親元就農の成功の秘訣と補助金情報を紹介!
ここ数年、農業界は従事者の減少に悩まされています。技術や環境は変化してきているものの、イメージの払拭や現場への技術導入が追い付ていていない現状です。また、以前は家業としての側面が強く、長男は家業である農業を継承するといった習慣がありましたが、今はそこも大きく変化しています。
しかし、なかには子供のころから農業を身近に感じ憧れを持ち農家としての道を選ぶ方もいます。また、会社員として外で働くことで、自らの実力と判断で発展ができる農業に魅力を感じて家業を継ぐ方もいます。今回のコラムでは、親元就農に焦点を当て、成功するための秘訣と役立つ補助金情報についてご紹介します。(2025年1月作成)
親元就農とは?
親元就農とは、農業を営む実家の家業を受け継ぐ形で農業の従事することです。新規就農とは異なり、スタートから地域に根ざした農業や経営の知識と栽培技術の継承ができます。また、地域社会における安定性と発展にも影響があります。
親元就農の現状は、日本全国でさまざまな形で見受けられます。農業従事者の人口が減っている昨今、衰退する地域もありますが、後継者不足を解消し、伝統的な農業技術を伝承している地域も存在します。これは地域農業の盛り上がりや習慣にも影響を受けているように感じられます。
また、近年はこれまでの形とは異なり、新しい農業ビジネスモデルやスマート農業技術を取り入れた親元就農をする後継者も現れています。
親元就農が選ばれる理由
親元就農が選ばれる理由には、生まれ育った地域への愛着、農業を営む親の姿への憧れなどさまざまあります。また、農家に生まれた誇りを持ち、その使命感から親元就農を選ぶ方もいます。
親元就農は農業を仕事にする側面だけでなく、地域社会においても存在価値は大きいです。農業は地域の産業であり、農業が果たす役割は非常に重要です。その地域で栽培された特産品は地域経済を活性化させ、多様な雇用を生み出す可能性もあります。
親元就農の魅力
上記でも紹介した通り、親元就農にはただ農業を受け継ぐだけでなく、地域活性化にもつながるなどさまざまな魅力があります。
また、それだけでなく一般企業に務める会社員と異なり、将来的には経営者としての役割も出てきます。親から受け継いだ農業を発展させるのかどうかも後継者の手にかかっています。そのような一面も長期的に見れば親元就農の魅力と言えるでしょう。
親元就農のメリット
新規就農者として農業をはじめる場合には0からのスタートとなりますが、親元就農の場合にはこれまで親が築いてくれた地盤があります。ここでは、親元就農のメリットについて触れていきます。
家業継承のため新規就農よりもリスクが低い
親元就農は、親がこれまで築いてきた事業基盤があり、土地や機械などの設備投資も済ましているケースがほとんどです。そのため、新規就農とは異なり融資を受ける必要がありません。また、栽培技術だけでなく、天候や市場の変動といった外的リスクへの対策も親から経験に基づいて学べるため、安定した農業経営が最初から見込めるでしょう。
親が培ってきた技術と経験を継承できる
農業は、熟練の経験から培われる知識と技術が要求される場面の多い職業です。親元就農は、その知識や技術をある程度の一定期間を通して継承できる環境が整っています。苗の育成、土づくり、栽培管理、収穫のタイミングなど一年間の研修では学び切れない現場での感覚や勘を教わることができます。
地域とのつながりも継承できる
親元就農者には、栽培技術と同様に親が築いてきた地域コミュニティとの繋がりを活かせるというメリットがあります。地域の人々や農業関連の団体や企業との協力は、農業を営む上で不可欠です。地域と深く関わることは、農業がただの産業ではなく、生活と密接に関連した仕事であることを実感できる喜びもあるでしょう。
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親元就農を成功させる秘訣
親元就農は、おじ通り親の元で農業を行います。そのため、働きやすい面もあれば、わずらわしさを感じるといった側面もあるでしょう。ここでは、親元就農を成功させるために必要な考えを一部ご紹介します。
親子での円滑なコミュニケーション
親子でのコミュニケーションは、会社の上司とは違った難しさがあります。特に自身が経験を積めば積むほど、意見の相違が生まれるでしょう。成功への鍵としては、お互いの立場を理解し、尊重することが肝心です。
たとえば、親は経験に基づいた意見が強みです、子は新しい考え方技術への興味やアンテナを張ることが強みです。お互いの考えを認め合い、日常の会話で共有することが大切です。会話をしないという状況では、円滑に栽培や経営を進められません。
スマート農業などの新技術の導入
農業の現場において、スマート農業などの新しい技術の導入や情報収集はこれからの時代には欠かせません。ドローンを使った作物監視や、ビニールハウス内を一括管理する環境制御システムなどはその一例です。
しかし、これら新しい技術には、親の世代には一定の抵抗があるかもしれません。導入するにあたり重要なのは、現状の課題と改善方法についての認識を親子で共有できているかどうかです。そのためには、上記でも説明しましたが親子で新しい技術の利点や導入時期について話し合うことや、一緒に学ぶ姿勢を持つことが重要です。特に、規模拡大を考えているのであれば、そのような新しい技術の導入が必要となってくるでしょう。
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地域の農家とのつながりを活用する
地域の農家とのつながりは、農業を営む上で欠かせないでしょう。共通の作物を栽培していれば、お互いにサポートや情報交換も行え、緊急時には助け合うこともできます。
親元就農とは、外に出ていた人も地元へ帰り働くことを意味しています。地域での活動やイベントに参加することは、ときにわずらわしさもありますが、世代を超えたつながりを作るためには貴重な機会と言えます。地域とのつながりは、農業を継続していく上で不可欠な要素です。
親元就農で活用できる補助金・支援制度
農業関係の補助金や支援制度と言えば、新規就農や農業参入など新たに農業をはじめる方向けの内容が目立ちますが、親元就農の方を支援する内容も存在します。
しかし、内容は年度や地域によっても異なってくるので注意しましょう。
新規就農者確保緊急円滑化対策・世代交代円滑化タイプ
➀経営継承支援 | ➁導入支援 | |
対象者 | 49歳以下の新規就農者(親元就農や第三者継承を活用) | |
対象 | ●施設や農機の修繕・撤去費 ●専門家への相談料 |
●施設や農機の導入費 |
補助率(かっこ内は内訳) | 3分の2(国:3分の1、都道府県・市町村:3分の1) | 4分の3(国:2分の1、都道府県:4分の1) |
補助上限 | 国が負担する補助額は➀と➁で計600万円 |
農林水産省は、親元就農者への支援を充実させる目的で、親から経営を引き継いで農業を始める人に対し、受け継いだ施設や農機の修繕を支援する事業を2024年度の補正予算案に盛り込みました。2025年度以降について未定ですが、農業従事者を増やすためにも何かしらの策が講じられるのではと言われています。
今回の「新規就農者確保緊急円滑化対策・世代交代円滑化タイプ」は、親元や第三者継承で就農した49歳以下の就農者が対象となります。
支援内容としては2種類あります。
一つは、親や第三者の経営を継承し、農業を始めるのにかかる費用の3分の2が助成され、国が3分の1、都道府県と市町村が残りの3分の1を負担すという内容です。対象は、施設(ビニールハウスや畜舎)や農機の修繕・撤去費、税理士など経営の専門家への相談料などです。
もう一つは、ビニールハウスなどの施設や農機を新たに導入するのにかかる費用の4分の3が助成され、国が2分の1、都道府県が4分の1を負担するという内容です。
こちらの内容は同時に使うこともできますが、国が負担する補助額は合わせて600万円が上限となっています。
各自治体の補助金・支援制度
「新規就農者確保緊急円滑化対策・世代交代円滑化タイプ」のような国から発表された補助金や支援制度以外にも、各自治体でも親元就農に役立つ支援情報があるかもしれません。
情報収集を癖付けることは、農業経営の面で大きなプラスとなります。
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親元就農の成功事例
イノチオアグリのお客さまにも親元就農をされ、親が培ってきた技術や知識を受け継ぎ農業をされているお客さまが多くいらっしゃいます。今回は、その一例をご参考に紹介します。
山口仁司さん・真彦さん(佐賀県)
山口さん親子は、佐賀県で環境制御システムを活かしてキュウリ栽培に取り組んでいます。お父様の仁司さんはキュウリ名人と言われる有名な生産者です。息子さんの真彦さんは、仁司さんのもとキュウリ栽培の技術を学びながら、これからの農業の後継者として規模拡大や収量増だけでなく、共に働く従業員さんの労働環境や作業効率にも着目をして、農業に取り組まれています。
関連事例:システムの共通性で機能以上の効果を生む⁉ 山口仁司さん・真彦さん(佐賀県)
農業に関するお悩みはイノチオアグリへご相談ください!
イノチオアグリは「農業総合支援企業」をコンセプトに、50年以上ものあいだ農業用ビニールハウスに携わってきた中で培ったノウハウを活かして、お客さまの農業を多角的にサポートします。ビニールハウスの製造・販売のほか、新しく農業をはじめる方や親元就農を考えている方の支援も行っております。
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