全国的に有名な温泉地である大分県別府市。湯けむりが立ち込める丘の上にビニールハウスを持つウェルファームMINORI。農協共済別府リハビリテーションセンターの障害福祉サービス事業所として、就労継続支援B型の作業所利用者さんの機能訓練を受け入れ、農福連携に取り組んでいます。利用者さんと一緒に農業を通じて作業ができることが一番の喜びになっていると語る指導員の宮田さんにお話しを伺いました。
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所在地等
大分県別府市
栽培作物
ミニトマト

ウェルファームMINORIとは?

ウェルファームMINORIは、大分県別府市にある農協共済別府リハビリテーションセンター障害福祉サービス事業所です。ここでは、農作業を通じて就労継続支援B型の作業所利用者さんの機能訓練を行っています。

作業所利用者さんは、さまざまな障がいを持たれています。我々は、障がいの特性を理解して、本人と話し合いながら作業所利用者の希望を叶えられるように心がけています。

栽培は年1作、年間収量は環境によって左右されますが85トン~100トンぐらいです。1日の平均で収穫量は約500キロになります。ケース換算で約100ケース、パック数だと約2,400パックを出荷しています。

就労継続支援B型とは

就労継続支援B型とは、障害のある方が一般企業に就職することに対して不安があったり、就職することが困難な場合に、“雇用契約を結ばずに”生産活動などの就労訓練を行うことができる事業所及びサービスです。

障害者総合支援法という法律で定められた、国の就労支援サービスのひとつで、「就労の機会の提供」や「就労に必要な能力を育む」ことを目的としています。

ミニトマト栽培を選んだ理由

選んだ理由の一つは、片麻痺の方が片手で収穫ができる、車椅子の方が乗ったまま収穫ができるという点です。また、ミニトマト栽培はさまざまな業務があり、十分な作業量を確保できます。

ミニトマトを栽培することによって、作業所利用者さんには1日5時間の作業を提供しています。農作業を通じて、機能維持や機能訓練をすることで基礎体力を付け、自立した生活が営めるようになって欲しいと考えています。

就労支援として農業を行うメリット

機能訓練で農業を行うメリットは、自分たちの手で製品を作れることです。B型作業所では、作業所利用者の機能訓練と働いていただいた分の賃金を支払うために一定の作業量確保の確保が求められます。ミニトマト栽培は周年で収穫ができるので、年間を通して作業を行うことができます。

また、園芸療法と言われるように、農業特有の苗を植え育て収穫するといった一連の作業で心が癒されるという効果があります。

作業所利用者さんの中には、ものづくりの楽しさや社会貢献ができているとのうれしい声も聞かれます。

バリアフリーが施されたビニールハウス

ビニールハウスは、SANTAROOFが3棟(1棟各25a)あります。軒高が6メートルほどあるので、他のビニールハウスと比較しても換気効率が良く、夏場も涼しくて快適な温室になっています。

環境面として、バリアフリーを施すことでビニールハウス内での段差を無くして、車椅子移動なども不自由なく行えるように工夫しています。また、安全面が一番大事なので、定期的に安全面確認をチェックシートで実施しています。

栽培へのこだわり~スマート農業の活用~

トマトの養液栽培において、自動灌水システムは欠かせません。

灌水では、排液量の確認を心がけています。日射積算での灌水を行っているので、曇りの日などに灌水を入れてしまうと肥料を吸ってない状態が出てきてしまいます。そのため、環境制御システムでビニールハウス内と培地内の環境を見ながら日々調整できるようにしています。

環境制御システムを導入する一番のメリットは、知識だとか勘だけに頼らず、データや数値を基に作物にとって最適な環境を作れることです。

例えば、ビニールハウス内のCO2濃度は光合成に影響するため、不足していると収穫量が減少してしまいますが、環境制御システムを活用することでCO2濃度などの栽培に重要な数値が一目瞭然で確認できます。

温泉熱を利用した温度管理

MINORIでは、別府市という利点を活かして冬場の暖房に温泉熱を利用しています。外気温は雪が降ると5℃以下くらいになってしまいますが、ビニールハウス内の室温が13℃以下になると自動で暖房が入るように設定しています。

農業でカーボンニュートラル:温泉熱の利用

代替エネルギーを活用した農業は、持続可能性や環境保護に配慮した農業の一つとして考えられています。ウェルファームMINORIが活用する温泉熱をはじめ太陽光発電、バイオマスエネルギーなど、カーボンニュートラルの視点を持った農業は、持続可能性やエネルギー削減につながるため、今後ますます注目されることが予想されます。

コラム:農業参入に付加価値を!カーボンニュートラルとは?

現状の課題について

課題は2点あります。1点目は、資材価格の高騰です。これによって支出がどんどん膨らんでいます。収益を確保するためにも、支出をどうやって減らせばいいのかと常に考えています。

2点目は作業所利用者さんの高齢化です。平均年齢がだいたい55歳くらいになっています。今後も農場を安定して運営するために、若い層の人材確保が求められています。
対策として、支援学校の実習の受け入れを積極的に実施しています。受け入れをすることによって、平均年齢が下がることを期待しています。

だからイノチオの営農サポートをおすすめできる!

イノチオの営農サポートは、知識や経験のある農業者もぜひ活用していただきたいと思います。何かトラブルがあった時のための保険と思ってもらえれば、問題ない金額だと思います。

例えば、病害虫や疫病が出たときに何が原因なのかわかりにくい場合もあります。そこは、イノチオの営農サポートを利用することによってすぐ対応してくれるので助かっております。

ウェルファームMINORIが導入するビニールハウス

SANTAROOF
高収量を実現するオランダ式高軒高のビニールハウス

SANTAROOFは、トラス構造を用いた設計で、ビニールハウスの柱高を最大6.0mまでとした広い栽培空間を実現できるオランダ式高軒高のビニールハウスです。

作物を上部に伸ばすことで高収量を目指せるハイワイヤー栽培にも対応。トラス構造の採用や部材の強化によって高強度を実現。さらに、屋根部材の小型化によってビニールハウス全体に太陽光が行き届く高い採光性を確保し、作物の成長を促進させます。

広い栽培空間による高い換気効率が温度や湿度のムラを減らし、栽培を安定できることも特徴です。企業の農業参入や大型施設を中心にビニールハウスの価格や建設プラン、栽培開始後の事業プランまでトータルでご提案いたします。

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ウェルファームMINORIが導入するスマート農業製品(内部設備)

環境制御システム IIVO
作物・環境とテクノロジーをつなげる!

IIVO(アイボ)は、オランダのホーヘンドールン社が開発した高性能環境制御システムです。
機能的なソフトウェアと最先端のハードウェアで構成されています。それにより、作物の力を最大限に引き出します。

ビニールハウスの規模や天候に関わらず、ビニールハウス内の環境をすばやくモニタリングし、作物にとって最適な環境を維持することができます。

大規模で農業参入を検討されている方、高品質・高収量を目指している方へおすすめの環境制御システムです。
※IIVOは、ウェルファームMINORIが導入しているiiSiの後継機種です。

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自動潅水システム AQUA BEAT Ex
多彩な灌⽔設定で作物に最適な栄養供給をサポート

アクアビートは、時間・流量・⽇射※1から、お客さまの栽培⽅法に合わせて理想の灌⽔制御が⾏えます。1系統ごとに灌⽔量と肥料倍率の設定もができ、お客さまのこだわりの栽培を実現します。

これまで熟練の経験を持った⽣産者でなければ、最適な灌⽔を⾏うことが困難でした。しかし、アクアビートなら灌⽔量・排液量※2の記録ができるので、データをもとにした持続的な栽培が可能です。

エアロビート、スラブサイトを同時に活⽤することで、⽇射・気温・湿度・灌⽔量・地上部と地下部の栽培環境の⾒える化を可能にします。導⼊後のサポート体制も整っているので安⼼して栽培を⾏えます。

※1:⽇射制御は別途指定センサが必要です。
※2:排液量計測は別途指定センサが必要です。

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ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイント

個人の新規就農や企業の農業参入で施設園芸の分野で農業をはじめる場合に、ビニールハウスの建設は不可欠です。しかし、ビニールハウスと一言に表現しても種類や規模、導入する設備によって金額感が大きく変動してきます。

こちらでは、お客さま事例のウェルファームMINORIのように栽培を行うために、ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイントをご紹介します。

知っておきたいポイント➀ビニールハウスの構造体

ビニールハウスの価格は、建設面積の大型化や、軒高(柱高)が高くなることによって、ビニールハウス価格が上がる傾向にあります。それに加えて、風速や積雪等の厳しい地域では、土地環境に耐えうる構造体で設計されるためにさらなるコストアップとなります。

ビニールハウス価格を抑える際は、ビニールハウスの性能を損なわない形で、用地に基づく合理的な設計をすることで金額抑制に繋がります。

弊社はお客さまの予算、栽培作物、栽培方式、土地環境をもとにビニールハウス1万棟の建設実績から仕様やビニールハウス建設プランをご提案いたします。

知っておきたいポイント➁被覆材

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの1つ目として被覆材があります。

ビニールハウスの被覆材は農業用ビニール(農ビ)、ポリオレフィン系フィルム(POフィルム)、硬質フィルムなどがあり、耐用年数や製品特性に応じてフィルムの選定をします。
性能や耐久性の高い製品を展張の場合、フィルムそのものの価格とともに、施工方法に伴う資材や工事費も高価となります。

耐用年数3~5年の被覆材と15年以上の長期展張型フィルムを比較すると、 100万円以上の価格差が生じるケースもあります。そのため、立地条件、栽培作物、栽培スケジュール、ご予算などから、お客さまにとって最適な性能(耐用年数、厚み、保温性、透光率、波長、流滴性)の被覆材をご提案いたします。

知っておきたいポイント➂内部設備

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの2つ目としてハウス内部設備があります。ハウス内部設備は選択する仕様によって、ビニールハウス本体の価格と同程度またそれ以上の価格になることもあります。

遮光や保温を行う内張りカーテン装置、ビニールハウス内の温度管理を行うための暖房設備やヒートポンプ設備、ハウス内の温度環境の均一化を目的とする循環扇などの空調設備、炭酸ガス施用設備、環境設備や潅水設備など、設備仕様は多岐にわたります。

内部設備の選定に関しても、ビニールハウス建設実績1万棟以上の知見を活かして、栽培作物と目的に適したビニールハウスの内部設備をトータルでご提案いたします。

企業が農業参入するまでの流れ

企業が農業参入する上で、事前準備が非常に重要です。新規就農・農業参入における流れや準備物を個人及び担当者で調査し、明確化することは非常に難しいです。

そのためビニールハウスや施設園芸に携わり50年以上の知見を活かし、農業参入するまでの流れをご説明します。

農業参入するまでの流れ➀事業構想の作成

まずは、企業が農業参入をする事業の目的、参入意図、栽培作物、販路の4つを整理します。

企業の場合、目的や参入意図として、独立した事業での農業生産のみならず、既存事業との相乗効果発揮や人材の再雇用先創出、SDGsやCSRなどの観点による企業PR強化、新規事業での参入などが多く見られます。

まずは企業として、どのような目的や意図を掲げて参入をするのか?どのような栽培作物を栽培するのか?生産した農産物をどこに販売するのか?を検討することからはじめましょう。

各目的に応じて、必要な検討材料が異なります。例えば、新規事業の場合は農業参入を行うことでのイニシャルコスト、ランニングコストをもとに検討を重ねる必要があるため、検討段階の初期からハウスメーカーに相談することが重要です。

農業参入するまでの流れ➁作物選択と事業計画・収支シミュレーション

事業構想の作成が明確になり次第、ハウスメーカーに相談を行い、事業計画を作成していきます。イニシャルコストでは、ビニールハウスの仕様やビニールハウス本体以外の内部設備、栽培1年目の準備物を検討していきます。

ビニールハウスは各製品によって、適用作物、耐積雪及び耐風速、間口や奥行などの仕様が異なるため、土地を探す前に理解しておくことがポイントです。事業構想に最適なビニールハウスや導入設備をハウスメーカーに提案していただきましょう。

ランニングコストでは年間の売上原価や販売費、一般管理費の試算をもとに、必要な人員やコストを把握します。大規模な農業経営では作業時間から算出した人員の確保が非常に重要であり、人員確保できない場合は事業を軌道に乗せることが困難です。そのため事業開始時の人員を明確に把握し、準備しておきましょう。

一例として、コスト面においてはビニールハウスの修繕や頻度を事前に把握することがポイントです。ビニールハウスの被覆材は耐用年数によって修繕費用や頻度が異なるため、把握した上で信頼できるハウスメーカーとハウスの仕様を決めていきましょう。

農業参入するまでの流れ➂農地の確保と調査・測量

農地の確保は、求める農地の条件が明確になり次第、各市区町村や農業委員会に相談し、候補地を探していくのが一般的です。

すでに農地の候補が複数決まっている場合は、思い描く目的や意図をもとに最適な土地なのか?建設可能なのか?栽培に適しているのか?を確認しましょう。必要に応じて、水質などの調査も行い、栽培開始に向けたリスクを事前に把握した上で対処しましょう。

加えて、大規模ビニールハウスを建設する場合は外部環境にも注意が必要です。周辺地域への深刻な環境負荷が起きないかなどの検討も必要になります。農場から排出されるリスクを最低限にするなど、農地確保段階で周辺調査は専門的な企業へ相談しましょう。

農業参入するまでの流れ④ハウス仕様の決定

計画段階では、栽培エリアのみならず、機器設置エリア、選果エリア、集出荷スペース、そして事務所や制御室、休憩室などを併設することがあります。管理方法、作業動線などを緻密に計画、配置などのプランニングを行う必要があります。それらの建屋は栽培エリアではないため、建築や設置の考え方が大きく異なることがあります。
事業計画段階で行政に確認をおこなった上で、信頼できる業者と連携して進めることが望ましいです。

農地の確保と調査、測量、行政確認が確認でき次第、土地に沿った仕様でビニールハウスと内部設備を最終確定していきましょう。
特に大規模圃場の場合は、イニシャルコストだけでの判断ではなく、適切な圃場運営を実現するための労働効率や作業導線、異常気象や故障のフォロー体制、栽培支援などのリスク対策も含めて総合的に判断しましょう。

一方で補助事業の場合、施設仕様の妥当性を重点に捉える必要があります。闇雲に「軒を高くする」「重装備な設備を入れる」などは、収支採算上のこと以外に、選定理由や規模の決定根拠で「過剰設備」と判断されることもあります。導入実績例や必要性を明確にして仕様決定していきましょう。

イノチオアグリは新規就農・農業参入を支援します

イノチオアグリについて

イノチオアグリは施設園芸(農業ハウスやビニールハウス)に携わり、50年以上の知見がございます。50年以上に渡り、培ったノウハウを活かし、農業参入・新規就農を計画段階からご支援しております。お客さまのご要望や条件に基づいて農場を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算までの事業計画の策定をお手伝いします。

さらに、圃場研修や専門指導員によるサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。

ビニールハウス事業

イノチオアグリでは作物や栽培方式、土地環境に沿ったビニールハウスをご提案。10年間に渡る収量や収益性の試算からお客さまの理想を実現するビニールハウスとスマート農業製品などを含めたハウス内部設備、農業経営の開始後までトータルでご提案いたします。