ビニールハウスの価格は、栽培する作物や求める機能、付帯設備によって変わってきます。ビニールハウスは、農業をはじめるにあたり大きなコストとなる一方で、価格情報などが非常に不透明になっています。

今回のコラムでは、ビニールハウスの価格構成をはじめ、各主要ビニールハウスの特徴と支援制度について詳細に解説していきます。

目次

  1. ビニールハウスの仕組みと価格構成
  2. ビニールハウスの値段はいくら?価格相場を解説
  3. ビニールハウスの値段・価格はトータルコストで考えましょう!
  4. ビニールハウスの建設に役に立つ支援制度と補助金
  5. ビニールハウス業者の選び方のポイント
  6. イノチオアグリのビニールハウスをご紹介!
  7. イノチオアグリはビニールハウス建設を支援します!

ビニールハウスの仕組みと価格構成

ビニールハウスの価格を構成する要素は、ハウス仕様によって異なります。
ハウスの骨格となる骨材、ハウスの屋根面から側面を覆う被覆材、空調設備や給水設備などの付帯設備、一般的にはこれらの組み合わせによってビニールハウスの価格が決まります。

それでは、その詳細について説明していきます。

ビニールハウスの骨組み

ビニールハウスの骨組には、主に鉄骨を使用したハウスとパイプ使用したハウスがあります。これらは骨材とも呼ばれ、ビニールハウスの価格への影響も大きな要素となっています。

鉄骨ハウス

基礎や骨組みに鉄製の柱を使うタイプのビニールハウスは「鉄骨ハウス」と呼ばれています。ハウス形状は、栽培する作物や規模感によって最適な仕様が異なります。一般的な形状としては丸型、屋根型、高軒型の3タイプがあります。

パイプハウスと比較すると頑丈な作りをしているため、台風や大雪にも対応できます。自然災害による被害リスクや経年劣化による耐久性に優れている一方で、鉄骨を使用しているためパイプハウスよりも建設費が高価になる傾向にあります。

関連製品:ビニールハウス

パイプハウス

鉄骨ハウスとは異なり、鋼管と呼ばれるパイプを支柱に使用したビニールハウスは「パイプハウス」と呼ばれています。ハウス形状は、最も多く見かける丸型となります。

作りがシンプルで建設費は鉄骨ハウスより安価ですが、耐久性は弱く台風や大雪などで破損や倒壊するリスクが高くなります。

ビニールハウスの被覆資材

続いて、ビニールハウスの被覆材の説明をします。
鉄骨ハウスの場合には、ガラスを使用する場合もありますが、今回はそれ以外の被覆材についての内容となります。

被覆資材は主に農業用塩化ビニルフィルム(農ビ)、農業用ポリオレフィン系特殊フィルム(農PO)、農業用フッ素フィルムがあります。

被覆資材には、保温性、光の透過性などの機能が求められますが、被覆材ごとに機能性に違いがあります。

農ビ

農ビは、塩化ビニル樹脂を原料に添加剤を混合させ復元性、透過性、防塵・防霧性、耐候性を持たせています。

柔軟性と保温性にも優れ、こすれなどの摩擦に強いメリットがあります。
一方で重い、破れやすい、汚れがつきやすい、べたつくなどのデメリットがあります。

耐用年数は厚みにもよりますが、1~5年程度が目安となってきます。

農POフィルム

農ビを改良したものが農POです。保温性や耐久性がありながら、軽い、透明性が維持される、汚れがつきにくい、破れが広がりにくいなどのメリットがあります。

しかし、農ビより多層構造と複雑な作りになっているため高温、すれ、硫黄分に弱というデメリットがあるため注意が必要です。

耐用年数は、農ビと同じく厚みにもよりますが、2~7年程度が目安です。

農業用フッ素フィルム

農ビ、農POは軟質性と分類されるフィルムですが、農業用フッ素フィルムは硬質フィルムと呼ばれ、耐久性が高いのが特徴です。

耐用年数は20年前後と長く、厚みや使用条件によっては25年ほど使用できる商品もあります。価格は高くなりますが、光の透過性にも優れ、張り替えにかかる手間やコストも軽減されます。

ビニールハウスの付帯設備

ビニールハウスの付帯設備は、栽培方法や栽培環境、規模に応じて必要となる設備によって異なってきます。

ビニールハウスは栽培環境をコントロールし、収量や品質の安定化を図る目的から、冬場の温度をコントロールする暖房設備やハウス内の空気を循環させ、ハウス内環境を整える空調設備などは一般的に設置されています。

環境制御設備は予算感から優先度を下げて導入を見送る傾向にありますが、ハウス内部に雨の流入を防止する自動換気、ハウス内温度に応じて、内張カーテンを自動で開閉する設備は導入を推奨しております。

これらの設備を導入することで、気象変動にも自動で対応し、新規就農者の労務軽減に貢献します。

ビニールハウスの値段はいくら?価格相場を解説

今回のコラムでは、近年の台風被害や線状降水帯による大雨被害などを踏まえて自然災害に強い鉄骨ハウスに焦点を当てた価格相場を紹介します。

実際には栽培する作物や規模感によって変動しますが、今回は目安として10a規模のビニールハウスを基準に設定します。

丸型ビニールハウス

丸型ビニールハウスは、既成の基礎コンクリートと主骨材に角パイプを使用した丸屋根型が特徴です。パイプハウスと比較して耐久性に優れているため長期間の使用が可能です。
また、屋根型ハウスよりもコストを抑えられる、強度と経済性を兼ね備えたタイプです。

建設費用は10a規模で約1,000万円~が目安となりますが、連棟数が多い場合、内部設備によっては費用が上がってきます。

関連製品:丸型ハウスD-1

屋根型ビニールハウス

屋根型ビニールハウスは、鉄筋コンクリート基礎とH型鋼と呼ばれる軽量鉄骨を主骨材とした三角屋根が特徴です。台風や雪害などにも強く、日本の気象に適した仕様を兼ね備えています。

また、間口・柱高を自由に選択でき、土地形状に左右されにくいので栽培面積を最大限確保できます。

単価は高めで、10a規模で約2,000万円~が目安となります。

関連製品:屋根型ハウス

オランダ式高軒型ビニールハウス

オランダ式高軒型ビニールハウスは、農業大国オランダに代表される高い軒高が特徴です。採光性と換気性能に優れ、高品質・高収量を狙える栽培環境を実現しています。

企業参入に代表される、1ha以上の大規模ビニールハウスを建設される際に多く選ばれています。単価は他のビニールハウスと比較しても高価で、10a規模で約3,500万円~が目安となります。

関連製品:SANTAROOF

ビニールハウスの値段・価格はトータルコストで考えましょう!

農業をはじめる際には初期投資だけでなく、栽培開始後のランニングコスト、減価償却期間、収益など含めたトータルコストで考えるようにしましょう。

初期投資にはビニールハウス本体、被覆資材、付帯設備の費用が含まれます。ランニングコストには、空調や照明にかかる電気代、暖房費(燃料費)、生産に必要な農薬や肥料、設備点検などが含まれます。被覆材も種類によって耐用年数が異なるので、張り替え費用も考慮しておくと良いでしょう。

以上のように、短期の計画だけでなく、中長期での計画を立てることが安定した農業経営につながっていきます。

ビニールハウスの建設に役に立つ支援制度と補助金

ビニールハウスの建設、栽培開始後の資金確保に役立つ支援制度について紹介します。

認定新規就農者制度

認定新規就農者制度とは、これからの時代の農業を支える新規就農者を増やし、安定的な新規就農者を地域農業の担い手として育成することを目的としています。

青年等就農計画(事業計画書)を各市区町村が認定し、認定を受けた方に対して、早期の経営安定に向けた措置を集中的に実施する制度になります。

すべての人が対象というわけではないので注意が必要です。別コラムで認定を受けるための要件など詳細についてまとめておりますので、参考にご覧になってください。

関連記事:認定新規就農者制度とは?メリット・デメリットまで解説

青年等就農資金

青年等就農資金は、新しく農業をはじめる新規就農者を対象に国が無利子で資金を融資する制度となります。実際には国の出資金をもとに、株式会社日本政策金融公庫が融資に関する審査及び諸手続きを行っています。

資金の取得により就農準備に幅広く活用できることから、新規就農の課題である「資金の確保」を解決できるとされています。青年等就農資金を検討するにあたり、日本政策金融公庫の窓口機関、市区町村の農政課に相談ください。

認定新規就農者制度と同様に、対象となる要件が決まっています。こちらも詳細についてまとめていますので、ご自身の情報と照らし合わせてご参照ください。

関連記事:「青年等就農資金」とは??メリット・デメリットまで解説

経営開始資金

経営開始資金とは、新規就農後の経営をはじめて間もない時期の所得確保をしたい方におすすめです。

内容としては要件を満たした認定新規就農者に対して、経営開始から最長3年間、月12.5万円(年間最大150万円)が給付されます。要件としては、就農時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者であることなど全5項目に該当する方が対象となります。

夫婦で就農する場合は、1.5人分の交付も受けることが可能です。また、複数の新規就農者が法人を新設し、共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円を交付します。

こちらに関しては、状況に応じて交付が停止または返還となる場合がありますのでご注意ください。

関連記事:新規就農者育成総合対策「経営開始資金」とは?

ビニールハウス業者の選び方のポイント

「ビニールハウス建設を依頼する先はどこになるのか?」一般住宅メーカーのように、テレビコマーシャルなどで宣伝していないため、このような疑問を持たれている方も居られるかと思います。

ビニールハウス業者とは、イノチオアグリのように施設園芸農業に特化したメーカー、地域の工務店などが該当します。ビニールハウスの見た目は鉄骨やアルミを組み合わせ、透明なフィルムを覆った形状からどこも同じように感じ取られるかもしれませんが、各メーカーによって機能面や耐久性などが異なります。

また、ビニールハウス建設は特殊な技術が必要となるため、安いというだけで選ぶと建設後に後悔をする恐れがあるので、実績のある業者へ依頼するようにしましょう。

ここからは選び方のポイントについて解説します。

オーダメイドの設計に対応している

ビニールハウスの施工業者を選定するポイントとして、「オーダーメイドの設計に対応しているか」があります。ビニールハウスを販売しているところは多いですが、オーダーメイドで一つずつ自由な設計ができるメーカーに相談するようにしましょう。

個人の新規就農者であれば、農地に対して最大限の栽培規模を確保したビニールハウス設計ができるメーカーなのか?などの点は安易に選ぶと今後の経営に大きく関わるポイントといえます。

企業の農業参入であれば、既存事業のシステムや再生可能エネルギーを活用したビニールハウス設計ができる技術を持ったメーカーなのか?など判断するべき視点は変わってくるかと思います。

関連事例:企業の農業参入4社コラボでの大規模施設園芸
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事前に詳細な見積もりをもらえる

ビニールハウスの建設工事に入る前に、見積もりをざっくりとした金額ではなく、詳細にもらえるかどうかも信頼できるビジネスパートナーとしても重要です。詳細な見積もりをもらうことで、施工に関するさまざまな費用を事前に確認することができ、完成後の揉め事や水増し請求などのトラブルも回避できるでしょう。

アフターフォローの体制が整っている

ビニールハウスの破損や故障した際に相談に乗ってもらえるかなど、アフターフォローの対応についても確認しておくことはもちろんのこと、ビニールハウス以外の農業経営や栽培なども相談できるメーカーに依頼する方が、長期的な視点で考えると安心でしょう。

農業は、ビニールハウスを建てて終わりではありません。農業経営や栽培を継続的に取り組み、利益を生むことが農業だと言えます。

だからこそ、農業経営の困り事や栽培上のトラブルを相談できる、栽培に必要や資材等を注文できる、オールマイティなアフターフォローの体制が整ったメーカーへ依頼するようにしましょう。

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イノチオアグリのビニールハウスをご紹介!

イノチオアグリでは、お客さまの栽培作物や理想とする農業経営に合わせて、最適なビニールハウスをご提案しています。今回のコラムでも説明をしている通り、一言にビニールハウスと言ってもさまざまな形状や機能的な特徴があります。

丸型ハウスD-1 

自社工場でスチール角パイプを加工し、独自のアーチ形状を実現。安価でありながらも、パイプハウスと比較し、高い強度と耐久性を兼ね備えています。温度・湿度面に優れたハウス内環境は、幅広い作物に適しています。長期間安心して使えるビニールハウスです。

関連製品:丸型ハウスD-1

屋根型ハウス

栽培品種に合わせて最適な設計や素材を選べるビニールハウスです。間口・柱高を自由に選択できるため、栽培方式にあった理想の空間を実現可能。また、幅広い設計強度にも対応でき、多種多様なお客さまのニーズにお応えします。

関連製品:屋根型ハウス

SANTAROOF

強度の高い高軒高設計(柱高最大6.0m)により、広い栽培空間で長期多段取りが可能。また、屋根部材を小型化することで採光性を高め、光合成を促進します。高収量・高収益を実現します。

関連製品:SANTAROOF

ドリームフィールド

50 年以上施設園芸に携わってきたノウハウを活かし、設計構造を見直し標準化することで、低コストを実現しました。また、採光率66%、耐風速50m/s、2倍の換気容量(自社調査比)と、機能面にもこだわったビニールハウスです。

関連事業:ビニールハウス事業

イノチオアグリはビニールハウス建設を支援します!

イノチオアグリは「農業総合支援企業」をコンセプトに、ビニールハウスに携わり50年以上、培ってきたノウハウを活かし、これから農業をはじめられる方をご支援します。

施設園芸農業でビニールハウス建設を伴う新規就農・農業参入をお考えの方は、お気軽にお問い合わせください。みなさんのお悩みやご相談に専門知識を持った社員が対応します。