イチゴの栽培に最適なビニールハウス要件とは?定植や収穫時期ついても解説
昨今、注目が続くイチゴ栽培。イチゴ栽培を新たに始める方も増加傾向の一方で、イチゴ栽培に必要な設備やビニールハウスを選ぶポイントなど、ネットでは分かりづらいこともございます。今回のコラムでは、イチゴ栽培に関する栽培方法や定植から、イチゴ栽培に最適なビニールハウスの情報を幅広くご説明いたします。
イチゴ ハウス栽培方法をご紹介!
イチゴのハウス栽培は高設栽培と土耕栽培の大きく2つに分類することができます。
代表的な2つの栽培方法について詳しくご説明いたします。
その1:イチゴ高設栽培
イチゴ高設栽培とは高さ1mほどの栽培ベンチや栽培ベットを用いて、栽培する方法を示します。
イチゴ高設栽培は自然な立ち姿勢のまま作業を行うことができ、作業中のかがむ・立つ・座るといった動作が必要ないため、腰や膝、肩への負担を軽減するとともに、土耕栽培と比較し、高い作業効率を実現する栽培方法です。
加えて、イチゴ栽培用に施した培土や養液を活用する栽培方法から栽培開始初年度においても、安定した収量を確保する可能性が高いです。
実際に農林水産省 園芸用施設の設置状況等(R2)によると、いちごの栽培延面積は減少傾向にあるものの、高設栽培の設置面積は増加傾向となり、高設栽培を多くの方が導入しつつあると考えられます。
その2:土耕栽培
土耕栽培とは土壌を活用し、イチゴ栽培を行う方法です。
イチゴの高設栽培と比較し、初期費用が低いことが大きなメリットになります。
特に新規就農時の資金確保の関係から土耕栽培に関するご相談を頂くケースがあります。
初期費用が安い一方で、摘果やランナー取り、収穫などの作業時にかがむ・立つ・座るといった動作が必要となり、身体への労力がかかるため、結果的には労働時間の増加、人件費の増加にも繋がることがデメリットになります。
また、土壌を活用するため、場合によっては土づくりや土壌改良が必要となることから、栽培開始初年度から安定した収量確保が厳しいケースもあります。
その3:まとめ
イチゴのハウス栽培において、双方の栽培方法におけるメリットやデメリットを把握し、導入を検討しましょう。
栽培方法の特性に加えて、新規就農や企業の農業参入の資金確保、予算を加えた上で検討することをおすすめします。
高設栽培 | 土耕栽培 | |
メリット | ・自然な立ち姿勢で作業ができる ・収量が確保できる可能性が高い |
・初期費用が安価で済む |
デメリット | ・設備の導入費用がかかる | ・作業時、身体に負担がかかる ・土壌改良が必要な場合がある |
イチゴの栽培時期
イチゴはハウス栽培の作型によって、育苗や定植など時期が大きく変わります。今回は促成栽培における栽培時期をご説明します。
代表的な定植時期
イチゴ高設ベンチを活用した促成イチゴ栽培の場合、4月上旬までに親株を定植します。
親株は1株当たり25本程度の採苗数を見込み用意しましょう。
10,000本の苗を用意するためには、400本の親株を目安に定植します。
親株の定植時期が遅れてしまうと採苗本数が減少してしまいます。
ランナーの発生を促すため、親株は肥料が切れないように注意しましょう。
ランナーの発生が多くなると先端にチップバーンや焼けが発生することがあるので、遮光や灌水を丁寧に行うように心がけましょう。
7月下旬までに採苗を行います。
採苗が遅くなると、花芽の分化にばらつきが発生する可能性があります。
使用するポットの大きさにより、施肥量を調整してください。肥料が切れすぎると定植後に心止まり株(芽なし)の発生が多くなるので注意しましょう。
定植は9月ごろに行うケースが一般的です。
花芽検鏡を行い、花芽の分化を確認後、定植を行いましょう。
花芽の分化後の定植が遅れると、心止まり株の発生を助長してしまいます。
高設栽培の場合、定植後もしばらくは排液率が高くても十分に灌水を行い、活着後の排液率が安定してきたら、灌水量の調整をしましょう。
定植2週間後から順次、葉かきを行います。葉かきを行うことによりハダニなどの病害虫の発生を減少させることができます。
一般的な収穫時期
一般的な収穫時期は11月中下旬、または12月ごろから収穫し始め、6月ごろまでが収穫時期になります。果実の状態を確認し、収穫のタイミングを調整しましょう。
収穫後は速やかに果実を冷蔵し、環境衛生や異物混入などに注意を払い、出荷パックに詰めていきましょう。
イチゴ ハウス栽培 おすすめの設備とは?
ビニールハウスはポリオレフィン系フィルム(PO)や農業用塩化ビニルフィルム(農ビ)、長期展張型の硬質フィルムなどを被覆材として活用しているハウスのことを指します。
現在主流のビニールハウスは土地環境や耐久性、コストなどの観点から、複数のビニールハウス製品が存在します。
イチゴハウスの要件とは?
イチゴのハウス栽培において、選ぶポイントは大きく2つに分類されます。
ビニ―ルハウスを選ぶ要件の1つ目はビニールハウスの建設予定地における耐風速、耐積雪の観点です。特に新規就農の際はビニールハウスは高額な投資になります。そのため、新規就農や農業参入する際は建設予定地の風速や積雪など、土地環境に耐える設計強度を持つビニ―ルハウスを選択しましょう。
ビニールハウスを選ぶ要件の2つ目として、ダニの発生を抑制でき、栽培空間が広すぎることなく、温度と湿度を保つことのできるビニールハウスを選びましょう。イチゴのハウス栽培においてはダニの発生を抑制することが1つのポイントでもあります。
また、農業経営は適切な作業を実施し、病害虫などの発生を抑制するなど「失敗しない」ことが成功する秘訣にもなるため、ビニールハウスを選ぶ際は栽培空間が広すぎることなく、温度や湿度を保つ特長を兼ね備えているかどうかハウスメーカーに確認するようにしましょう。
総じて、イチゴのハウス栽培を検討する際は上記要件の2つとも満たすかどうかを確認し、選択していきましょう。
おすすめのビニールハウスとは
丸型ハウスD-1はイチゴハウス栽培でもっとも選ばれるハウス製品です。
最適な要件で述べた、設計強度を併せ持ち、アーチ状のハウス内空間と谷部の換気機能により、イチゴのハウス栽培に最適な温度と湿度を実現。ハダニやうどんこ病をはじめとする病害虫を抑制します。
また、自社⼯場でスチール⾓パイプを加⼯し、独自のアーチ形状を実現。安価でありながら、パイプハウスと比較して強度と耐久性を⾼めることで、長期間に渡って農業経営の基盤となるビニールハウス製品です。
ビニールハウスの建設後も屋根、樋部に上りやすい構造によって、屋根面の被覆材補修やフィルム交換、遮光剤散布などを、お客さまご自身で実施いただくことが可能です。(※ お客さまご自身による修繕や施工の安全を保証するものではありません)
これにより、事業開始後のビニールハウスにおけるランニングコストを抑えることもできます。間口、奥行の仕様をもとに農地に合わせて、最適なビニールハウスのレイアウトをご提案いたします。
イチゴ高設栽培
イチゴのハウス栽培において、作業性の向上と作業性向上による収益性の観点から数多く選ばれている製品です。
イチゴ高設栽培用の高設ベンチ「ストロベリーハイポ」では、観光農園向けの一本足ベンチと一般的な出荷型で選ばれる二本足ベンチの2種類から選択頂けます。
通路幅やベンチの高さなどはお客さまの農業経営に最適な仕様で調整できることも人気の理由の1つです。特にイチゴ観光農園の際はバリアフリー設計なども生活者に選ばれるポイントの1つです。通路幅を自由に設定できるため、一部の区画をバリアフリー設計にするなど、お客さまに最適な仕様でご提案いたします。
加えて、生育に良好な形状と培地容量、花梗折れ防止の観点で発泡スチロールベットは、連結式と独立式の2種をご用意しております。いずれも排液回収型のシステムになっており、お客さまの栽培スタイルに合わせてお選びいただけます。
2種類のうち連結式は、培地の温度調整用のオプション機器が設置できます。一方で独立式は、生育状況によって個別に取り外し・入れ替えができるプランター式となっています。
栽培用ベッドをご使用の際は、イチゴの高設栽培に最適な培地「いちご物語」との併用がおすすめです。いちご物語は、イチゴ専用のブレンドを施した有機培地です。
パーライト(細粒)、ココファイバー、鹿沼土(細粒)などの原料をイチゴの高設栽培に適した液相、 気相、固相の3層構造になるようバランスよく配合しており、イチゴの安定的な栽培を可能にします。
灌水設備
自動灌水制御システム「アクアビート/アクアビートメビウス」を導入することで、最適な肥料と水の供給を可能にします。
例えば肥料を与えすぎてしまったとき、固形肥料の場合は止めたり、量を減らしたりすることが困難です。しかし「アクアビート/アクアビートメビウス」で供給する養液肥料なら、施肥量の調整ができるため、栽培上のリスクを軽減することができます。
また、土耕栽培とは異なり、イチゴ高設栽培の場合は培養土の性質が一定なので、ビニールハウス内のどの場所でも安定した栽培が行えます。時間のかかる土づくりも必要ないため、一作目から安定した栽培が可能です。
さらに、環境制御システム「AERO BEAT」と連動すれば、ビニールハウス内と培地内の環境を遠隔で管理することが可能です。
マスプレー
マスプレーは、農業用ビニールハウス内における防除・灌水システムです。
ボタンを押すだけで、自動で防除・灌水を行うため、作業時間を大幅に短縮することができます。
実際に導入されているお客さまから、これまで防除作業に手掛け散布で2時間かかっていたところ、マスプレーを導入したことで30分に短縮されたというお声も頂いております。
平均して月3~4回の防除が必要となるイチゴ栽培においては、目に見えた効果を実感いただけます。
また、農薬散布時の農薬の微粉末や霧を吸い込むリスクが軽減できるため、人にも優しいスマート農業製品です。
イチゴ ハウス栽培 費用
イチゴのハウス栽培を開始する際の費用は面積や必要な設備によって大きく変動します。
特に新規就農する際の事業計画にも大きく関わるため、お客さまの建設予定地や面積、求める設備をもとにビニールハウスの価格をハウスメーカーと相談し、積算しましょう。
イチゴ ハウス栽培の事例を一挙にご紹介!
事例1:農業参入×イチゴ栽培
新規事業として農業に参入された株式会社ブルーチップ様。
愛知県常滑市でイチゴの観光農園、レストラン、ワイナリーなどを運営しています。
新規事業として、農業参入を実現。ビニールハウスの建設だけではなく、営農支援(栽培技術サポート)までトータルでサポートしています。新規事業の位置づけで農業参入した背景から農業に関する経験もなければ、技術もないなどの状況からご支援しています。
事業開始後の栽培技術を農業総合支援企業として支援することで、初年度からの収量確保を実現した事例です。
事例2:新規就農×イチゴ栽培
大阪府で新規就農をされた苺屋ガルテンベーレンの立花様。
新規就農に向けて、イチゴのハウス栽培におけるビニールハウスの相談や就農までのプランニング、理想とするイチゴのハウス栽培に向けた視察など支援いたしました。
当初は、ビニールハウスはこの企業、農薬や肥料はあの企業と全て分けて考えないといけないと思い負担に感じている中で、苗の準備や栽培に関すること、農薬や肥料だけでなく、ビニールハウス周りの外構工事まで就農までトータルでご支援しております。
ビニールハウスを作るだけで終わらない、「農業を総合的に支援できる」イノチオならではの事例になります。
新規就農・農業参入を総合的に支援します。
イノチオアグリとは
イノチオアグリはビニールハウスに携わり、50年以上の知見と全国1万棟以上の建設実績がございます。培ったノウハウを活かし、新規就農・企業の農業参入を計画段階における事業計画書の作成をはじめ、ビニールハウスの設計、建設までトータルでご支援しております。
お客さまのご要望や条件をお伺いし、ビニールハウス、内部設備を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算をお手伝いいたします。
さらに、圃場研修や専門指導員による就農後のサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。