農業と聞くと、「大変」「難しい」などの印象を持たれている方も多いのではないでしょうか。生き物を相手に仕事をしている農業は、日々の栽培作業だけでなく、予期せぬ天候の変化や病害虫の被害に見舞われることもあるかもしれません。そのような事態に陥らず、高品質・高収量を目指すには、日々の栽培管理が重要です。

今回のコラムで紹介する自動灌水制御システムは、日々の栽培作業で欠かすことのできない設備となります。

目次

  1. 農業における灌水とは?
  2. 農業にとって灌水作業は重労働!?
  3. 代表的な灌水方法について紹介
  4. 労働力削減!高品質・高収量を目指すなら自動灌水制御システムがおすすめ!
  5. 自動灌水制御システムの種類それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説
  6. 自動灌水制御システムの導入に関する注意点
  7. イノチオアグリがおすすめする自動灌水制御システム
  8. 農業未経験からの農業参入でイチゴの観光農園株式会社ブルーチップ
  9. 自動灌水制御システムをはじめ、農業のご相談はイノチオアグリへ!

農業における灌水とは?

農業における灌水とは、植物の生育環境を整える目的で水や肥料を与えることです。

栽培にビニールハウスを利用する施設栽培の灌水には、点滴チューブを使った「点滴潅水」、根の付近に水の流れを作る「地中潅水」などがあります。一方で、露地栽培での灌水は、畝の間に直接水を流す「畝潅水」、動力を使って広い範囲に拡散させる「散水」という方法があります。

灌水は、単なる水分の供給だけでなく、水の比熱の高さを活かした温度管理や、水に溶ける性質のある肥料成分を植物に届ける目的でも活用されています。

農業にとって灌水作業は重労働!?

天候や作物の生育に応じた灌水管理は、栽培において不可欠です。
露地栽培とは異なり、ビニールハウスなどのハウス栽培では、基本的に人の手による灌水が必要となります。

しかし、日々の作業である灌水作業、人の手で行うにはかなりの重労働です。特に、真夏の日中のハウス内は人が作業をするには過酷な環境です。

灌水は毎日行う作業だからこそ、負担を軽減して、その時間や労力を他の作業に充てる方が効率的な農業経営が行えます。

ここからは、灌水方法の種類と自動灌水制御システムについて説明していきます。

代表的な灌水方法について紹介

灌水の作業時間や労力を削減しながら、作物の品質・収量を安定させ、水や肥料をムダなく確実に与えるために、作物や栽培方法に合わせてさまざまな灌水方法が考案されてきました。

現在、農業で用いられている代表的な灌水方法を3つ紹介します。

地表灌水

地表灌水は、作物が植えられた畝間の表面に灌水チューブやスプリンクラーを設置して灌水を行う方法です。一般的な灌水方法として農業現場に普及しており、ビニールハウス等の施設園芸や野菜の露地栽培などで活用されています。

頭上灌水

頭上灌水は、ビニールハウス等の施設園芸で選ばれている灌水方法です。

ハウス内の天井部分に這わせたポリエチレンパイプ等にマイクロスプリンクラーや灌水ノズルを取り付けて、施設全体に散水する方法です。配管を地表部に配置しないため邪魔にならず、水稲育苗、葉物野菜、果樹棚等で多く活用されています。

点滴灌水

点滴灌水は、点滴チューブやパイプを使って作物の株元に点滴のようにゆっくりと水を与える方法で、ドリップ灌水とも言われています。

地表灌水や頭上灌水と比較して、作物の株毎に正確に水や液肥を管理でき、灌水と施肥を同時にできるなど省力化が見込めるため、施設園芸のみならずさまざな培地、作物、施設でも導入が増えている最新の灌水方法です。

労働力削減!高品質・高収量を目指すなら自動灌水制御システムがおすすめ!

時間と労力の削減の観点から、イノチオアグリとしては自動灌水制御システムの導入をおすすめしています。

自動灌水制御システムとは?

自動灌水制御システムとは、灌水ホースやスプリンクラーを設置して、あらかじめ設定した時間や設定に合わせて自動で給液を行うシステムです。

はじめに自動灌水制御システムの仕組みについてご説明します。

制御コントローラー

システム全体を制御するコントローラーは、電磁弁を開閉することで、自動で灌水作業を行うシステムの核となる部分です。さまざまな仕様があり、通常の電源のタイプ以外にも、ソーラー電源タイプ、雨水センサーを装備したタイプも存在します。

配水管(ホース)

水源から給水して、スプリンクラーまで配水するホース(チューブ)と、直接灌水を行うホースがあり、内部の圧力調整によって常に一定量の灌水が可能です。

点滴チューブ(ドリッパー)

点滴潅水には地表に敷いて使用するチューブ/パイプタイプと、ポリエチレンパイプに取り付けて使用するドリッパータイプの2種類が一般的です。
より細かく正確に栽培管理を行いたい方に好まれています。

灌水チューブ

灌水チューブは、小さい孔から水が飛び出す仕組みで、広範囲に水を撒くことができます。孔のサイズや形状、間隔など、さまざまな仕様があるので用途に応じて選んで使用します。灌水チューブは、主に地表灌水に使用され、スプリンクラーと比べて低コストで導入できます。

スプリンクラー

スプリンクラーは、広範囲へ一気に水を撒くことができます。設置や増設が容易で、ハウスでも露地でも使用できます。設置場所や規模に合わせて吊り下げ式や立ち上がり式、移動式など仕様もさまざまです。散水パターンも選べ、育苗、花卉、果樹など用途に応じて選択できます。

自動灌水制御システムの種類
それぞれの特徴とメリット・デメリットについて解説

自動灌水制御システムには、主に「タイマー式」「日射比例式」、「日射比例式×土壌水分制御」の3タイプがあります。それぞれの特徴とメリットについてご説明します。

タイマー式

タイマー式の自動灌水制御システムは、タイマーと一体型のコントローラーで、散水時刻や散水の間隔などが細かく設定でき、必要なタイミングで必要な量の灌水を正確に行えます。タイマー式はシステム構成がシンプルなため、設置と各種設定やメンテナンスが容易なことが大きなメリットです。

しかし、日射量などの外的環境には自動では対応できないというデメリットがあります。

日射比例式

作物は、日射量によって蒸散量も変化します。蒸散が活発なときに灌水が行われないと乾燥状態になり、作物は気孔を閉じ蒸散量を減らそうとしてしまいます。そのような状態に陥ると、二酸化炭素が取り込めないため結果的に光合成のスピードが落ち生育や収量に悪影響を及ぼします。

そのような状態を改善するのが、日射量に連動して灌水を行える「日射比例式」の自動灌水制御システムです。

一般的な灌水制御システムに比べて特殊なセンサが必要なためコストは掛かりますが、日射量に応じて自動で灌水でき、製品によって日射量や灌水積算時間などのデータ収集ができる点は大きなメリットです。

日射比例式+土壌水分制御

日射比例式の自動灌水制御システムは、日射量と作物の蒸散量が概ね比例することを前提に灌水量をコントロールしています。しかし、作物の実際の吸水量や、変化する土壌の水分量から灌水量を加減するわけではありません。

日射比例式+土壌水分制御の自動灌水制御システムでは、日射量と土壌水分量の両方を踏まえて制御します。より正確性がある一方で、センサーなどのシステムが複雑になることから、コストは高くなります。

関連製品:自動灌水制御システム「アクアビート/アクアビートメビウス」

自動灌水制御システムの導入に関する注意点

自動灌水制御システムは、求める機能やメーカーによって異なるため一概に製品の金額を記載することは難しいので、お付き合いのある販売店にご相談をしてみることをおすすめします。

しかし、概ねの耐用年数やメンテナンスなどのランニングコストに関しては事前に調べておきましょう。

耐用年数とメンテナンスにかかる費用についてメーカーに確認

自動灌水制御システムの導入では、維持するためのランニングコストも考慮が必要です。耐用年数も、一般的にホースなどの消耗資材であれば5~10年、自動灌水制御システム全体の耐用年数は、税法上で7年間と定められています。

しかし、人為的なミスや災害によってコントローラーやセンサーなどは故障するリスクもあります。その反対に清掃や修繕を定期的に行うことで、税法上の耐用年数より長く使えている場合もあります。

導入コストを検討するときには、販売店やメーカーに相談しながら初期費用とランニングコストを算出し、さらに消耗資材や故障のリスクも考慮する必要があります。
そのうえで手作業による灌水とのコスト比較を行い、メリットを実感できてから導入するようにしましょう。

イノチオアグリがおすすめする自動灌水制御システム

ここまで、自動灌水制御システムの詳細についてご説明してきました。
施設園芸にたずさわり50年以上、イノチオアグリでも自社開発した自動灌水制御システムをお客さまへ提供しています。

アクアビート/アクアビートメビウス

灌水制御システム アクアビートは、作物の成⻑に⽋かせない栄養供給をサポートする灌水制御システムです。多系統の灌⽔を複数の⽅法で制御ができ、1株あたりの灌⽔量と肥料倍率などの細かな設定も⾏えます。

最新版のアクアビートメビウスでは、AI学習機能の搭載により最適な肥料混⼊量を導きだし、理想のEC・pH値に設定することで⾼精度の栽培管理を実現します。
また、専用のシステムを導入しなくても、センサを追加することで単独での日射制御も可能です。

関連製品:自動灌水制御システム「アクアビート/アクアビートメビウス」

自動灌水制御システム「アクアビート」を導入する生産者

農業経験ゼロから農業参入をしてイチゴの観光農園を運営されているお客さま事例を紹介します。

農業未経験からの農業参入でイチゴの観光農園
株式会社ブルーチップ

株式会社ブルーチップ様は、農業経験ゼロから農業参入をされました。愛知県常滑市で営むイチゴの観光農園には、シーズンになると毎年多くの方々が来園されています。

イチゴ栽培には、自動灌水制御システム「アクアビート」を活用して継続的な栽培と農業経営をされています。

農業の経験がないからこその自動灌水制御システム

~お客さま事例より~
アクアビートを使用することで、農業における技術や経験といった部分のサポートが可能になります。農業経験のない私たちにとっては、アクアビートによる潅水制御は非常に大事なものですし、実際アクアビートがなければ私たちの作物は栽培できないといっても過言ではないです。

関連事例:農業と食でお客さまへ幸せを届けたい

自動灌水制御システムをはじめ、農業のご相談はイノチオアグリへ!

イノチオアグリは、施設園芸に携わるプロとして灌水制御システムをはじめとして、さまざまスマート農業製品や内部設備をお客さまへご提供しています。

新規就農や農業参入を検討されている方、既にビニールハウスをお持ちでお悩みの方、まずはお気軽にお問い合わせください。各種専門知識を持った社員が対応させていただきます。