兼業農家とは?農業を副業でするメリット・デメリット
農業のはじめ方は、その方の状況や人生計画によってさまざまです。これまで一般企業でサラリーマンとして働かれていた方が、勤務先を退職して専業農家になるという事例も多数あります。
しかし、なかにはこれまでの環境からガラッと変わる農業に不安を持つ方もいらっしゃると思います。
今回のコラムでは、今の仕事と両立しながら取り組める兼業農家についての情報をピックアップしてご紹介します。
目次
兼業農家とは?
はじめに、兼業農家の特徴について説明します。兼業農家は、大きく第一種兼業農家と第二種兼業農家の2つに分類されます。
➀第一種兼業農家
第一種兼業農家とは、兼業所得よりも農業所得が多くなっている方を指します。
農業からの収入がメインで、農業以外に副業収入を得ている方が該当します。
➁第ニ種兼業農家
第二種兼業農家とは、農業所得よりも兼業所得が多くなっている方を指します。
普段は、企業勤めや自営業などの本業からメインの収入を得ていて、副業収入という形で農業収入を得ている方が該当します。
昔に比べて、農業に関する情報も入手しやすくなり、農業を始めるハードルが低くなったことが大きな要因です。リモートワークで本業の仕事を行い、空いた時間や休日で作物を育てて副業として収入を得るといった、新しいライフスタイルを求める人々もいます。
兼業農家の平均年収
農林水産省の調査によると、副業農家の収入は平均年間51.1万円です。
副収入と捉えると、想像よりも多く稼げると思われたのではないでしょうか。
しかし、農業をはじめて簡単に年間約50万円を稼げるとは限りません。まずは作物を育てる必要があり、そこには技術が伴い、収益化まで時間がかかる可能性があると予測できます。
本業とは別に、兼業農家として農業をはじめる際には、ある程度の費用の確保と技術習得をしてからはじめることをおすすめします。
兼業農家のメリット・デメリット
兼業農家のメリット・デメリットについてそれぞれ紹介します。ご自身の価値観や理想とするライフスタイルを踏まえて参考にしてみてください。
兼業農家のメリット
はじめに、兼業農家のメリットについて紹介します。
自給自足に近い生活ができる
副業で農業に取り組むことで、自給自足にも近い生活を実現できます。うまくいけば自分で栽培した野菜だけで食べていくこともできますし、生活コストである食費を抑えられるようになるかもしれません。
自然に触れ合いマイペースに農業ができる
副業としての農業は、自然と触れ合いながら外で身体を動かすことで本業の息抜きができます。週末のみの農業でも、日常を離れて外で作物を育てられることも魅力的です。
本業からの収入が安定していることで、農業からの収入に頼る必要がありません。精神的な余裕ができることで、積極的に取り組む余裕が生まれます。
副業として収入を得られる
兼業農家は、本業以外から収入を得ることができます。
将来的に 専業農家を目指す場合でも、副業として栽培技術や農業経営のノウハウを身につけ、自信が持てたタイミングで専業農家になることもできます。また、 農業は初期投資が大きく、最初から専業農家として生計を立てるにはリスクが伴います。
関連記事:農業は副業になる?メリットや注意点を解説!
将来的にビジネスとして発展できる
副業の農業ビジネスは、将来的にビジネスを大きく成長できる可能性があります。
ビジネスは、一度売上が伸びはじめると、そこで得た資金を元にさらなる投資が可能になります。投資を元に作物の質や量を高めていくことで、さらなる収入が期待できます。
兼業農家のデメリット
続いて、兼業農家のデメリットについて解説します。
初期投資が高額になりがち
副業で農業をはじめる際、農地や施設、機械などの初期投資は高くなってしまいます。兼業農家の場合、あくまでも副業という立ち位置において、資金の捻出が難しい部分ではあります。
時間・労力が必要になる
兼業農家の方は、本業で空いた時間や休日に農作業をするので、ほぼ休みがなくなってしまう恐れがあります。
作物をこまめに確認するための時間、収穫などの農作業をするための労力などが必要なため、本業に融通が利く方に適していると言えるでしょう。
短期的な収益が見込めない
農業は、先で述べたように初期投資が高額になるだけでなく、作物が育つまで一定の時間を必要とすることから、すぐに収益化することが難しいビジネスだと言えます。
ただ、農業の場合には、メリットでも述べたように収益以外にもメリットがあります。その点も踏まえて、ご検討ください。
兼業農家になるには?農業のはじめ方
農業のはじめ方は、さまざまですが、今回は兼業でのはじめ方をベースに説明します。
農地の確保
農作物を育てるには、農地が必要となってきます。農地購入には、農地法に基づく申請を市区町村や農業委員会へ行う必要があるため、ハードルが高くなります。
しかし、農業をはじめるためには、必ずしも農地を購入する必要はありません。兼業農家として、農業をはじめる場合は農地のレンタルサービスという方法があります。
地方自治体や市区町村が保有する土地を貸し出す「市民農園」というサービスでは、1区画(約10〜20㎡)を年間2,000円程度から借りることができるなど、気軽に農業をはじめられるようになっています。
今後、専業農家を検討していて、適正を見極めるために兼業農家をはじめられる方にも、お試しとしてオススメできます。
関連記事:農地を買うには どうしたら良いのか?購入までの流れや注意点を解説
栽培する作物の選定
農地の次は、栽培する作物を決めましょう。
選定基準は、「手間」「単価」「面積」の3つです。
副業として、まとまった収入を得たいのであれば単価の高い野菜を選ぶこともおすすめです。しかし、はじめて農業をする場合には、手間がかからず、作付面積も小さくて育てやすい野菜から栽培することをおすすめします。
関連記事:ビニールハウス栽培に向いているおすすめ野菜・果物5選!
作物の種・苗、農機具の確保
栽培する作物が決まれば、その種子・種苗を入手しましょう。専門店以外にも、ホームセンターなどでも購入が可能です。お店によっては、専門的な知識を持った店員さんがいる場合があります。同じ作物でも、いくつか品種があるので、相談してみると良いでしょう。
農機具等も必要な場合には、買ったり借りたりする必要はあります。
しかし、はじめは必要以上に揃えず、なるべくコストは抑え、副業として継続できるようにしていきましょう。
栽培技術の習得
本格的に農業をはじめる場合には、研修を受けたり、農業大学校で学ぶなどの選択肢がありますが、兼業の場合は本業ありきになるのでその選択肢が難しいでしょう。
ネットで調べるのも良いですが、生産者の方や行政の担当者の方とお話しできる機会があれば活用しましょう。
農林水産省の全国新規就農相談センターの活用、市町村の役所に行ってみたり、実際に農家の方に聞いてみることで、よりリアルなお話しが聞けるでしょう。
また、農業大学校や市町村で開催される営農・就農研修等に参加することで、農業や栽培に関するコツを学ぶことができます。
兼業農家で成功するポイント
農業の副業で安定的に稼ぐのは、収益とコストの観点から難しいと言われています。そのなかで、兼業農家として一定の収入を得て成功するには、戦略が重要になってきます。
費用対効果がある作物を栽培する
兼業農家は、専業農家とは違い、かけられる時間と費用が限られています。その状況の下、作物を選定して、効率的に栽培を行う必要があります。
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最適な販路を確保する
栽培と同様に、作物をどう販売していくかということも重要です。販売する経路によって同じ作物でも価格が大きく異なり、売上にも大きく影響してきます。
道の駅などの直売所やインターネットなど、独自の販路を見つけ、野菜をより効果的に売っていくことがポイントです。
また、SNSを活用したマーケティングやブランディングに取り組むことで、他と差別化された作物を表現することもできます。
兼業農家をはじめる際に注意するポイント
兼業農家をはじめる場合、いくつかの注意点があります。
補助金を活用する
専業農家に比べると使用できる補助金の種類が異なるかと思いますが、できるだけコストを抑えるために、使用できる補助金を見つけた際には活用しましょう。
市区町村ごとに情報が出ている場合もあるので、調べるようにしましょう。
関連記事:新規就農者1,000万円の補助?経営発展支援事業を徹底解説
確定申告を行う
サラリーマンの場合、毎月支払われる給与に関しては、企業側が年末調整を行なってくれているため確定申告は基本的に必要ありません。
しかし、兼業農家として副業で年間20万円以上の収入が発生した際には確定申告が必要になります。
農業の所得は事業所得に分類され、以下の計算方法で算出します。
「総収入金額−必要経費=所得金額」
収入が発生した翌年の2月16日から3月15日の間に、必ず確定申告を行いましょう。
また、例え副業の年収が20万円以下であっても、住民税の申告は必要です。収入があった翌年の3月15日までに区役所の税務課で申告を忘れず行ってください。
関連記事:農業経営における確定申告の重要性とは?経費や必要書類を徹底解説
兼業農家を検討している方の相談先
農業をはじめるにあたり、情報収集をしているとさまざまな疑問が生じてきます。そんなときは、ネットや本だけにたよるのではなく、専門家に相談してみることをおすすめします。
農林水産省にある全国新規就農相談センターを活用したり、市町村の役所に伺ってみたり、実際に農家の方に聞いてみることで、よりリアルな情報を入手することができます。
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