農業を新しくはじめる際、必要になる栽培技術や知識、経営のノウハウといった幅広い知識。「勉強することが多すぎて何からはじめたらいいのか…」と感じたことはありませんか?

今回は、社会人の方が働きながら農業を学ぶ方法についてご紹介します。1日のみ開催の農業体験から、約1年程度じっくり取り組む研修まで、さまざまな勉強方法があります。

なぜ農業を学ぶ必要があるのか?

農業の基本を理解することが大切

農業を始めるにあたり、まずはその基本を理解する必要があります。

農業は単なる作物の栽培だけでなく、土壌管理や気候の影響、病害虫の対策、さらには経営戦略まで多岐にわたる知識が求められます。これらの基礎知識を身につけることで、実際の農作業においても自信を持って取り組むことができるようになります。
農業を成功させるためには、体力や根気だけでなく、深い知識と計画も不可欠です。

農業を始める前に十分な勉強をすることは、長期的な成功と安定した収益を確保するためにとても重要です。

現代農業のトレンドを把握しよう

現代の農業は技術革新や環境問題への対応が求められており、こういったトレンドを掴むことも大切です。

例えば近年、スマート農業と呼ばれる新しいアプローチが注目されています。これは、IoTやAIを活用し、データに基づいた効率的な農業を実現するものです。
また、持続可能な農業も重要なトレンドの一つです。例として、環境に配慮した有機農業という方法は、土壌の健康を保ちながら化学肥料や農薬の使用を減らすことを目指しています。

農家として本格的に農業に取り組む場合、このような農業のトレンドを掴むことで自分の農業に取り入れられるほか、他の農場との差別化を図りながら作物をどう作って売るべきかを検討することができます。

社会人が農業を勉強する方法とは

農業体験に参加する

農業を学ぶ第一歩として、農業体験に参加する方法があります。

実際の農作業を通じて基本的な栽培技術を学び、農業の魅力や楽しさを実感することができます。 農業体験プログラムの中には週末1日だけで参加できるものもあり、忙しい社会人でも参加しやすいのが特徴です。

ただし短期間の体験のため、深く学ぶことが難しい点がデメリットです。本格的な就農に向けてもっと深く学びたいと感じたら、他の方法で農業を学ぶ機会を増やしましょう。

農業インターンシップに参加する

農業法人などが開催する農業インターンシップは、実際の農場の現場を体験しながら学ぶことができるプログラムです。
インターンシップでは、農作業の基本から作物の栽培管理、収穫、さらには経営に関する知識まで、幅広い分野を学ぶことができます。

イノチオグループでもほ場研修を実施しています。「まずは農業現場を体験してみたい」といった方に向けた総合体験のほか、栽培や作業管理、農業経営などの各分野に特化した研修をご用意しています。

社会人向け農業スクールに参加する

社会人向けの農業スクールでは、基礎的な栽培技術から経営ノウハウまで、幅広い知識を体系的に学ぶことができます。週末や夜間に開催されるものやオンライン通信コースを選択できるスクールもあるため、仕事との両立がしやすいのも魅力の一つです。

また、実際の農業現場での実習が組み込まれていることが多く、理論だけでなく実践的なスキルも身につけることができます。さらに、同じ志を持つ仲間と出会えることで、情報交換やネットワーク作りにも役立ちます。

農業大学の社会人向けプログラムに参加する

農業大学や大学の農学部では、社会人を受け入れている学校もあります。こうした社会人向けプログラムに参加することで、農業に関する幅広い知識を専門家から学ぶことができます。

たとえば、京都大学大学院農学研究科付属農場が社会人履修プログラムとして行っている「次世代農業マイスター育成プログラム」はその一例です。隔週土曜日に通って、農業の基礎知識と実習を履修します。

参考:京都大学大学院農学研究科 付属農場「社会人履修プログラム」

農業に関する資格を取る

就農を目指すにあたって役立つ資格がいくつかあります。資格取得を通してより農業への理解が深まるため、農作業の実践とあわせて学ぶのもおすすめです。

ここでは、「日本農業技術検定」「土壌医検定」のふたつをピックアップしてご紹介します。

日本農業技術検定

日本農業技術検定は、学科試験・実技試験を通して総合的な農業のスキルをはかる検定です。受検対象となるのは、農業高校・大学や就農準備校などで学ぶ人たちや後継者などで、これから農業に携わるという方におすすめの資格です。

3級は学科のみ、2級・1級は学科と実技試験を受験します。知識と技術の両方を高められる検定と言えます。

土壌医検定

農作物を育てる際、土の状態を把握して適切に管理しているかどうかは、収穫量という結果に直結します。土壌医検定では、理論的な土づくりの知識を学び、栽培に活かすことができます。土づくりに関する客観的な知識を得たい方におすすめの検定です。

検定試験は1級から3級まであり、1級の受検には土づくり指導または5年以上の就農経験が必要ですが、2級と3級はオンラインで誰でも受検可能です。

そのほかの農業に役立つ資格については、こちらの記事で詳しく解説しています。

関連記事:農業に役立つ資格18選!取得方法と特徴について解説!

就農に向けて本格的に農業を学ぶには

就農を見据えてより本格的に農業を学びたくなったら、よりじっくりと勉強ができる農業大学校、農業大学開催のプログラムへの参加なども検討してみましょう。

農業大学校に通う

農業大学校とは、農業への就職を目指す方や経営発展のためにスキルアップを目指す農業者の方を対象とした、農業大学とは異なる研修教育機関です。全国42道府県にあり、全国どこに住んでいても比較的通いやすいのが特徴です。

農業大学校には、「養成課程」、「研究課程」、「研修課程」という3つの学習過程があります。教科は稲や畑作物、野菜、果樹、花き、酪農、肉牛、養豚、養鶏などで、それぞれの分野で専門的な知識や技術を学びます。

参考:農林水産省「農業大学校等のご案内」

ただし、農業大学校に通うには、一定の時間と費用がかかることを考慮する必要があります。特に社会人の場合は、仕事との両立が課題となることが多いです。通学のスケジュールや学費等を踏まえて検討しましょう。

最近では、夜間や週末に開講されるプログラムも増えているため、自分のライフスタイルに合ったコースを選ぶことができる場合もあります。

農家のもとで研修する

就農を目指した農業の勉強なら、農家のもとで研修することがもっとも実践的な方法です。近年では地方自治体が農家での研修制度を設けて、研修生を募集しています。

農家での研修制度では、会社で働きながら学ぶのではなく、その土地での就農を希望する人を対象に、地域の先進的な農業法人や農家のもとで農作業を学びます。 修了後は、農業法人等に勤める「雇用就農」、自分で農業をする「新規就農」どちらにするかを選択します。

さらに自治体が認可する研修制度であれば、研修期間および就農直後に経済的支援を受けることがきます。 この方法で農業を学ぶ場合は仕事との両立が難しいため、農家に転職するつもりで、研修中、さらに農業をスタートしたあとの資金のために、ある程度の貯蓄をしておくことが望ましいです。

農家研修のメリット・デメリット

農家研修のメリットとして、農業に関するノウハウがない中、助成金等で経済的支援を受けながら農業を学ぶことができる点が挙げられます。早期の就農を希望する方、何をどこで栽培したいかが明確な方にはおすすめの方法と言えます。

一方でデメリットとして、研修を受けた地域で就農する必要があるため、就農したい地域が定まっていない方、どのような農業をするのかイメージが曖昧だという方は、別の方法を検討した方がよいでしょう。研修を始めると後戻りはできないため、他の学習手段と合わせてよく検討することをおすすめします。

理想のライフスタイルを目指して農業を勉強しよう

ここまで、働きながら農業について学ぶ方法についてご紹介してきました。

趣味として農業をはじめたい場合は、農業体験やインターンシップで作業を体感して、まずは農業とはどういったものなのか、自分に適性があるかを確かめるところから始めてみるのも良いでしょう。

農業で収入を得るために本格的に取り組みたい場合は、農業大学校や就農希望者向けの研修等に参加して実践的に学ぶ方が効率が良い場合もあります。

いずれにしても、自分がどのような農業を実現したいかによって勉強方法を選ぶことが大切です。

新規就農のご相談はイノチオアグリへ

イノチオアグリは50年以上、農業用ビニールハウスに携わってきました。 これまで培った農業のノウハウを活かし、新規就農までの計画立案からビニールハウス設計、建設、収支シミュレーションのご提案まで、農業のスタートをトータルでご支援しております。

お客さまのご要望や理想とする農業経営に基づいてビニールハウスや内部設備を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算をお手伝いします。

新しく農業をはじめる際の疑問点やお悩みは、ぜひイノチオアグリへご相談ください。