これから農業を始めようと考えたとき、多くの人が最初に悩むのが「どんな野菜を作ればいいのか」という点ではないでしょうか。
野菜には非常に多くの種類があり、それぞれに栽培のしやすさや収益性、販売先の特徴があります。経験が少ない段階で作物を選ぶのは、決して簡単なことではありません。
そこで本コラムでは、生産量と購入量という客観的な統計データを基にした野菜ランキングを紹介します。
「よく作られている野菜」「よく買われている野菜」を知ることで、これから農業をはじめる方が作物選びを考える際の、ひとつの判断材料になることを目的としています。

目次

  1. 野菜ランキングは「生産量」と「購入量」から考える
  2. 生産量が多い野菜ランキング【ベスト10】
  3. 購入量が多い野菜ランキング【ベスト10】
  4. これから作る野菜を選ぶときのポイント
  5. 安定した野菜生産には「リスク対策」と「栽培環境」が重要
  6. まとめ|統計を“判断材料”として活かす
  7. 農業をはじめる際のお悩みは、イノチオアグリへ相談!

野菜ランキングは「生産量」と「購入量」から考える

なぜ生産量・購入量が重要なのか

生産量は、その野菜が全国でどれだけ作られているかを示す指標です。
生産量が多い野菜は、産地形成や流通体制、栽培ノウハウが確立されており、新規就農者でも情報を集めやすいという特徴があります。

一方、購入量は、消費者が実際にどれだけその野菜を購入しているかを示します。
購入量が多い野菜は、家庭での使用頻度が高く、価格変動があっても一定の需要が見込めます。

この2つを組み合わせて見ることで、「作りやすさ」と「売りやすさ」の両面から野菜を考えることができます。

今回のランキングの基準について

いずれも国が公表している公式統計であり、信頼性の高いデータです。

生産量が多い野菜ランキング【ベスト10】

生産量ランキング一覧

順位 野菜名 特徴・ポイント
🥇 1位 だいこん 全国で産地形成が進み、安定供給されている
🥈 2位 キャベツ 需要が高く、作型の幅が広い
🥉 3位 はくさい 秋冬野菜の代表格で鍋需要が高い
④ 位 たまねぎ 保存性が高く業務用需要も多い
⑤ 位 にんじん 通年需要があり家庭消費も安定
⑥ 位 じゃがいも 加工・家庭用ともに需要が広い
⑦ 位 トマト 施設栽培が中心で比較的単価が高い
⑧ 位 きゅうり 回転が早く直売所向き
⑨ 位 なす 地域差が出やすい野菜
⑩ 位 ねぎ 薬味・業務用で安定需要

※出典:農林水産省「作況調査(野菜)」令和6年(2024年)

生産量ランキングから分かること

令和6年の生産量データを見ると、だいこんやキャベツ、はくさいなど、露地栽培を中心とした定番野菜が上位を占めています。
これらの野菜は、長年にわたり栽培されてきた背景があり、品種情報や栽培マニュアル、指導事例が豊富です。

一方で、生産量が多い野菜は供給が集中しやすく、価格変動リスクがある点にも注意が必要です。
そのため、出荷時期をずらす、直売所や加工用途も視野に入れるなど、複数の販売戦略を組み合わせることが重要になります。

購入量が多い野菜ランキング【ベスト10】

購入量ランキング一覧

順位 野菜名 購入量が多い理由
🥇 1位 たまねぎ 保存性が高く料理用途が幅広い
🥈 2位 じゃがいも 主菜・副菜どちらにも使いやすい
🥉 3位 にんじん 彩り・栄養面で使用頻度が高い
④ 位 キャベツ 生食・加熱調理の両方に対応
⑤ 位 だいこん 煮物・鍋料理での使用が多い
⑥ 位 トマト 生食需要が高く通年消費される
⑦ 位 きゅうり 即食性が高く夏場の需要が強い
⑧ 位 なす 和食を中心に調理用途が豊富
⑨ 位 ねぎ 薬味・業務用需要が安定
⑩ 位 ほうれんそう 栄養価が高く家庭料理で定番

※出典:総務省統計局「家計調査(品目別購入数量)」令和6年(2024年)

購入量ランキングから分かること

令和6年の購入量データからは、たまねぎ・じゃがいも・にんじんといった、生活に欠かせない野菜が依然として高い需要を保っていることが分かります。
物価や生活スタイルの変化がある中でも、日常使いされる野菜は購入量が大きく落ちにくい傾向があります。

これから作る野菜を選ぶときのポイント

統計データ(生産量・購入量)をどう使うか

生産量・購入量のランキングは、作物選びの大きなヒントになりますが、
「ランキング上位=必ず成功する」わけではありません。
重要なのは、統計データをどう読み解き、どう自分の状況に当てはめるかです。

ここでは、令和6年(2024年)の統計データを踏まえながら、これから作る野菜を選ぶ際に意識したいポイントを解説します。

① 需要(売り先)を先に考える【購入量データの使い方】

まず考えるべきなのは、「作った野菜をどこで売るのか」という点です。
購入量が多い野菜は、家庭での消費頻度が高く、売り先を想定しやすいというメリットがあります。

たとえば、たまねぎ・じゃがいも・にんじんなどは、家計調査でも常に上位に入り、直売所・量販店・業務用と幅広い需要があります。
このような野菜は、「売れ残るリスク」が比較的低く、初心者でも取り組みやすい作物といえます。

一方で、購入量が多い野菜は、

  • 見た目や品質への要求が高い
  • 価格競争が起こりやすい

といった側面もあります。
購入量データは、「売りやすさ」を測る指標として活用するのがポイントです。

➁生産量から「競争の激しさ」と「ノウハウ量」を読む

生産量ランキングは、その野菜が全国でどれだけ作られているかを示しています。
生産量が多い野菜には、次のような特徴があります。

  • 栽培技術や品種情報が豊富
  • 指導事例や参考資料が見つけやすい
  • 種苗・資材の選択肢が多い

これは、新規就農者にとって大きなメリットです。
だいこんやキャベツ、はくさいなどが代表例といえるでしょう。

一方で、生産量が多いということは、同じ野菜を作っている人が多いということでもあります。
そのため、天候条件などが重なると供給過多になり、価格が下落しやすい点には注意が必要です。

生産量データは、「作りやすさ」と「競争の激しさ」を同時に示す指標として読み取ることが大切です。

③ 生産量×購入量で「安定型の野菜」を見つける

統計データを活用するうえで、特に参考になるのが、生産量・購入量の両方で上位に入っている野菜です。

令和6年(2024年)データでは、

  • たまねぎ
  • にんじん
  • じゃがいも
  • キャベツ
  • だいこん
  • トマト

などがこれに該当します。

これらの野菜は、

  • 作られている量が多い
  • 実際に買われている量も多い

という点から、需要と供給のバランスが比較的安定していると考えられます。
作物選定で迷った場合は、こうした野菜を「検討候補の軸」に据えるのも一つの方法です。

④ 地域・気候と統計データを組み合わせて考える

全国データはあくまで全体傾向を示すものです。
実際に作る際は、自分の地域との相性を必ず確認しましょう。

たとえば、

  • 自分の地域が主要産地になっている野菜
  • 周辺に同じ作物の出荷者が多いか
  • 作期が他産地とずらせるか

といった点を、統計データと合わせて考えることが重要です。

全国ランキング上位でも、地域条件が合わなければ収益化が難しい場合があります。
統計データは「方向性を示す地図」として使い、最終判断は地域性と自分の経営条件で行うのが基本です。

⑤ 「作り続けられるか」という視点を忘れない

統計データを見て野菜を選ぶ際に、見落とされがちなのが「継続性」です。
農業は単年で終わるものではなく、数年単位で続けていく前提の仕事です。

  • 作業量が自分の体力に合っているか
  • 繁忙期が集中しすぎないか
  • 他の作物と組み合わせやすいか

といった点も含めて考える必要があります。

最初から一つの野菜に絞るのではなく、主力候補+試験的な野菜という形で複数品目に取り組み、実際の作業や販売を通じて判断していく方法もおすすめです。

安定した野菜生産には「リスク対策」と「栽培環境」が重要

ここまで、令和6年(2024年)の生産量・購入量データを基に、野菜ランキングと作物選びの考え方を紹介してきました。

しかし、実際の農業経営においては、
「何を作るか」と同じくらい重要なのが、
どのような環境で安定して作り続けるかという視点です。

野菜の生産は自然条件の影響を大きく受けるため、事前にさまざまなリスクを想定し、それに対応できる体制を整えることが重要になります。

野菜栽培にはさまざまなリスクがある

農業における主なリスクとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 天候変動(猛暑・長雨・台風・寒波など)
  • 病害虫の発生
  • 生育不良や収量のばらつき
  • 出荷時期のずれによる価格変動

特に近年は気候変動の影響もあり、従来の作型が通用しにくくなっている地域も増えています。
統計データで見る生産量や需要は重要な指標ですが、実際にはこうしたリスクをどうコントロールするかが、安定した経営の鍵となります。

安定生産を目指すなら施設園芸という選択肢

こうしたリスクを抑えながら安定的に野菜を生産したい場合、有効な手段の一つがビニールハウスを活用した施設園芸です。

施設園芸では、以下のようなメリットがあります。

  • 天候の影響を受けにくい
  • 温度・湿度などの環境をコントロールできる
  • 病害虫リスクを抑えやすい
  • 出荷時期を調整しやすい

これにより、収量や品質のばらつきを抑えながら、計画的な栽培・出荷が可能になります。

ランキング上位野菜×施設園芸という考え方

今回紹介したランキングの中でも、トマトやきゅうり、なすなどは、施設園芸との相性が良い野菜です。
これらは需要が安定している一方で、天候の影響を受けやすい側面もあるため、栽培環境を整えることで収益性を高めやすい特徴があります。

そのため、

  • 「需要がある野菜を作りたい」
  • 「安定して出荷できる体制をつくりたい」

と考える場合は、統計データに加えて、栽培環境(施設導入)まで含めて検討することが重要です。

まとめ|統計を“判断材料”として活かす

生産量・購入量の統計データは、「何を作ればいいか」を決めるための強力な判断材料です。

ただし、ランキングを見る、上位の野菜をそのまま選ぶではなく、「なぜ上位なのか」「自分の条件に合うか」を考えることが重要です。

統計データを正しく使いながら、自分に合った野菜を選んでいきましょう。

農業をはじめる際のお悩みは、イノチオアグリへ相談!

これから農業をはじめるにあたり、作る野菜選びだけでなく、栽培環境づくりや資材選定、経営の考え方まで含めて悩まれる方も多いのではないでしょうか。

イノチオアグリでは、野菜栽培に関する資材提案はもちろん、これから農業に取り組む方一人ひとりの状況に合わせたサポートを行っています。

「何から相談すればいいか分からない」という段階でも構いません。作物選びのその先まで含めて、ぜひ一度ご相談ください。