近年、世界的な人口増加や気候変動、そして持続可能な社会の実現に向けた取り組みの中で、「農業」が改めて注目を集めています。特に、安定した食料供給の確保や環境保全といった社会的意義に加え、テクノロジーの進化による生産性向上など、農業分野には多くの可能性が広がっています。こうした背景のもと、資産運用の一環として「農業投資」に関心を寄せる個人や企業が増えてきました。

今回は、農業投資の基本的な考え方から、具体的な投資手法、注目される背景、そしてメリット・デメリットまでを幅広く解説します。農業分野への投資を検討する際の参考として、ぜひご活用ください。

目次

  1. 農業投資とは
  2. 農業投資の方法
  3. 農業投資が注目される背景
  4. 農業投資のメリット
  5. 農業投資のデメリット
  6. 農業投資を成功させるポイント
  7. 農業投資で期待されている分野
  8. 成果につながる農業投資を行うために
  9. 農業のご相談はイノチオアグリへ

農業投資とは

農業投資とは、個人や企業が、利益を見込んで農業分野に資金を投じることを指します。たとえば、農業関連企業の株式を購入したり、農業ファンドに出資して配当を得るといった方法があります。

さらに、企業が農業事業に直接参入したり、自社の技術やノウハウを農業に応用することで、新たな収益を生み出すケースもあります。

農業投資の方法

農業に投資する方法として、次の4つがあります。

農業関連企業への株式投資

農業関連企業の株を取得することで、農業分野に投資します。

対象となるのは、農業を直接営む企業だけでなく、種苗、農薬、肥料、農業機械、農業のデジタル化(農業DXなど)といったように、農業に関わっている幅広い株式も含みます。

国内では、人口減少により需要の縮小が懸念されていますが、海外市場を視野に入れたグローバル展開や、スマート農業の導入といった前向きな動きも進んでいます。

農業ファンドへの投資

農業ファンドとは、農業や畜産業に関連する事業や企業に資金を投じるために組成されるファンド(基金)のことです。農業や畜産に携わる企業や生産者が、栽培や販売に関するプロジェクトを立ち上げ、出資を募る仕組みです。

近年では、クラウドファンディングの形式で行われる例も増えています。具体的な投資対象としては、しいたけの生産・販売や、ブランド牛の育成・流通などが挙げられます。

農業への参入

農業分野に直接参入する方法もあります。特に、飲食業や食品の流通・販売を行っている企業にとっては、比較的取り組みやすい分野といえるでしょう。

実際に、こうした業種の企業が農業事業に乗り出す例は多く見られます。また、主にリースや金融サービスを提供しているような、食や農業とは直接関係のない分野の企業が農業に参入するケースも増えています。

農業分野への技術・ノウハウ転用

農業分野に対して、自社の技術やノウハウを応用することで投資を行う方法もあります。たとえば、ロボット技術やAI、IoTなどを活用して、農作業の効率化や省力化を図る取り組みが挙げられます。

こうしたハード面の技術だけでなく、製造業で培った生産管理手法を農業現場に応用したり、旅行業のノウハウを活かして農業体験と観光を組み合わせたサービスを提供するなど、ソフト面での展開も見られます。

農業投資が注目される背景

農業投資は、以下3つの背景により注目されています。

食料安全保障と国内需要の安定

食は人間の暮らしに不可欠な要素です。さらに今後は世界的な人口の増加や気候変動などの影響によって、その重要性がさらに高まると予想されています。

日本国内においても、常に一定の食料需要が存在しており、また景気の変動による影響を受けにくいことから、農業分野は安定した投資先として注目を集めています。

サステナビリティとESG投資の拡大

環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)といった要素を重視するESG投資が、世界的に広がりを見せています。地球環境の保護や地域社会への貢献といった観点から、持続可能なビジネスモデルが高く評価される傾向にあります。

また農業は、食料の供給だけでなく、土地の保全や生態系の維持にも深く関わっています。こうした価値に着目し、資産運用の一環として農業に関心を寄せる企業や投資家が増えています。

スマート農業の普及と技術革新

近年では、ドローンによる農薬散布やAIを活用した生育管理システムなど、先端技術を取り入れたスマート農業が急速に進展しています。これにより、従来の「経験や勘」に依存していた農業から、科学的なデータに基づいた効率的な農業へと移行が進みつつあります。

こうした技術革新によって、生産性の向上や収益性の改善、さらには、人手不足や自然災害による収量減などといったリスクの軽減も期待されています。

農業投資のメリット

続いて、農業投資のメリット・デメリットについて解説します。

長期的な投資対象として見込める

農業は生きていくのに欠かせない「食」に直結する分野であり、流行や一時的な社会の変化に左右されにくく、急に無くなることはまず考えられません。そのため、長期的な視点で安定した投資先として見込むことができます。

持続的な収益を期待できる

日本の食料自給率は2023年時点で38%(カロリーベース)と低水準であり、将来的な食料供給への不安が指摘されています。こうした背景から、国内農業の活性化に向けた取り組みが進められており、今後も一定の成長が見込まれます。

例えば、持続可能な農業構造の構築に向けた人材の育成・確保、農業経営の支援や事業承継の円滑化、農業基盤の整備、スマート農業の導入による生産性向上などが挙げられます。これらの動きにより、農業分野は持続的な収益が期待できる投資先として注目されています。

食料の安定供給へ貢献できる

先述の通り日本国内の食料自給率は諸外国と比べて低い状態であり、将来に対する不安が拭えません。

そこで、農業分野への投資を行うことで国内農業の活性化へ寄与し、食料の安定供給へ貢献できる点も農業投資を行うメリットです。

環境負荷の軽減につながる

化学肥料や農薬の使用による環境負荷を抑えた、環境保全型農業を対象とする投資は、環境保護への貢献につながるという点でメリットがあります。

こうした取り組みに資金を投じることで、持続可能な社会の実現に寄与することができ、法人による投資であれば、企業イメージの向上にもつながる可能性があります。

農業投資のデメリット

天候や気候などの予測困難なリスクが伴う

農業には、天候や気候など自然条件に左右されやすく、予測やコントロールが難しいというリスクがあります。たとえ需要が十分にあっても、天候不順や災害などにより生産や供給が滞る可能性があるため、こうした不確実性は農業投資のデメリットの一つといえます。

農業参入には初期投資や生産体制の確立が不可欠

農業に新たに参入する場合には、農地の取得(借入・購入)や設備・機械の導入など、初期段階での投資が大変重要です。加えて、実際の作業を担う人材の確保、農業で収益を出すための技術の習得などを含め、生産体制を構築する必要があります。

農業投資を成功させるポイント

事前調査と専門家への相談を実施する

農業関連の法律や市場の動き、投資先のビジネスモデルなどは複雑なケースも多いため、行政機関や農業コンサルタント、金融機関などから正確な情報を集めることが大切です。

専門家のサポートを受けることで、投資判断の精度を高めつつ、リスクを抑えることにもつながります。

リスク分散を徹底する

自然災害は避けることが難しいリスクのひとつです。そのため、複数の作物や地域に分けて投資を行う、あるいは災害に強い施設や設備を備えた企業を選ぶといった工夫が重要です。

また、農業に観光や加工などの要素を組み合わせ、複数の収益源を持つ企業やファンドを検討することで、リスクを分散しながら安定した収益の確保にもつながります。

長期的な視点と柔軟な経営戦略を持つ

農業は、種まきから収穫までに一定の時間がかかります。
短期的な利益だけを求めるのではなく、長期的な視点を持って取り組むことが大切です。

最新技術の活用を評価する

ドローンやAI、IoTセンサーなどの技術を活用したスマート農業の広がりにより、生産効率の向上や品質の安定が期待されています。
さらに、ECサイトやSNSを活用して販路を拡大している企業は、ブランド力や販売力の面で優位に立つ可能性も高まります。

投資先を選ぶ際には、こうした最新技術の導入状況や、デジタルマーケティングの取り組みにも注目することで、より成長性の高い選択につながるでしょう。

最新技術の活用を評価する

ドローンやAI、IoTセンサーなどの技術を活用したスマート農業の広がりにより、生産効率の向上や品質の安定が期待されています。
さらに、ECサイトやSNSを活用して販路を拡大している企業は、ブランド力や販売力の面で優位に立つ可能性も高まります。

投資先を選ぶ際には、こうした最新技術の導入状況や、デジタルマーケティングの取り組みにも注目することで、より成長性の高い選択につながるでしょう。

農業投資で期待されている分野

続いて、農業分野で今後の発展が期待されている分野についてご紹介します。

産直ECサイト

産直ECサイトとは、生産地から直接商品を購入できるオンラインショップのことです。これらのサイトを利用することで、農林水産業に携わる事業者への支援につながります。購入者が得られるのは商品そのものですが、その利用が各事業者、さらには産業全体の成長を後押しする一助となります。

新型コロナウイルス感染症の影響で外出を控える動きが広がる中、自宅で手軽に美味しい食材を楽しめる手段として、産直ECサイトの利用が急増しました。この傾向は、コロナ禍以降も継続しています。

アグリビジネスの6次産業化

生産・加工・販売を一体化する「6次産業化」への関心が高まっています。
たとえば、果物を自社で加工し、観光農園やECサイトで直接販売することで、付加価値を高め、安定した収益を生み出すビジネスモデルが実現できます。

有機農業・オーガニック市場

健康志向の高まりや環境への配慮が進む中、有機農業やオーガニック製品への関心が強まり、需要も増加しています。これらの製品は一般的な栽培品よりも高値で取引されることが多く、ブランドとしての価値を確立できれば、収益性の向上も期待できます。

「株式会社オーガニックnico」は、京都市に建設したイノチオアグリのビニールハウスで、トマトの有機栽培を実践しています。「有機栽培を誰でも取り組める農業に」という想いに加えて、農林水産省が掲げた「2025年までに有機農業の農地を耕地の25%に拡大する」という目標の達成も重視しながら、栽培に取り組まれています。

株式会社オーガニックnicoの事例は、こちらからさらに詳しくご覧いただけます。
関連事例:有機農業を世の中へ広めたい -オーガニックnico

スマート農業

AIやドローン、IoTセンサーなどの技術を活用した“スマート農業”は、農業分野における人手不足や生産効率の課題を解決する手段として、近年ますます注目を集めています。省力化や品質の安定化を図ることで、収益性の向上にもつながるとされており、2025年には関連市場が100億円を超えるとの予測もあります。

これまで勘や経験に頼っていた栽培状況の把握を、数値で「見える化」できるスマート農業機器は、生産管理の効率化に大きく貢献します。しかし、操作や活用方法が難しく感じられる方も少なくありません。導入したものの、十分に活用できないケースも見受けられます。
イノチオアグリでは、スマート農業製品の販売だけでなく、機器の導入後も継続的な活用支援を行っています。現場での運用がスムーズに進むよう、丁寧なサポート体制を整えており、安心してスマート農業に取り組んでいただけます。

関連事業:イノチオアグリのスマート農業事業

成果につながる農業投資を行うために

日本の農業は少子高齢化や後継者不足、国際競争など多くの課題を抱えていますが、第6次産業化やESG投資の広がりにより、ビジネスチャンスは着実に拡大しています。

農業投資は中長期的な視点で取り組むことで、安定した収益と社会的意義の両立が可能です。自然災害や気候変動といったリスクも、技術革新や保険制度の整備により一定の対応が進んでいます。

農業のご相談はイノチオアグリへ

農業分野における投資の可能性が広がる中、現場での実践を支える体制もますます重要になっています。

イノチオアグリは、ビニールハウスに携わって50年以上の実績を持つ「農業総合支援企業」として、施設の建設から農業IT機器の導入、収支シミュレーションに基づく作物・栽培方法の提案、資材の提供まで、幅広いサービスを展開しています。導入後のサポートも含め、お客さま一人ひとりの課題に寄り添いながら、持続可能な農業経営を支援しています。

農業に関するご相談は、ぜひイノチオアグリへお寄せください。