「農業に興味はあるけれど、公務員って副業できるの?」
そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。

近年、地方創生や食の安全への関心の高まりとともに、公務員として働きながら農業に挑戦する人が少しずつ増えています。
しかし、公務員には副業に関する厳しいルールがあるため、「本当にできる?」「どこまでOK?」と不安に感じてしまうのも無理はありません。

このコラムでは、公務員が農業を始めるために知っておきたい制度や注意点、メリット、そしておすすめの作物まで、わかりやすく解説します。

目次

  1. 公務員が農業をはじめる前に必要な知識とは?
  2. 公務員が兼業で農業をはじめるメリットとは
  3. 公務員が兼業で農業をはじめる際に注意したいこと
  4. 公務員の農業におすすめの栽培作物とは
  5. 農業のことならイノチオアグリにご相談ください

公務員が農業をはじめる前に必要な知識とは?

本業を持ちながら農業にも取り組む人のことを、「兼業農家」といいます。公務員でも、条件を守れば兼業農家として農業を行うことが可能です。

ここからは、公務員として農業をおこなう際に必要となる情報を解説します。

公務員の副業規定とは

公務員が副業で報酬を得るには、厳格なルールがあります。これは、職務の公正性や効率性を守るためのものです。
副業自体が全面的に禁止されているわけではなく、事前に所属機関の長に申請し、許可を得る必要があります。

許可の可否は、副業の内容が公務に与える影響や利害関係の有無、時間的負担などを総合的に判断して決まります。また、許可される副業は、公務との独立性や公益性が重視され、その内容はある程度限定されます。

副業での農業は可能?

公務員が副業として農業を行う場合、自給自足を目的とした小規模なものであれば、原則として許可されやすいと言われています。農業が盛んな地域の場合は、比較的大きな規模の農業でも認められるケースがあります。

ただし、以下のような場合は注意が必要です。
・公務員としての職務と密接に関係する農業:利益相反や公正性の問題から、許可が下りにくい
・時間的・金銭的負担が大きい農業:本業への影響が懸念されるため、制限される可能性あり

また、無許可で副業を始めたり、虚偽の申告をした場合には、停職や減給などの処分を受けるリスクもあります。副業を始める際は、必ず所属機関のルールを確認し、正しい手続きを踏むことが大切です。

公務員が兼業で農業をはじめるメリットとは

続いては、公務員が農業をすることで得られるメリットについてご紹介します。

収入の増加・安定

公務員として安定した収入があるうえに、農業で副収入を得られることで、経済的にゆとりが生まれます。将来的にも、農業を続けていけば、年金や退職後の生活を支える収入源として期待できるでしょう。

一方で、農業を専業で始める場合は、収穫までに時間がかかり、最初のうちは収入が不安定になることもあります。その点、兼業であれば本業の収入があるため、安心して農業にチャレンジできるのが大きなメリットです。

地域社会への貢献

公務員として働きながら農業にも取り組むことで、地域とのつながりがより深まります。

公務員は地域住民の暮らしを支える重要な役割を担っており、そこに農業というもう一つの視点が加わることで、食の安定供給や自然環境の保全といった面でも地域に貢献できるようになります。

また、地元のイベントに参加したり、自ら育てた農産物を販売したりすることで、地域の人々との交流が生まれ、地域全体の活性化にもつながります。さらに、公務員として得た知識やネットワークを農業の現場に活かすことで、課題解決にも一役買うことができるでしょう。

このように、兼業農家と公務員という二つの立場を活かすことで、地域社会に多角的な形で貢献することが可能になります。

スキルを磨いて兼業との相乗効果を発揮

公務員としての仕事と農業を両立することで、異なる分野のスキルや知識がうまくかみ合い、相乗効果が生まれます。

たとえば、公務員として身につけた計画力や管理能力、法令に関する知識は、農業の現場でも大いに役立ちます。一方で、農業を通じて得られる自然や地域環境への理解は、公務員としての地域づくりにも活かすことができます。

こうした経験の積み重ねは、どちらの仕事の質も高めてくれますし、自分自身のスキルアップにもつながります。

公務員が兼業で農業をはじめる際に注意したいこと

続いて、副業として農業を行う際に注意したいポイントを解説します。

職務への影響

副業によって本業がおろそかになったり、公務員としての信頼を損なうような行為は当然ながら認められていません。たとえ農業が早朝や週末などの時間に行われるとしても、本業に支障が出ないよう、しっかりと配慮することが求められます。

そのためにも、計画的に時間を管理し、効率よく作業を進めることが大切です。公務員としての責任を果たしながら、農業にも真摯に取り組むことが重要です。

公務員としての倫理を遵守する

公務員は常に公共の利益を優先する立場にあります。副業として農業を行う際も、公務で得た情報を私的に利用するなど、公私混同にあたる行為は避けるべきです。信頼を損なわないよう、誠実な姿勢と責任ある行動を心がけましょう。

特に地域の補助金制度や開発計画など、職務上知り得た情報を自らの営農活動に活用することは、倫理的に問題があるとみなされるおそれがあります。

また、公務員としての立場を利用して利益を得る行為も厳禁です。地域社会との信頼関係を築くために、常に公正であることが求められます。

農業収入も忘れずに申告を

公務員としての安定した給与と、兼業で得た農業収入は、税制上は別々に扱われます。

給与は通常、源泉徴収されていますが、農業収入については自分で確定申告を行う必要があります。ここで注意したいのは、給与と農業収入を合算した「総所得」に応じて税率が決まるという点です。給与が高い場合、農業収入にも高い税率が適用される可能性があります。

そのため、農業にかかる必要経費をしっかりと記録し、適切に申告することで、課税対象となる所得を抑えることが重要です。また、公務員として利用できる福利厚生制度なども活用し、農業に伴うリスクを軽減する工夫も忘れずに。副業として農業を行う際は、税務面の管理も計画的に行いましょう。

関連記事:農業経営における確定申告の重要性とは?経費や必要書類を徹底解説

公務員の農業におすすめの栽培作物とは

副業としての農業で栽培する作物は、「手間」「単価」「作付面積」の3つに注目して選ぶことをおすすめします。

副業で農業をする場合は大量生産が難しいため、利益を出すには作物の選び方が重要なポイントとなります。

手間がかからない作物

手間のかからない作物として、根菜類の野菜が挙げられます。水やりの頻度や肥料が少なくて済むことや、収穫タイミングが長いといったメリットがあり、栽培の手間を省くことができます。

例として、以下のような野菜がおすすめです。
・ジャガイモ
・さつまいも
・里芋
・しょうが
・ビーツ
これらは、種芋を植えれば土の中で育つため、手間のかからない作物と言えます。

単価が高い作物

単価が高いのは、「ミョウガ」「タラの芽」「アスパラガス」です。

ミョウガは病気や害虫になる可能性が低く、毎年収穫することができます。
ネット販売では、1キロあたり5,000円以上で販売されているものもあります。

タラの芽やアスパラガスも単価が高く、栽培にも大きな手間がかからないため、おすすめの作物です。

狭い面積で栽培可能な作物

まとまった農地を取得するのは難しいため、農業のために使えるスペースが少ないことで悩んでしまう場合があります。

狭い作付面積で栽培できる作物として、「ナス」や「トマト」があります。1つの苗から複数の実を収穫できるという点で、おすすめの作物です。

農業のことならイノチオアグリにご相談ください

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