農業の若者離れは嘘?若手の農業参入が増えている実態を解説
テレビや新聞などでも取り上げられているいるように、農業分野の就業人口は年々減少している傾向にあり、農業は持続可能な産業であると取りざたされているケースもあります。
しかし、農業に興味がある若者、農業へ参入する若者が増えているとも言わています。
今回のコラムでは、その実態と農家になるための方法と支援制度をご紹介します。
目次
- 農業を仕事にする若者の割合が増加中⁉
- なぜ農業は若者が減少していたのか?
- 農業に興味がある若者が増加している理由
- 若者が農業を仕事にするメリット
- 若者が農業を仕事にするデメリット
- 農家になるための方法とは?
- 若手の新規就農を応援する支援制度
- 若者が農家になるために知っておくべきポイント
- 若者の新規就農事例 川名桂さん(東京都)
- イノチオアグリは若者の新規就農をサポートします!
農業を仕事にする若者の割合が増加中⁉
高齢化に伴い、日本の農業就業人口は減少しています。
しかし、就農をめざす若者は増加傾向にあると言われています。
かつて農業は3K=「キツイ、汚い、かっこ悪い」と言われる仕事でした。
しかし、今では農業を仕事にしたいと思う若者が増えていると言われています。
農業人口の推移
農林水産省が発表している「農林業センサス」によると、令和2(2020)年の基幹的農業従事者数のうち、65歳以上が全体の70%(94万9千人)を占めるなか、49歳以下の若年層の割合は11%(14万7千人)とされています。
農林業センサスは5年ごとに調査が行われています。年齢階層も5年単位で分けらえております。階層区分の変更により、平成27(2015)年に20~24歳の階層は、令和2(2020)年には25~29歳の階層に属しています。それを踏まえて、上記の表をご覧ください。
令和2(2020)年の年齢階層別基幹的農業従事者数を、平成27(2015)年の5歳若い階層と比較すると、70歳以上の階層では後継者への継承等により減少する一方、69歳以下の各階層で微増となっています。
このうち、令和2(2020)年の20~49歳層(平成27(2015)年時点の15~44歳層)の動向を見ると、親からの経営継承や新規参入等により12万4千人から14万7千人と2万2千人増加、60~69歳層(同55~64歳層)は36万7千人から39万3千人と2万6千人増加しました。60~69歳層は退職後に就農するいわゆる定年帰農による増加したと考えれています。
一方、人数の多い70歳以上の階層の減少率が高いことから、基幹的農業従事者全体としては大幅な減少となりました。こちらは後継者不足による、引退=離農であると推測できます。
以上のことから、20~49歳層は増加傾向にあります。また、この調査結果のように仕事として農業に従事する若者以外にも、近年では都市部においても貸し農地・貸し農園などのかたちで週末のみ農業を行うなど、農業に興味のある若者が増えています。
参考文献:令和3年度 食料・農業・農村白書
関連記事:農業人口の実態とは?高齢化による担い手・人手不足の解決策を解説
なぜ農業は若者が減少していたのか?
若者の農業離れの原因のひとつは、農業をはじめる際の初期費用やその後の経費などのコスト面にあります。
新規就農するには、土地やビニールハウスなどが必要です。規模や栽培作物にもよりますが、新規就農に掛かる初期費用は数百万円~数千万円になってきます。
農家になるための初期費用の高さは、若者にとって高いハードルとなっています。
農業は本人の身体が資本です。体力がなければ農業は続けられません。これまでは、生き物相手の仕事のため日々の管理が重要です。
会社員のように週休2日などではなく、最盛期には休みがなくなることもあります。夏は暑く冬は寒いという労働環境のなか、農作物と向き合って働き続けられる体力が必要です。
また、収入面でも本人の栽培技術レベルだけでなく、台風などの自然環境にも影響を受けるため安定した収入が確証されていません。
このように資金面・労働環境面・収入面の観点から若者の農業離れにつながっていると考えられます。
関連記事:認定新規就農者は厳しい?新規就農者制度の条件について徹底解説
農業に興味がある若者が増加している理由
今、農業に興味がある若者が増加している背景には、以前のような農業に対するマイナスなイメージだけでなく、独立やビジネスとしての価値が出てきたことにあります。
また、以前のように主流であった就職したら終身雇用の働き方から、それぞれの価値観やライフスタイルが重視される社会に変わってきたことも要因になっています。
以前よりも将来性が安定している
かつて農業は「儲からない」や「キツイ、汚い、かっこ悪い」と言った3Kのイメージが強く、仕事として敬遠される傾向にありました。しかし、近年は将来性のある仕事として見直されています。
従来の農業は生産性、物流システムの点からある程度の規模で経営できないと儲からない仕事とされていました。そのため、新規で参入することが難しいと捉えられていました。
しかし、近年ではスマート農業魏技術の発展により農作業の効率を上げられるようになり、環境制御システムやドローン防除など作業の省力化もできるようになっています。
栽培技術などの経験の不足、労働力の不足を補える技術が生まれています。
また、ビニールハウスの建設やスマート農業製品の導入に活用できる補助金等も充実しており、新規就農を目指す若者もはじめやすい環境が整備されています。
SNSで農業をビジネスとして発信できる
InstagramやFacebookなどのSNSを活用した魅力的なマーケティングも、SNSが身近な若者たちから関心が集まるようになった理由の1つです。
特に、個人の新規就農の場合はSNS戦略を取り入れている方が増えてきています。日々の農作業や栽培中の作物をリアルタイムで配信することで、農業を身近に感じてもらえるだけでなく、信頼感を伝えることでECサイやメルカリなどのネット販売へとつなげています。
また、SNSは情報発信できるだけでなく、同じ農家同士のコミュニティ形成や情報交換の場にもなっています。
従来に方法で結果を出す農家が現れ始めたことにより、これまでの農業のイメージを覆す見方が若者へ影響を与えていると考えられます。
若者が農業を仕事にするメリット
これから新規就農・農業参入を検討している方へ農業を仕事にするメリットをご紹介します。
儲かるチャンスがある
農業は儲からないというイメージをお持ちの方もいかると思いますが、年収1000万円を超す農家もいて農業で儲けるチャンスがあります。
最近ではイチゴなど、ブランド化されていたり、需要が高い農作物を栽培していくことで稼ぐことができる可能性があります。
しかし、そのためには高い水準の栽培・経営・販売スキルなどが必要なので、日々の勉強が大切です。
関連記事:ビニールハウス栽培に向いているおすすめ野菜・果物5選!
やりがいがある
生きるためには食料が必要です。世界は、常に農作物を作り続けなければなりません。
農家は農作物を作って売り、買った人たち美味しさと喜びを与えられる仕事です。さらに農業で食料を生産することは、人間が生きていくために不可欠です。
農業は、食料自給率など社会的課題を解決できる仕事でもあります。
自給自足できる
農業は人間が生きるために欠かすことができない仕事です。
農作物を販売して収入を得ますが、残った農作物は自分で消費することもできます。
自給自足ができるのは、農業や漁業の限られた一次産業に関わる仕事だからこその醍醐味です。
定年退職がない
農業には定年がありません。リタイアしなければ、一生続けられる仕事がです。
農業は人間の衣食住に密接する仕事のため、生涯安定した仕事でもあると考えられます。
若者が農業を仕事にするデメリット
農業のメリットをお伝えしてきましたが、その反面でデメリットもあります。
しかし、デメリットに関しては対策をすることで未然に防ぐごとが可能です。
農作物の被害がある
農業は自然を相手に仕事をしている以上は、台風や大雨などの自然災害や、病害虫などによる被害を受けてしまう可能性があります。
近年は、昔から台風被害が多い地域で農業をはじめられる方は保険の加入などをすることをおすすめします。
病害虫の対策に関しても、相談できるパートナーや営農サポートなどを活用することで被害を抑えることにつながります。
関連事業:イノチオアグリの営農サポート
基本は肉体労働
農業は、自らビニールハウスや畑へ足を運び栽培をする仕事です。
定植作業、葉かき作業、防除作業、灌水作業、ビニールハウスの換気など、体を動かして行う仕事がこれまでは基本でした。
しかし、近年はスマート農業技術の発展により、これでまで人が行っていた作業が自動化されてきています。
例えば、環境制御システムを活用することでビニールハウス内を作物を栽培するのに最適な環境を作ってくれます。
その他にもこれまでビニールハウスへ直接足を運び行っていた換気やカーテンの開閉なども、パソコンやスマホを使用して自宅や外出先からでも管理を行えるようになっています。
関連記事:ビニールハウスで役に立つスマート農業製品
農家になるための方法とは?
これまで農業を経験したことがない方が、プロの農家になるための方法についてご紹介します。
農家になる方法は一つだけではありません。ご自身のなりたい農家像やライフプランと照らし合わせながら参考にしてください。
農業法人で働きながら栽培技術を身につける
1つ目は、農業法人で働きながら栽培技術を身につけることです。
農業法人に就職することで給与をもらいながら農業の技術を学べます。加えて経営や管理に関する知識も学べるため、個人で農業をする際の参考にもなります。
また、企業に勤めながらになるので、自分が農業を仕事にすることに適しているのかを確認することもできます。
農業の技術を学校で学ぶ
2つ目は、農業の技術を学校で学ぶことです。
全国41道府県に農業大学校が設立されています。各種農業に関する知識、機械操作、経営管理などの技術を学べます。研修も多いため、卒業後は経験者として農業に携わることができます。
熟練農家に弟子入りする
3つ目は、熟練農家に弟子入りすることです。
自分が栽培したい作物を栽培している熟練農家に弟子入りできれば、農業を直接教えてもらうことができます。。機械や設備関係もそろっているため、初期投資を気にせずに農業のスキルを身につけられるでしょう。
また、新規就農後も相談をできるので、安心して栽培を行うことができます。
若手の新規就農を応援する支援制度
担い手不足に悩む農業にとって、意欲がある新規就農者を応援しながら育てていきたい大切な存在です。そのため、国や各自治体はさまざまな支援事業を行っています。
例えば、上記で紹介した農業の技術を学ぶ研修期間に活用できる「就農準備資金」というものがあります。
これは、各農業大学校や先進農家などの研修機関で研修を受ける就農希望者に、就農前の研修を後押しするために月12.5万円(年間最大150万円(最長2年間))交付されるという内容になっています。
もちろんこのような資金は誰もでも交付されるのではなく、要件を満たしている必要があります。
就農準備資金の場合では、01:就農予定時の年齢が49歳以下であること、02:独立後、5年以内に認定新規就農者または認定農業者を取得すること、などいくつかの条件があります。
なかには細かな要件の支援制度もありますが、資金確保に役立つ内容となっていますので、しっかりと調べて申請を行いましょう。
詳しくは、下記コラムにまとめておりますのでご参考にしてみてください。
関連記事:農業の資金調達は難しい?新規就農におすすめの融資・補助金を解説
若者が農家になるために知っておくべきポイント
農業は、伸びしろや将来性がある産業です。これから新規就農をして農業をビジネスとして発展させ、儲かる農業を実現するために知っていて欲しいポイントについて解説します。
地域・気候の特性を把握する
これから新規就農を考えている人は、農業をはじめる地域やその土地の気候の特性について把握しておきましょう。
農作物の品目によって適した地域や気候があります。
すでに育てたい農作物の品目が決まっている場合は、その地域や気候に適しているのか調べましょう。
まだ、育てたい品目が決まっていない場合は、就農したい地域の就農相談会などに参加してみるのもおすすめです。
また気候では、日照率や雨量、積雪量など、地域によって大きな差があります。自分がやりたい栽培方法が適してない場合もあります。
地域や気候の特性は、農業をビジネスとして成功させる上での重要な要素となります。事前に把握しておくことで、将来ビジネスとして展開させたいときに役立ちます。
同業者とのつながりを作る
農業は、同業者や関連業者とのつながりがとても大切です。
地域で同じく農作物を栽培しているコミュニティがありお互い情報交換や助け合いをしています。
とくに新規就農の場合は。熟練の先輩農家さんと知り合いになることで、栽培方法や病害虫の対策方法などについてアドバイスをもらえます。
つながりを大切にすると得をする機会も増えるので、就農を考えている人は、積極的に同業者とのつながりを持ちましょう。
若者の新規就農事例 川名桂さん(東京都)
目指すは、街の行きつけ農園
東京都で30年契約で農地を取得して新規就農をされた川名桂さん。
幹線道路と住宅街が立ち並ぶ場所にビニールハウスを建てミニトマトを栽培しています。
川名さんの農場「ネイバーズファーム」は、近くに暮らす方々の行きつけの農園になって欲しいという思いから名付けられました。ビニールハウスの側には自販機が設置されていて、いつでも採れたて新鮮なミニトマトを購入できるようになっています。
自販機だけでなく、地元の直売所やオンラインショップでの販売も行っています。ミニトマトを包装するパッケージやロゴもオシャレにデザインされており、購入する方々の楽しみにもなっています。
関連事例:数字の記録が おいしいトマトにつながる
イノチオアグリは若者の新規就農をサポートします!
イノチオアグリは「農業総合支援企業」をコンセプトに、ビニールハウスに携わり50年以上、培ってきたノウハウを活かし、これから農業を始められる方をご支援します。
栽培したい作物の収支シミュレーション、土地選び、ビニールハウス建設、資金までお客さまのお悩みを幅広くご対応しておりますのでお気軽にお問い合わせください。