本年度は降雨が少ない状況が続いていますが、例年、2月〜3月は低温と多湿が重なり、キクでは「菌核病」の持ち込みが増える傾向があります。普段あまり目にする機会がないという方もいるかもしれませんが、菌核病は一度圃場で発生すると、翌年以降も繰り返し発生しやすい、とても厄介な病気です。

そこで本コラムでは、菌核病の症状、発生の原因や感染経路、そして有効な防除方法までをできるだけわかりやすく解説します。健全なキクづくりを続けていくためのヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。

キク栽培における菌核病の症状

菌核病は、キクの地際部の茎や葉の先端部から発生するのが大きな特徴です。

最初はあめ色に変色した病斑が現れ、症状が進むと白色・綿毛状の菌糸が生じます。さらに病勢が進むとが茎葉萎れ、最終的には株が枯死してしまいます。

最も特徴的なのは、罹病した茎の外側や内部に形成される黒いネズミの糞状の菌核で、これが翌年以降の重要な伝染源になります。

菌核病の原因は?

原因となる病原菌は Sclerotinia sclerotiorum(スクレロティニア・スクレロチオラム)という子のう菌類の糸状菌で、多くの作物に感染する“多犯性”の病原菌です。キクでは 葉や茎に発生し、

  • 露地栽培:地際部の茎から症状が始まる
  • 施設栽培:株の上位部から発生することが多い

といった違いが見られます。

発生条件

菌核病は低温~中温(20℃前後)、かつ多湿環境 で発生しやすく、施設栽培では湿気のこもりやすい環境が助長要因となります。また、病原菌はキク以外の作物にも感染し、広く生存できる点も厄介です。

どうやって感染する? 菌核病の感染経路とは

菌核病の主な伝染源は、茎内や土壌中に残った黒い菌核です。菌核は土の中で数年生存し、適温になると小さなキノコ状の子のう盤を形成し、そこから子のう胞子が空気中へ飛散して新たな感染を引き起こします。飛散した子のう胞子は、新しく植えられた作物の葉・茎に付着して発芽し、菌糸が組織内部へ侵入。植物体を軟化腐敗させながら病斑を広げます。

また、施設栽培では空気伝染だけでなく、罹病植物の残渣がそのまま残っていると直接感染することもあります。菌核病が厄介と言われるのは、土壌伝染(菌核が土に残る)、空気伝染(胞子が飛ぶ)の二方向から拡散するためです。

菌核病防除のポイント

防除には大きく分けて耕種的防除と薬剤防除の2つの防除対策があります。

耕種的防除

菌核病は一度広がると厄介なため、まずは発生源の除去と環境管理が重要です。

①罹病株・罹病葉の早期除去と圃場外処分
病斑部や菌核がついた茎葉は強力な伝染源となるため、出来るだけ根から抜根し、圃場外へ持ち出して処分します。土壌中に菌核が残ると翌年以降の発生源になるため、圃場に発病株の残渣を残さないことが重要です。

②ハウス内の温湿度管理・排水性改善
菌核は湿度の高い環境で活性が上がるため、ハウス内の換気を徹底し、排水を良くして過湿状態を避けます。特に施設栽培は湿気がこもりやすいため、こまめな温湿度調整や早朝加温、循環扇の活用も効果が期待出来ます。

薬剤防除

菌核病発生圃場では、菌核が土壌中に残ると次作の感染源となります。そのため、作終了後や次作の作付け前には、白絹病や立枯病の防除を兼ねて、クロルピクリン剤による土壌消毒の実施をお勧めします。

なお、キク栽培では多く使用されていますD-D剤はセンチュウ類には有効ですが、菌核病などの土壌病害には効果がありません。

キクの土壌消毒に使用できるクロルピクリン剤の例

・クロルピクリンくん蒸剤
(クロールピクリン、クロピク80、ドロクロール、クロルピクリン錠剤 など)

※ご使用の際は、必ずラベルに記載された使用量・方法・注意事項をご確認ください。

イノチオの防除チラシ2月号では、冬場~春先に発生の多い菌核病・白絹病について紹介しています。ぜひご覧ください。


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