農業は一人だと限界?そうならないために押さえておくべきこと5選
一人で行う農業は、育てる作物や働く時間、収穫した作物の販路まで自分で決めることができるといった自由な点が大きな魅力です。 しかし、「一人できちんと行える農業」の範囲をよく検討しないままに農業をはじめると、管理しきれずに失敗してしまう可能性があります。
今回のコラムでは、一人で行う農業で限界を迎えてしまわないために、事前に押さえておきたいポイントについてご紹介します。
一人で農業をするには限界がある?
一人で農業を行うリスクとは
一人で行う農業には、自由度の高さがある一方で、さまざまなリスクも伴います。
まず、栽培する作物や面積によっては多忙になり、休みが取れなくなる可能性があります。また病気や怪我などの突発的な事態が発生した場合にも、代わりに作業を行う人がいないため、作物の管理が追い付かなくなり、収穫量に影響を及ぼす可能性があります。
こうした要因によって、最終的な売上に対して投じた費用や時間、労力が見合わないと感じ、離農してしまうケースがあります。
一人で農業をするために押さえておくべきこと5選
上記のように一人での農業に限界を感じてしまうことがないように、注意するべきポイントを前もって押さえておきましょう。
栽培作物の利益率を知っておく
一人で農業をする際には、作物の利益率を理解することが大切です。これにより、どの作物に注力すべきか、どの作物を避けるべきかを見極めることができます。
高利益率の作物を選ぶことで、限られた時間と労力を最大限に活用し、収益を上げることが可能です。利益率が良い作物については、こちらの記事で詳しく解説しています。
利益率が良い作物については、こちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:農家・農業は儲かるのか?儲かる作物や利益率について解説
栽培する作物のバリエーションを工夫する
作物の組み合わせを工夫することで、年間を通して畑を効率よく使い、収益を高めることができます。
例えば、夏と冬に違う野菜を栽培することで収入が安定します。また、複数の作物を育てることで、病気のリスクを分散させることができます。しかし、作物の種類が増えると、必要な資材や機械も増えるため、コストが上がってしまう可能性もあります。そのため、かけられるコストと労力のバランスを考慮して作物を決定する必要があります。
また、他の農家が同じ時期に多くの作物を生産すると、需要が少なくなり、売り上げに影響を与えることもあります。
効率の良い方法を見つける
一人で行う農業は、使える時間が限られます。作業は効率的に行い、時間を上手に使う必要があります。目標とする売上に対して栽培するべき作物の量や質、そこにどれだけの時間がかかるのかを考慮して、栽培の計画を立てましょう。
また、収量を増やしたいからと栽培範囲や品目数を無計画に増やすことは避け、自分一人で無理なく続けていける規模におさめることが大切です。
必要に応じて作業を外注する
効率良く農作業を行うためには、自分でやるべき作業と外注する作業を分けることも重要です。一人で農業を営む農家の中には、かつては自分で行っていた苗づくりを外注に切り替えたことで、時間に余裕ができたという方もいらっしゃいます。
意欲を持って農業をはじめたとしても、負担が多い作業を長時間やらなければならないとなると、農業を続けていくことが難しくなってしまいます。すべて自分でやるということにこだわりすぎず、自分のキャパシティーも考慮しながら、作業を外注するという選択肢も視野に入れておきましょう。
販売戦略にこだわる
作物の栽培だけではなく、何をどこに売るかという販路の工夫も大切です。
一人で行う農業では、大量に作って安く売ることが難しいため、少量でも価値を見出して、適正な価格で買い取ってくれる販売先と取引ができると理想的です。農業をはじめる前に、販売先が求めている作物は何かを考慮して作物を決定できると良いでしょう。しかし、農業の知識が全くない状態でこれを考えるのはハードルが高いことです。
イノチオアグリでは、作物の販売先や、どの程度の収益が見込めるかといった収支計画に関するご相談を受け付けています。一人での農業をお考えの方は、どうぞお気軽にお問い合わせください。
事前準備で失敗を防ぐ!一人農業のはじめかた
一人での農業を成功させるためには、事前の準備が大切です。次では、農業をはじめる前に準備しておくべき3つのポイントをご紹介します。
栽培の技術や知識を習得する
農業で利益を生むためには、作物への知識や栽培技術の習得が必要です。知識や技術無しで農業ビジネスを成功させることは、困難だと言えます。
具体的には、農家に弟子入りして知識や技術を身に付ける、企業が実施している農業研修機関や各地の農業大学校などで農業を学ぶなどの方法があります。
農業大学校は41道府県に設置されており、ご自身が農業で起業・独立したい地域の気候や風土に合った農業を学ぶことができます。
必要な資金を調達する
農業経営をはじめるには、初期投資や運転資金の調達も忘れてはいけません。作物の苗を購入する費用、農地、ビニールハウスや内部設備など必要なものがたくさんあります。
以下の表は、全国新規就農相談センターによって調査が行われた、就農一年目で発生した費用の平均額です。これによると、新規就農者は平均的に約474万円ほどの資金が不足しています。
営農面 | 生活面 自己資金 |
就農一年目の農産物売上高 | |||
土地を除く 必要経費 |
自己資金 | 差額 | |||
平均額 | 755万円 | 281万円 | -474万円 | 170万円 | 343万円 |
引用:全国新規就農相談センター「新規就農者の就農実態に関する調査結果 令和3年度」
また、農業をはじめてすぐに作物が収穫できるわけではありません。成果が出るまでの運転資金を確保する必要もあります。
こうした資金不足を補うために、新規就農者のうちおよそ半数の方が、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用しています。 受け取るための要件を早めに確認し、申請に向けて準備をすすめましょう。
関連記事:農業の資金調達は難しい?新規就農におすすめの融資・補助金を解説
農地を探す
作物を育てるためには、農地の取得も忘れてはいけません。
地域にもよりますが、この農地取得は新規就農者にとって大きなハードルです。 農地の購入や借用のためには、農地の貸し手を探したり、法律に基づき市町村農業委員会の許可を受ける手続きも発生します。
農地を含めて、これまでご紹介した通り、農業経営をはじめるまでには事前準備に時間が必要です。思いついてすぐに農業を始められるわけではないことは理解しておきましょう。
関連記事:ビニールハウスを建設する際に農地の見るべきポイントとは?
イノチオアグリは新規就農を応援します
イノチオアグリでは、ビニールハウスの製造・販売のほか、新しく農業をはじめる方の支援も行っております。 お客さまが実現したい農業についてしっかりとヒアリングし、農地・資金・栽培技術の準備を含めて、総合的にサポートいたします。
「何を栽培したらいいか分からない」というご相談も、お任せください。何を栽培し、どのように販売すれば利益が得られるのか、当社で作成する収支計画をもとにご支援させていただきます。