施設栽培の新規就農は費用がかかりますが、その中でも大きな構成を占めるのがビニールハウスの費用です。新規就農の場合は予算も限られており、少しでも安く抑えたい思いから、ビニールハウスの中古購入についてご相談いただくケースが年々増えてきています。

そこで今回は、中古のビニールハウスにおけるメリット・デメリット、値段相場、導入時のポイントについて解説します。

ビニールハウス 中古の値段・価格

ビニールハウス 値段・価格に関する知識

ビニールハウスを新たに新設する際の価格・値段は、規模・構造・建設地の土地環境・作物に応じて、大きく変動します。具体的には、骨材の太さ・ビニールハウス間口・連棟数・強度、展張するビニールの強度などが大きく影響します。

基本的に、強度が丈夫になるにつれて、ビニールハウスの値段は高騰します。また、ハウスメーカーごとに施工費用も様々なため、ビニールハウスの値段相場は一概には言えません。

ビニールハウス 中古の値段・価格はお得?

パイプを曲げ加工したパイプハウスでなく、基礎を持つ鉄骨ハウスで試算した場合、1,000平米のビニールハウス本体を新たに設置する値段は1,000万円ほどの費用が必要です。

ビニールハウス中古を活用した際は建設費用としては0円ですが、老朽度合いに応じて、別途改修費用が必要になります。 ビニールハウス中古購入時のメリット・デメリットについて解説していきます。

ビニールハウスの中古購入におけるメリット


1:ビニールハウス建設費用のコストカット

ビニールハウスの中古購入のメリットは、「コストカット」の可能性があるという点です。新規就農は、認定新規就農者の取得・青年等就農資金制度の活用による3,700万円の融資取得が主要な資金源になります。

また昨今の物価高騰の情勢を鑑みても、予算に余裕がない新規就農者の方や、既に農業生産を開始していて規模拡大をお考えの方にとって、中古物件に巡り会えた場合は有力な選択肢となります。

2:低リスクでの新規就農・規模拡大を実現

前述したコストカットに付随するメリットとして、新規就農・規模拡大時のリスク低減に繋がります。ビニールハウスを新たに建設する際は、基本的に融資活用による建設を行うケースが多く、農業経営の収益から返済していく必要があります。ビニールハウスを中古購入することで借入の必要がなくなるため、低リスクでの就農・規模拡大を実現できます。

ビニールハウスの中古購入におけるデメリット



1:ビニールハウスの品質

ビニールハウスの中古購入におけるデメリットの1つとして「品質」があげられます。物件ごとに個体差があるため、一軒ずつ確認する必要があります。仮に、ビニールハウス本体の骨材に老朽化が見られる場合、風速・積雪などの土地環境によっては倒壊の可能性や、改修費用が新たに建設する費用と同額程度になる可能性があります。

コストダウンを図っても、農業経営の基盤となるビニールハウスが倒壊しては意味がありません。中古購入を検討する際は、ビニールハウスの品質をしっかりと確認しましょう。

2:中古ビニールハウスの情報取得

2つ目のデメリットとして、中古のビニールハウスに関する情報を取得することがそもそも簡単ではありません。ビニールハウスの物件数が少ないことに加えて、既存生産者の間で売買が決まっているケースがほとんどです。

そのため、理想とする条件や作物に適した中古のビニールハウスを見つけることは非常に難しく、研修を開始した早期段階から着手する必要があります。

3:地権者・所有者からの同意

3つ目のデメリットとして、地権者・所有者からの同意を得ることです。市区町村の担当者から中古のビニールハウス情報を得られたとしても、そもそも地権者・所有者とコンタクトが取れないなど、貸し主と借り主のマッチングが思うように進まないことがあります。

例えば、貸す側からすると、面識のない人にビニールハウスを貸し出すことに抵抗を感じる場合があります。また、代々受け継いできたビニールハウスを手離すことに抵抗を感じることも少なくありません。

ビニールハウスの中古購入におけるチェックポイント

1:ビニールハウスの品質確認

ビニールハウスの中古購入をする際のポイント1つ目は品質の確認です。特に難しい点として、ビニールハウス栽培は栽培作物・栽培方式によって最適な環境と設備が存在します。

そのため、ビニールハウスの骨材の老朽化や折れ、錆などに加えて、以前の栽培作物なども確認する必要があります。骨材の老朽化や錆などが少なく、以前も同じ作物を栽培している場合、中古の購入実現に向けて可能性が高まります。

2:ビニールハウスの仕様・強度

次に確認するポイントはビニールハウスの仕様と強度になります。中古の場合は購入後にビニールハウスの改修を行うケースが多いことから、事前に仕様と強度を確認しておく必要があります。

特に、新規就農の事業計画に関わるハウス面積はもちろんのこと、ハウスの強度や備え付けられている設備関係の確認が必要です。場合によっては、ハウスメーカーへ依頼の上、仕様と強度の確認をしてもらいましょう。

3:中古購入費用の検証

3つ目に確認するポイントは中古購入時のビニールハウスの値段です。一般的に、中古ハウスをそのまま使用することはほとんどなく、補強や改修、新たな設備導入が必要です。ハウスの品質によって、新たに建設する値段の方が安価になる可能性もあるため、値段を比較した上で判断しましょう。

ビニールハウスの中古購入におけるまとめ



ビニールハウスの中古購入はコストカットができる可能性がある一方で、個体差によって値段が大きく変動するため、ビニールハウスの新設にかかる値段・価格との比較や検証が必要です。誤った選択をしてしまうと、逆にコストアップをしてしまうケースも見られます。

ビニールハウス中古購入におけるメリット・デメリット・チェックポイントをしっかり確認をして、就農・規模拡大を実現しましょう!

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関連記事:【大解剖!】初心者でもわかるビニールハウスの全体像

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