農家へ転職!! 農業の現状や失敗しないためのポイントを解説!
都会や人間関係のストレスから解放され、のどかな自然の中で生活したい。
そうした思いから、農業への転職を考える人が増えています。
では、実際に農業へ転職するためにはどんな準備をするべきなのでしょうか。
農業界の現状を踏まえ、農業への転職に向けて必要な準備について解説します。
目次
農家・農業の現状とは?
人口・年収・メリット・デメリットを解説!
日本の農業就業人口とは
こちらは、基幹的農業従事者(個人経営体)の人口推移のグラフです。
基幹的農業従事者とは、主な仕事として自営農業に従事している人を指します。
グラフにあらわれている通り、高齢化により年々農業従事者が減少している上に、半数以上を65歳以上が占めています。
担い手の減少は、農業界にとって喫緊の課題です。
これを解決すべく、国や市町村では農業のスタートを支援するさまざまな経済的支援策や相談窓口を設けています。新しく農業をはじめる際は、これらを積極的に利用することをおすすめします。
農家の平均年収は?
農林水産省の「農業経営統計調査」によると、2021年の農業経営体における面積10aあたりの平均所得(農業粗収益から農業経営費を引いたもの)は125万4,000円です。
これを個人経営と法人経営で分けると、個人で農業を営む人の平均所得は115万2,000円、法人での平均所得は424万5,000円となっています。 ここで注意したいのは、農業分野の所得には大きなばらつきがあるという点です。
個人経営体の中でも、世帯所得の50%以上が農業所得である主業経営体に絞って見ると、平均所得は434万円となっています。
農業を本業とするのか、他の仕事と掛け持ちをして兼業で行うのかによっても、収入は大きく異なります。
農家になるメリット・デメリットとは?
農家・農業を目指すにあたり、農業開始後に「こんな仕事だと思わなかった!」とならないよう、良い点だけではなく悪い点もきちんと認識しておくことがとても重要です。
農家になるメリット
- 他者から命令されるのではなく、自らの考えで動ける
- 健康的な生活が送れる
- 都会での生活ストレスから解放される
一般企業と異なり、個人経営の農業なら育てる作物からその栽培方法、どう販売するかまでを自分で決めることができます。
さらに、デスクワークと異なり身体を動かすことで健康的な生活が送れることや、自然の中で働けるといった点も魅力のひとつです。
農家になるデメリット
- 天候不良によって収穫が減り、生活が苦しい
- 補助金や助成制度のリサーチ不足で、思ったような利益が見込めない
- 体力仕事で疲れる
自然を相手にする仕事のため、農業は会社員時代と比べて収入が安定しない可能性があります。
また、農業経営において重要な補助金・助成金の制度は内容が複雑です。事前によく調べなかったためにあとで困ったというケースも少なくありません。
農業への転職で失敗しないための3つのポイント
いざ農業をはじめてから後悔しないために、ここでは3つのポイントをご紹介します。
農業へ転職する目的・将来像を明確にする
農業に限らず、転職活動で大切なのは目的と将来像を明確にすることです。自分自身とじっくり向き合い、なぜ農業をはじめたいのか、そして将来どのようになりたいのかを具体的にイメージしましょう。
将来像が不明確な場合は、今一度農業についてリサーチしましょう。農家や田舎暮らしへの憧ればかりが先行して、現実的なイメージができていないと、農業開始後にギャップに苦しんでしまう可能性があります。
農業に転職するイメージが膨らまない場合は、まず行動してみることもおすすめです。アルバイトやボランティアを通して農業を体感するのも、自分の将来をイメージするきっかけになります。
農業の知識・ノウハウを得る
転職を成功させるには、前もって農業の知識・ノウハウを身に着けておくのも重要です。
農業は、土地や作物、栽培方法によって、必要な知識や技術が変わります。求められるノウハウが多く、勉強不足で失敗してしまうケースが少なくありません。 農業に転職する前に、学校や研修で農業の知識を身に着けておくことをおすすめします。
農業を学ぶ手段として代表的なのは、農業大学校や就農準備校といった学校に通うことです。このほか、より短期間で実践的に農業を学べる農業研修に参加するという方法もあります。
農業大学校や農業研修の詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。
実際に勉強するなかで、農家への向き不向きや目指すべき目標が見えてくるかもしれません。
農業に関する資格・法律を学ぶ
農業関連の資格や法律の勉強をするのもおすすめです。 農家になるために必須となる資格はありませんが、取得することで役立つ資格がいくつかあります。
例えば、運転免許や産業機械の免許は、作物の出荷やトラクターの運転を行う際は必須です。中には、事前に取得しておくと優遇してくれる農業法人もあります。
また、農家として独立することを考えている場合は、作物を栽培する農地を確保しなければなりません。 農地の購入や賃貸には「農地法」に基づく市区町村の許可を得る必要があります。そのため、農業に関わる法律の勉強も不可欠です。
農業に転職する方法ー就職
ここからは、実際に農家に転職するための具体的な方法について解説します。
大きく分けて、農業法人に就職する方法、独立もしくは後継者になる方法の2つのパターンがあります。
農業法人に就職する
農業法人に就職する場合は、サラリーマンと同じように、給料を受け取って働きます。
すべてを自分の思う通りにはできない一方で、安定した収入を得ながら、農業の知識や技術を習得できるという利点があります。
将来的に個人農家として独立することを視野に入れながら、まずは農業法人で知識と貯金を蓄えるといった方法をとる人もいます。
どうする?面接・志望動機の対策
農業法人に就職する場合、応募の段階で履歴書の提出や面接が実施されます。
農業だからといって、特別なことはありません。一般企業での採用面接と同じように、念入りな自己分析や入社したい農業法人、業界について調べた上で、「どうしてここで働きたいのか」についてポジティブにアピールしましょう。
転職の情報収集にはイベント・フェア参加がおすすめ!
求人情報はハローワークなどで探す方法もありますが、形式に従った求人票のため、各社の詳細な仕事内容・働き方までは把握できない場合があります。
より詳しい情報を入手するためには、農業専門の求人サイトを活用したり、就農セミナーやフェアなどが行われる際は積極的に参加したりと、幅広く情報をキャッチしていくことがおすすめです。
農業に転職する方法ー個人農家
次に、個人農家として独立して農業をはじめる場合について解説します。
農業後継者になる
少子化が進むなかで、農家の後継者不足の問題が深刻化しています。
その一方で就農希望者は、実は増加しています。しかし、新規就農する際の資金不足などから、農家になることを諦めてしまう人は少なくありません。
この両方を解決し得るのが、「農業後継者」という選択肢です。
引退する農家が、血縁でない人へ、農地や設備・器具、経営権など、農業に関する一切の権利を譲るという方法です。 農家にとっては後継者が確保でき、就農希望者にとっては初期費用が大幅にカットされるというメリットがあります。
ただし、注意するべきは権利関係などのトラブルが発生しうるという点です。 これを避けるために、弁護士などの第三者を介入させながら、確実に手続きを行う必要があります。
独立して個人農家になる
個人事業主として独立して新規就農すれば、「どの作物を作るか」「どのような働き方をするか」など、すべて自分で決めることができます。
現在の情勢や今後のトレンドなどを読み解き、独自性のある農業を行うことで高収益を得られる可能性もありますが、やり方次第では赤字に陥る場合もある、ハイリスク・ハイリターンな就農方法です。
国や自治体は、農家が減っている現状を鑑み、さまざまな経済的支援策を講じています。
新規就農する際は、こうした支援策を活用することが大変重要です。
未経験から新規就農する方法や重要なポイントについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
未経験でも大丈夫!20代・30代・40代で農業へ転職する際のポイントとは?
転職は、人生において大きなターニングポイントになります。 農業界では30代・40代でも若手と言えますが、年代ごとに気をつけておきたいポイントがあります。
他業界からの転職を考える人が多い20代・30代・40代それぞれの転職する際のポイントについて解説します。
20代は農業の知識を身に着けることが重要!
20代は、体力も知識の吸収力もある分、仕事の定着も比較的早いと考えられます。
20代で農業への転職を考える場合は、転職に向けて農業の知識をしっかりと身につけていくことが大切です。
特に未経験から独立就農する場合、30代・40代に比べると貯蓄ができる期間が短いことも影響し、ほとんど自己資金がなく補助金に頼るかたちで農業をはじめる人もいます。その中でも農家として成功する方がいる一方で、事前のリサーチ不足のために資金不足に陥ってしまい、離農するというケースは少なくありません。
農業の知識とは、栽培に関することだけではありません。農業をはじめるまでに資金がいくら必要で、自分はどのくらい用意できるのかといった経済面の準備もしっかり行うことが大切です。
もし理想の農業のイメージが固まっているなら、その実現にどのくらいの費用が必要なのか、ハウスメーカーなどに依頼して試算するのもおすすめです。
30代は自己資金と補助金の併用がおすすめ
ある程度の社会経験と貯蓄する余裕のある30代は、脱サラというかたちで農業への転職を望む人が多い年代です。農業経営に前職の経験を活かし、他の農場との差別化を図ることもできます。
30代で独立就農する場合、自己資金と国・市町村からの補助金・助成金をうまく併用し、農地や農機具の取得に充てましょう。
特に、新しく農業をはじめる「新規就農者」を支援する経済的支援策の中には、取得条件に年齢制限が設定されているものもあります。
関連記事:取得条件をまとめて解説!新規就農におすすめの融資・補助金とは
研修期間を含め、書類の準備や提出をいつするべきなのかといった資金獲得・運用のスケジュールをしっかりと立てることが、農業経営の成功に向けて重要なポイントです。
40代はスムーズな農業開始に向けた事前準備を!
40代は30代と同様、脱サラして農業にチャレンジする人が多い年代です。貯蓄のための時間も社会経験も十分にある上、家庭がある場合は、子育てがひと段落して自分のやりたいことに目を向けられる段階です。
40代で独立就農する場合は、30代同様、新規就農者に向けた補助金が取得できる年齢制限に注意が必要です。
例えば、新規就農者の多くが利用する「就農準備資金」や「経営開始資金」といった経済支援策は、就農時に49歳以下であることが取得条件のひとつです。
関連記事:農業の資金調達は難しい?新規就農におすすめの融資・補助金を解説
一般企業から農業に転職すると、仕事内容だけでなく周りの人たちや収入などといった環境が大きく変わります。いざ就農してから環境の変化に戸惑わないよう、事前に農業の現場を体感したり、農業経営の予習や試算をしておくことはとても大切です。
40代で脱サラして農業にチャレンジする際のポイントは、以下の記事でさらに詳しく解説しています。
関連記事:40代で脱サラ農業!新規就農を後悔しないためのポイントを解説
イノチオは新たな農業のスタートを支援します
ビニールハウスにたずさわり50年以上の歴史を持つイノチオアグリは、「農業総合支援企業」として数多くの方の農業のスタートをご支援してきました。
農業を開始するにあたり必須となる農地や資金の準備、栽培技術のサポートだけではなく、ビニールハウスの設計と建設、収支計画の試算に基づく作物や栽培方法のご提案など、お客さまの農業を総合的に支援いたします。
農業の転職におけるお悩みも、ぜひご相談ください。
お客さまひとりひとりの状況に合わせ、就農前に必要な準備のサポートのほか、農業開始後も経営安定に向けて伴走支援したします。