農業ビジネスを未経験から始めるには?農業参入のポイントを作物別に解説!
昨今、農業に関するご相談を数多く頂いております。一方で農業経営を検討するにあたり、正しい事業計画を立案することが難しいや、何から進めればいいのか分からないなどの相談も多いのが実態です。
今回のコラムでは、農業ビジネスを未経験から始める方に向けて、農業総合支援企業としてのポイントや秘訣をご紹介いたします。
農業ビジネスを未経験から始めるには?
農業を始める前に!!
農業経営には大きく2つの経営スタイルに分類されます。
1つ目が農業生産者や農家のような「個人労働型」です。
自らの労働時間に関係なく、売上から売上原価や販管費を差し引いた金額が利益となる形態です。
2つ目は企業や大規模圃場のような「雇用管理型」になります。
特に企業の農業参入は「雇用管理型」に該当します。
個人労働型と大きく異なる点は管理社員の人件費が必要となるため、計画通りの売上が未達になることで、人件費固定の背景から赤字になるリスクがあります。また、人件費が発生することからある程度スケールした規模が必要となるのも特長の1つと言えます。
総じて、雇用管理型では圃場運営、パートナー教育、作業計画立案など、幅広い知識が必要になります。
関連記事:認定新規就農者は厳しい?新規就農者制度の条件について徹底解説
農業参入予定のご担当者必見!!農業経営の型による経営方針の違い
先ほど述べた農業経営の型によって経営方針も大きく異なります。
個人労働型の農業では「高付加価値で売上最大化」と「小規模で儲かる」がポイントです。例えば、生活者が欲しくなる農産物の品質や付加価値を感じるストーリーなどがあげられます。
一方で、雇用管理型の農業では「計画生産で効率を最大化する」ことがポイントです。
大規模圃場になればなるほど、売上原価や販管費の人件費が高額となるため、ビニールハウスの仕様を検討する中で、スマート農業などの自動化を取り入れることでの効率化や労務管理導入により、作業性の課題を明確にするなど取り組むことも1つの施策になります。
上記の内容から農業経営の型のどちらに近しいのか、見極めた上で農業参入を検討しましょう。
農業の利益率を上げるには?
農業経営における利益率向上の秘訣としては大きく2つが重要です。
1つ目は売上最大化の観点になります。
農業経営は収量と単価で売上が構成されるビジネスです。収量を最大化するには栽培や作業管理の過程で失敗しないことが挙げられます。また、単価の観点では品質や納期、商品力を工夫することも重要です。
利益率向上の秘訣2つ目は経費の削減です。
ビニールハウスのような太陽光を利用し、環境制御された空間で栽培する場合、減価償却費や動力高熱費、人件費などの費用を削減することがポイントです。特に減価償却費については固定となるため、農業参入時の投資コストを最適化する、または補助金活用による減価償却費の抑制などを考えてみるのも1つです。
農業の利益率を上げる経営のポイント
農業経営で利益を上げている方には必ず共通する点が見られます。特に最近では営農販売や労務管理のアプリの導入を行っている農場の黒字率が高い傾向にあるとのデータも見られます。
このような傾向からも労務管理やパートナー教育などの労働生産性向上は利益率向上における重要な施策であると思われます。
共通している点を絶対条件と追加条件の観点で記載します。
- 【絶対条件】生産技術が安定している
- 【絶対条件】販売先が安定している
- 【絶対条件】事業計画立案時の正確性
- 【追加条件】単価が高い
- 【追加条件】労働生産性が高い
- 【追加条件】既存ビジネスと連携している
追加条件の「既存ビジネスと連携している」点は企業が農業参入する際のメリットでも多くみられる内容です。新たに農業を始める際は、上記の共通点を満たすことができているかどうか確認しましょう。
関連記事:ビニールハウス栽培に向いているおすすめ野菜・果物5選!
企業の農業参入に向けて
企業の場合、事業としての「採算」視点は欠かせません。
一方で農業経営の事業計画を1から立案することは手間と労力がかかり、立案できたとしてもネット情報からの引用となれば、農業経営の実態と大きく異なるリスクもあります。
そのため、農業参入の計画段階からサポート可能な企業と相談の上、起こりうるリスクと対策を鑑み、検討していきましょう。
農業参入 トマト・キュウリ編
ミニトマト・キュウリ栽培
ミニトマトやキュウリのハウス栽培において、ハイワイヤー栽培と言われる高収量・高生産の栽培方式が主流になりつつあります。特に雇用管理型では、限られた農地の中で最大限の収量が必要となるため、高収量・高生産できるハイワイヤー栽培方式は非常に魅力的です。
特徴としては軒高の高いビニールハウスを活用し、地上部から3m以上にトマトを吊り下げることで、一般的な地上部から1.8m前後の吊り下げる栽培方式と比較して、高収量を実現できます。
また、トマトやキュウリを吊り下げる誘引の高さを引き上げることで、光が作物全体に行き届くことも大きなメリットになります。
選ばれるビニールハウス
ミニトマトやキュウリの場合、高収量性のビニールハウスが多く建設されています。
農業経営を持続化させる高い耐候性(耐風速や耐積雪)を保有し、高い採光性と換気効率を実現するビニールハウス製品です。
イノチオのSANTAROOFは柱高を最大6.0ⅿまで可能とした設計構造で、広い栽培空間を確保し、作物を上部に伸ばす高収量のハイワイヤー栽培を可能にする仕様です。作物を問わず、高収量を目指すお客さまに選ばれているオランダ式高軒高ハウスになります。
また、作物の成長を促すハウス内環境も魅力的な特徴の1つです。屋根部材の小型化で採光性が高く、ハウス内全体に太陽光が行き届き、作物の成長を促進させます。さらに、換気効率の高い設計構造で温度・湿度のムラが減り、栽培が安定します。
内部設備は作物を地上部から高い位置に吊り下げる設備や化石燃料の使用低減、暖房の排ガス利用などの仕組みを兼ね備えた事例もございます。
農業参入事例
製油事業とのシナジー創出に向けて、再生可能エネルギーの活用と地域雇用の創出を目的とした事例をご紹介します。
ポイントとして、製油事業で排出される余剰エネルギーを農業生産時の暖房設備に活用。暖房に化石燃料を一切使用せず、バイオマスボイラーと余剰エネルギーのみを使用しています。
カーボンニュートラルの視点を持った農業として、持続可能性やエネルギー削減につながるため、今後ますます注目されることが予想されます。
また、事業開始後の保守メンテナンスにより、安定した農業生産を実現している点も企業の農業参入を成功に導く上で欠かせないポイントになると言えます。
農業参入 イチゴ編
イチゴ栽培
イチゴのハウス栽培は非常に難しいのが実態です。そのような実態も鑑み、イチゴの高設栽培をおすすめしています。
イチゴ高設栽培は自然な立ち姿勢のまま作業を行うことができ、作業中のかがむ・立つ・座るといった動作が必要ないため、腰や膝、肩への負担を軽減するとともに、土耕栽培と比較し、高い作業効率を実現する栽培方法になります。
加えて、イチゴ栽培用に施した培土や養液を活用する栽培方法から栽培開始初年度においても、安定した収量を確保する可能性が高い点も農業参入する上で非常に魅力的です。
イチゴ ビニールハウス
イチゴはミニトマトやキュウリと異なり、葉の量が少ない特性を持ちます。
冒頭ご紹介したようなオランダ型のビニールハウスでは空間体積が広いため、ハウス内部は乾燥し、イチゴの天敵であるダニなどの害虫が発生しやすい環境になります。
そのため、湿度を保ちやすい丸型ハウスD-1をおすすめしています。丸型ハウスD-1はイチゴ、トマト、葉物野菜、花き類など80種類以上の作物で導入実績があり、発売から40年以上経つ、ロングセラーのビニールハウスです。近年では、イチゴ栽培での実績が最も多く、全国の生産現場で選ばれています。
シンプルな設計構造が魅力です。基礎部は据え付け基礎、ハウス構造はパーツ組み立て式を採用することで建設期間を短縮し、総合的なコストを抑えています。屋根、樋部には上りやすく、遮光剤散布や被覆資材の補修等、お客さまが行うことでランニングコストを抑えることが可能です。
内部設備としてはイチゴの高設ベンチを導入することで立ち姿勢のまま作業を可能にするため、作業性の向上に繋がります。
農業参入事例
新しくBtoCのビジネスをはじめようと思い、農業を始められた事例をご紹介いたします。
特にイチゴは最も栽培技術を要する作物の1つです。構想や販売形態をお伺いし、お客さまにも喜んで頂ける、イチゴの生産を効率良く実施できるよう、ビニールハウスの設計やレイアウトからご提案しております。
別の業種から農業参入をするにあたり、知識や経験、技術もない状況からの事業開始は容易ではございません。ビニールハウス建設だけでなく、事業開始後の営農支援(栽培技術サポート)などのサポートも含めて、参入される点は企業の農業参入を成功に導く上で欠かせないポイントです。
農業参入のポイント
生産技術&労働生産性向上
「雇用管理型」の農業経営を行うことが多い、企業の農業参入では労働生産性向上も大きなポイントです。
社員の人件費を払う必要があるため、個人労働型と比較すると大型施設や圃場が必要になります。大型圃場では質全的に生産工程に基づく計画性や自動化を取り入れた効率化、労働生産性の向上が重要となります。
重要な一方で、作業記録は紙で行っている状況が多く、労働生産性の課題を明確にするまで、手が回っていないのも実態です。
労働生産性を如何に向上するのか
agri-boardは、作業情報(いつ・どこで・だれが・なにを・どのくらい)を現場で記録してデジタル化できる、はれると社(イノチオグループ企業)が開発した労務管理ソフトです。
作業開始時に「ボタン」をタップすることで、作業データがグラフ化されます。
必要なデータが自動更新され、毎日の事務作業が発生しません。データはクラウド管理となり、スマホ、タブレット、PCで作業情報と労務情報をいつでも・どこでも確認することができます。
初期費用は0円(ご利用料金1アカウントに付き950円~/月)、高価なスマート農業製品と比較しても無理なく導入をすることができます。
デジタル化に不安がある方には、サポート専門の担当者が付くので、難しそうな初期設定や現場導入も安心して行え、他社活用事例の紹介やデータ分析まで幅広くサポートします。
作業時間を記録することで、自然と作業スピードを意識したり、従業員同士で上手くできるコツを教えあったり、「みんなで頑張る」意識が芽生えます。工夫や成長を数字で伝えることで従業員のモチベーション向上にもつながります。
さらに、「どの時期にどのくらい忙しくなるのか」を従業員とグラフで共有できるので、経営者・農場責任者としての意見に納得感が生まれ、シフトなどの相談がスムーズに行えます。作業に余裕がある時に休みをとってもらい、ムリのない予定立てで作業遅れを解消することが可能です。
2023年7月にagri-boardの導入を検討するお客さま向けにセミナーを開催しました。
実際にお客さまへサポートを行っているカスターサクセスチームのリーダーが登壇。
現場で培ってきた経験とお客さまからの生の声をもとにご紹介をさせていただきました。
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企業の農業参入を支援します
イノチオアグリとは
イノチオアグリはビニールハウスに携わり、50年以上の知見と全国1万棟以上の建設実績がございます。
培ったノウハウを活かし、企業の農業参入における計画から計画生産や労働生産性を考えたビニールハウス設計、建設をトータルでご支援しております。
お客さまのご要望や条件に基づいて、事業計画を立案し、ビニールハウス、内部設備を設計し、栽培方法や作業計画の立案を伴走いたします。
さらに、圃場研修や専門指導員による就農後のサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。