農業用ビニールハウスに使える補助金の一覧
ビニールハウスなどの高額な農業設備を購入する際には、国や地方自治体が設ける補助金制度を活用することができます。これらの補助金の情報は、非常に専門性が高く、実際に農業に従事している農業者でも正確に把握できていない場合もあります。
今回のコラムでは、ビニールハウスに使える補助金を詳しく解説していきます。また、補助金の申請方法や注意点なども記載しておりますので、今後の事業や経営の参考にしてください。
※ご紹介している補助金情報は、作成時期によって名称や内容が異なっている場合があります。申請を希望される場合は、補助金を交付している該当機関のホームページをご確認ください。
目次
農業用ビニールハウスに使える補助金
農業用ビニールハウスに関連する補助金として、「強い農業づくり総合支援交付金」が活用できます。
強い農業づくり総合支援交付金
強い農業づくり総合支援交付金は、食料システム構築に向け生産から流通に致るまでの課題解決に向けた取り組みを支援します。支援内容が異なる3つのタイプがあります。
令和7年度の募集はすでに終了していますが、傾向として、この交付金は毎年募集が行われていますので、今後の募集に向けた参考としてご覧ください。
※支援内容は変更になる場合があります。
参考:2025年度強い農業づくりの支援に係る関係通知について-農林水産省
⾷料システム構築⽀援タイプ
⾷料・農業・農村基本法の改正を受けて、⾷料システムを構築するために、実際の需要とつながる拠点事業者が農業者や産地と協力し、⽣産から流通までの課題を解決するためのソフト面やハード面の取り組みを一体的に支援します。
補助の内容は以下の通りです。
助成対象 | 整備事業(農業用施設)、ソフト支援(農業用機械、実証等) |
補助上限額 | 整備事業:20億円/年、ソフト支援:5,000万円/年 ×3年間 |
補助率 | 定額、1/2以内 |
地域の創意⼯夫による産地競争⼒の強化(産地基幹施設等⽀援タイプ)
産地基幹施設等支援タイプでは、次の2つの観点で支援を行っています。
①産地収益⼒の強化、産地合理化の促進
産地農業において中⼼的な役割を果たしている農業法⼈や農業者団体等による集出荷貯蔵施設や冷凍野菜の加⼯・貯蔵施設など、産地の基幹施設の整備等を⽀援します。 また、産地の集出荷、処理加⼯体制の合理化に必要な産地基幹施設の再編等を⽀援します。
②重点政策の推進
みどりの⾷料システム戦略、産地における戦略的な⼈材育成といった重点政策の推進に必要な施設の整備等を⽀援します。
補助の内容は次の通りです。
助成対象 | 農業用の産地基幹施設 |
補助上限額 | 20億円等 |
補助率 | 1/2以内等 |
⾷品流通の合理化(卸売市場等⽀援タイプ)
物流の効率化、品質・衛⽣管理の⾼度化、産地・消費地での共同配送等に必要な ストックポイント等の整備を⽀援します。
補助の内容は次の通りです。
助成対象 | 卸売市場施設、共同物流拠点施設 |
補助上限額 | 20億円 |
補助率 | 4/10以内等 |
補助金を活用する際は、現在の募集状況などを確認の上、申し込みの準備を進めましょう。詳しくは、補助金を交付している該当機関のホームページをご確認ください。
補助金の申請方法
農業用ビニールハウスに使える補助金の申請は、いくつかの重要なステップを踏む必要があります。まず、自治体や政府が発行する公募要領を確認し、受給条件を満たしているかをしっかりと確認しましょう。次に、指定された様式に沿って申請書を作成します。この申請書には、事業目的や事業計画、収支予算などを詳細に記載することが求められます。
申請書が完成したら、指定された提出先へ持参するか、郵送、または電子申請を行います。その後、書類審査が行われ、交付対象として認められると補助金が支給される流れです。なお、ビニールハウスの設置前後での変化をレポートとして提出することが求められる場合もあるため、事前に準備しておくことが重要です。
補助金を申請する際の注意点
補助金制度は、ビニールハウスなどの高額な投資を行う際にはとても魅力的ですが、いくつかの注意点がありますので、把握して申請を行うようにしましょう。
公募期間が短いケースがある
補助金の公募期間は、一般からの応募を受け付ける期間を指しますが、これが短い場合があるため注意が必要です。特に人気のある補助金は、予算の都合や申請者数の多さから、予定より早く公募を終了することがあります。例えば、経営継続補助金などはその代表例です。したがって、活用できる補助金制度を逃さないためには、常に最新の情報をチェックし、早めに申請を行うことが重要です。
必ずしも承認されるとは限らない
補助金の原資は税金で賄われており、予算には限りがあります。そのため、補助金の申請が必ずしも承認されるわけではありません。審査基準は厳格で、条件を満たしていても申請書の内容や形式に不備があれば、承認されない可能性があります。申請前には、受給条件や必要書類をしっかり確認し、適切な様式に沿った申請書を作成することが重要です。これにより、承認の可能性を高めることができます。
補助金は基本的に後払いが多い
農業用ビニールハウスに関連する補助金は、一般的に後払いの形式が多いです。これは、申請者が事業を実施した後に、その成果や支出を確認した上で補助金が支給されるためです。このため、補助金を受け取るまでには一定の時間がかかることがあり、場合によっては1年近く待たされることもあります。したがって、農業者は補助金の支給を前提にした資金計画を立てることが重要です。事業の実施にあたっては、自己資金や他の資金調達手段を併用し、計画的に進めることが求められます。
新規就農者が使える補助金
新規就農者にとって、ビニールハウスや各種設備の初期コストは大きな負担となりますが、これを軽減するための補助金制度が用意されています。これらの補助金は、就農準備や経営開始に必要な資金を支援するもので、特に新規就農者にとって心強い味方となります。
就農準備資金
就農準備資金は、農家を目指す方々が就農前に必要な研修を受けるための支援金です。この制度は、都道府県が認めた研修機関で研修を受ける希望者に対して、月額12.5万円、年間最大150万円が最長2年間交付されます。対象となるのは49歳以下の研修生で、一定の条件を満たす必要があります。研修期間は国内で2年間、特定条件下で海外研修を含める場合は3年間となります。
ただし、生活保護など他の助成金と重複して受け取ることはできません。また、適切な研修を行わなかった場合や、研修後にすぐに就農しなかった場合には、資金の返還が求められることがあります。このように、就農準備資金は新規就農者にとって非常に重要な支援制度ですが、利用する際には条件をしっかりと確認することが大切です。
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青年等就農資金
青年等就農資金は、新規就農者を対象に国が無利子で資金を融資する制度です。この制度は、農業を始めたいと考える若者にとって大変重要な支援となります。実際には、国の出資金をもとに、株式会社日本政策金融公庫が融資に関する審査や手続きを行います。
融資を受けるためには、認定新規就農者であることが求められます。具体的には、市町村から青年等就農計画の認定を受けた個人または法人が対象となります。融資の用途は、農業生産用の施設や機械、家畜の購入費用など多岐にわたります。
融資限度額は最大3,700万円で、返済期間は17年以内(うち据置期間5年以内)となっています。注意点として、青年等就農資金は申請順に融資決定が行われるため、早めの申請が重要です。また、各年度で予算が決まっており、予算を使い切ってしまうと融資が行われないため、常に最新の情報をチェックしておくことが求められます。
なお、農地を取得するための資金としては利用できないため、別途自己資金や他の制度を活用する必要があります。このように、青年等就農資金は新規就農者にとって大きな助けとなる制度ですが、申請にあたっては条件をしっかりと確認し、計画的に進めることが重要です。
関連記事:「青年等就農資金」とは??メリット・デメリットまで解説
関連記事:認定新規就農者制度とは?メリット・デメリットまで解説
経営開始資金
経営開始資金は、新規就農者が農業を始める際に必要な初期投資を支援するための補助金制度です。この資金は、農業経営を安定させるための重要な要素であり、特に資金調達が難しい新規就農者にとって大きな助けとなります。具体的には、農業機械の購入や施設の整備、種苗の購入など、農業を始めるために必要な経費をカバーすることができます。
この補助金は、申請者が農業経営に必要な計画を立て、実行するための資金を提供するものであり、農業の持続可能な発展を促進することを目的としています。申請には、事業計画書や収支計画書の提出が求められることが多く、しっかりとした準備が必要です。また、地域によっては、特定の条件を満たすことで補助金の額が増える場合もありますので、詳細な情報を確認することが重要です。
経営開始資金を活用することで、初期投資の負担を軽減し、安心して農業に取り組むことができるでしょう。新規就農者にとって、この制度は大きなチャンスとなるため、ぜひ積極的に活用していきたいところです。
関連記事:新規就農者育成総合対策「経営開始資金」とは?
経営発展支援事業
経営発展支援事業は、農業を営む方々が就農後に経営を発展させるために必要な機械や施設、家畜の導入、さらには果樹や茶の新植・改植などを支援する制度です。この制度は、国や地方自治体が特定の取り組みに対してサポートを行う「補助金」として位置付けられています。
申請窓口は市町村が担当しており、受給するためにはいくつかの条件を満たす必要があります。特に対象となるのは認定新規就農者で、就農から3年以内の方が対象です。この制度を利用することで、農業経営の基盤を強化し、持続可能な発展を目指すことが可能になります。
支援額は補助対象事業費として上限1,000万円で、機械や施設、家畜導入、果樹、リース料などが対象となります。支援率は県支援分の2倍を国が支援する形で、国が1/2、県が1/4、本人が1/4の負担となります。特に、夫婦ともに就農する場合には、補助上限額の1.5倍が上限額となる特例も設けられています。
経営発展支援事業では返還義務は発生しませんが、国の方針に合致した取り組みを行う人に限り支援されるため、要件を満たせば誰でも受給できるわけではありません。申請時には、提示された項目に対する取り組み状況を提出し、これを都道府県がポイントで評価する仕組みが設けられています。この評価により、より良い取り組みを行う人が選定されることになります。
関連記事:新規就農者1,000万円の補助?経営発展支援事業を徹底解説
法人・企業が使える補助金
法人や企業が農業用ビニールハウスを導入する際には、大型施設を導入する場合があり、その際には特定の補助金制度を利用することがあります。これにより、初期投資の負担を軽減し、効率的な農業経営を実現する手助けとなります。
スーパーL資金
スーパーL資金は、農業法人や企業が新たに農業に取り組む際に利用できる補助金制度です。この制度は、特に大規模な農業経営を目指す法人に対して、設備投資や運転資金の一部を支援することを目的としています。補助金の対象となるのは、ビニールハウスの設置や改修、さらには生産設備の導入など、多岐にわたります。
この資金は、農業の生産性向上や経営の安定化を図るために設けられており、特に新しい技術や手法を取り入れることで、競争力を高めることが期待されています。申請にあたっては、事業計画書の提出が求められ、具体的な投資内容や期待される成果を明示する必要があります。これにより、補助金の適正な利用が促進され、農業の発展に寄与することを目指しています。
関連記事:スーパーL資金(農業経営基盤強化資金)とは?審査ポイントを徹底解説!
イノチオアグリのビニールハウス事業
イノチオアグリでは、農業用ビニールハウスの設計・施工だけではなく、栽培システム・内部設備・農薬肥料と施設園芸全般にかかわる製品を取り扱っています。
また、近年では新規就農者さまや農業参入企業さまからのお問い合わせを多くいただいており、それぞれの農業経営規模に合わせたビニールハウスの建設実績が多数ございます。
特にビニールハウスは、栽培する作物によって最適な形状と栽培設備がありますので、お客さまそれぞれのニーズに合わせて最適な提案をオーダーメイドで実施しています。
ビニールハウスのご相談・お困り事はイノチオアグリへ!
ビニールハウス建設にたずさわり50年以上の歴史を持つイノチオアグリは、数多くお客さまのビニールハウスの建設をさせていただきました。
イノチオアグリでは、ビニールハウスやスマート農業製品だけでなく、新規就農や農業参入の支援、収支シミュレーションに基づく作物や栽培方法のご提案や各種資材の提供まで、お客さま一人ひとりの状況に合わせて総合的にサポートさせていただきます。
ビニールハウス建設をはじめ農業に関するお悩みは、ぜひイノチオアグリへご相談ください。