートメビウス」です。
アクアビートメビウスは、株ごとに灌水できる灌水設定をできるだけでなく、EC制御機能も搭載しています。EC制御は、肥料濃度を値で設定して灌水を管理し、肥料濃度のムラを軽減してくれます。この濃度ムラの軽減を可能にしているのがインラインミキシング方式です。液肥混入後に送水ポンプで給液ユニット内を循環させ、配管内で攪拌(かくはん)することで濃度ムラを軽減してくれます。アクアビートメビウスは、他にもpH制御と日射制御にも対応しているため年間を通して作物を選ばずご使用いただけます。
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培地内水分量の見える化で水分不足を補う「培地重量センサ スラブサイト」

栽培用資材でも説明している通り、栽培において根域つまり培地内を目で確認できないことは大きな課題です。熟練の生産者であれば、葉や果実の状態を見て経験と勘で判断できるかもしれませんが、経験の浅い生産者が同じような判断をすることは難しいと言えるでしょう。このような経験を補い、適切な栽培の判断に役立つのが培地重量センサ「スラブサイト」です。
スラブサイトは、培地重量をリアルタイムで測り、PC の画面でグラフ化することで今の培地内の水分状況を把握することができます。排液が出るのを待たなくても、灌水設定に問題ないか確認をすることができます。使用に関しても、隔離溶液栽培用であれば、ロックウールやヤシガラなどさまざまな培地に対応しています。
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細かな粒子の霧がハウス内の温度を整える「ミストシステム」

ミストシステムは、微細な霧状の水を高圧で噴射することで、空気中に噴霧された細かいミストが周囲の熱を奪い気化させます。これが気化熱による温度の低下です。そして作物の蒸散作用が活性化され、水分や栄養素をより効率的に吸収する効果もあります。夏場の高温多湿な環境下でも、作物のストレスを軽減し、成長を促進させます。
ハウス内の空気を循環させて熱い空気を籠らせない「循環扇」

循環扇は、ビニールハウス内の空気を吸い込み攪拌(かくはん)することで、空気の循環を促進します。これにより、空気中の湿度や温度、二酸化炭素の濃度を均一にすることができ、病気や害虫の発生を防ぐことも可能です。
ヒートポンプと併用することで、エアコンの冷房効率を向上させることもできます。冷たい空気が部屋全体に行き渡り、省エネにつながります
ビニールハウスリフォーム
イノチオアグリが提供するビニールハウスリフォームは、自社製だけでなく、他社製のリフォームにも対応しています。近年では、ビニールハウス本体の価格高騰に伴い、リフォームを施して長期利用をする、中古ハウスをリフォームして栽培環境を整えるといった依頼も増えてきています。
古くなったハウスの環境を改善して収量増へ「かさ上げ」

暑さ対策として紹介したいリフォームが「かさ上げ」です。かさ上げリフォームはハウス環境の改善、ファンの設置、カーテンや誘引の取付けなど、作替えや栽培方法の変更による栽培環境の課題(見直し)をかさ上げ工事で解決します。
お客さま事例「ハウスのかさ上げリフォームでミニトマトの収量3割増を実現」

鈴木昌則さんは、愛知県田原市で約20年間、ミニトマトの栽培に取り組んでいます。栽培品種はTY千果とTS-MT620の2品種で、消費者や市場は量よりも美味しく質の高いミニトマトを求めています。田原市は全国的に一流の農業産地であるというプライドがあり、所属する部会では量よりも質を重視しています。
以前、さらなる品質と収量を目指して環境制御に取り組みはじめ、炭酸ガス発生器と栽培システム機器を導入しましたが思っているように上手くいきませんでした。同じように環境制御に取り組み、成果を出していたミニトマト農家の友人のハウスを尋ねたところ、かさ上げされたハウス、立派に育つミニトマトと涼しいハウス内環境に驚きを感じました。友人の、環境制御をする上で重要なのは「飽差などの数値よりも、ハウス内温度の急激な変化を避けること」という言葉から機器の導入だけでなく、環境制御に適したハウス内環境に改善できる「かさ上げリフォーム」が必要だということに気づいたとのことです。
かさ上げリフォームの効果はてきめんで、収量は3割増加し、10aあたり15tの収量を達成しました。これにより、栽培環境と作業環境が大幅に改善され、ミニトマトの質も向上しました。
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夏の農業の暑さ対策でお悩みの方はイノチオアグリへ!
夏と言えば、以前は7月~9月という感覚がありましたが、近年では5月~10月の期間で30度を超える暑い日が続きます。お客さまからも毎年、暑さへのお悩みや解決策に関してご相談いただきます。イノチオアグリは愛知県を拠点に、東は宮城、西は福岡に拠点を置き、全国のお客さまの課題を解決しています。暑さ対策でお悩みの方は、イノチオアグリへお気軽にご相談ください。