都市農地(生産緑地)の貸借による新規就農者の第1号としてトマトの施設栽培に取り組むネイバーズファーム代表の梅村桂さん。大学卒業後、就職した一般企業を退職して決意した新規就農。東京都での農地取得からビニールハウスを建設してはじめたトマトの養液栽培のお話しまで、これまでの道のりと今後の挑戦についてお話しを伺いました。
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所在地等
東京都日野市
栽培作物
ミニトマト・大玉トマト

新規就農をするのであれば地元の東京でしたい

農家の出身ではない私は、大学へ進学してはじめて農業に触れました。卒業論文の研究の一環で全国の農家さんにインタビューをする機会がありました。そこで出会った農業に携わる皆さんが、農業経営者としていきいきと作物を作っている姿に魅力を感じました。

一般企業を退職後、実際に就農をするのであれば地元の日野市(東京都)でトマト栽培をしたいと考え、都内でトマトを生産している関ファームで研修をはじめました。

※動画は2022年に作成したものです。

農地取得、30年契約までの道のり

東京都で独立して就農するには東京都農業会議注1の支援と農業経営者としての認定が必要になるのですが、非農家の私が農業をはじめる際に直面した一番の問題が農地取得でした。

私の場合は、東京都農業会議の協力と都市農地貸借円滑化法の制定が重なり、たまたま日野市の地主さんから30年契約という長期での契約をしていただけました。特に東京のような市街地では元々の農地面積が少なく、農地があっても就農希望者に貸すことができることを知らない人も多いのが現状です。

私の場合は運よく長期で農地を借りることができましたが、急に土地を手放さないといけなくなるかもしれないという不安の中で、安定した農業経営をゼロからはじめることはなかなか難しいというのが新規就農者の胸の内です。

注1東京都農業会議
東京都農業会議は、東京都知事より指定を受け、
東京都農業委員会ネットワーク機構として農地の有効利用と担い手育成のために活動を行っている一般社団法人です。


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元々農家ではないから持てる経営視点

鮮度が高い状態でお客様へお届けすることにこだわっています。収穫したトマトの3割~4割は、流通業者を挟まずにビニールハウス横の自動販売機で販売をしています。

トマト業界は、自分の特徴を出していかないと売上を伸ばしていくことが難しくなっています。私は元々農家じゃないので、消費者としての意識が自分の中で大きく「消費者として何が欲しいか?」という視点で考えています。

今後の課題としては、安定して同じ品質で安定した量を作るという栽培技術の向上にあると思います。


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数字の記録がおいしいトマトにつながる

元々、トマトを食べることが得意ではありませんでした。それでも、甘みや旨味、酸味のバランスの良い新鮮なトマトを食べたときに「こんなに美味しいんだ!」と感じたことがあり、そのように思ってもらえるトマトを目指して栽培に取り組んでいます。

そのためには、栽培の見える化が大切です。日々の温度や水、肥料などを全て数字で記録して栽培の反省と改善を行うように心掛けています。


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丸型ハウスD-1は栽培しやすいビニールハウス

栽培がしやすく、お客様に喜んでいただけるトマトが栽培できています。導入したビニールハウスや栽培システムなどは、東京都の新規就農者定着支援事業注2の補助を活用しました。
※通常仕様の丸型ハウスD-1には天窓が付いていませんが、オプションで天窓を追加していただいた仕様になっています。

注2
新規就農者定着支援事業
東京都内の認定就農者を対象に、必要な施設の整備費や機械設備の導入費を補助する東京都独自のハード事業です。各地域に類似の支援事業もございます。

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アクアビートは理想の制御ができるシステム

収量以上に、お客様に新鮮で美味しいトマトを直接届けるという意味で味にもこだわっています。

理想のトマトの味を引き出すためには、細かな数値化による潅水制御が必要になるのですが、その点でアクアビートは給液や廃液の数値を細かく確認できる理想の制御が行えるシステムだと実感しています。

今後は、土壌内の状態など、まだ見えない部分が見える機能が加わってくるとよりよいシステムになるのではないかと期待しています。

サポートが早いから安心して農業ができる

ビニールハウスを建設してから、ちょっとした不具合や強風などで故障があった際に、営業の方が細かな対応をしてくれます。一人だと不安ですが、すぐにサポートをしていただけることは経営者として安心できます。

今後は、トマトだけでなく、他の種類の作物への挑戦、新しい品種なども作っていきたいと考えています。その際に、日々の栽培業務の中で自分だけでは難しいデータ分析や、栽培に関する最新情報や営農サポートをしていただけると助かります。

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これから新規就農を目指す方へのメッセージ

それぞれ農業経営への考え方があると思いますが、新規就農者の一番のメリットは農業が家業ではないことにあると思います。

企業のように、仕事として収益性や労働環境を意識した農業経営を目指しやすいマインドをもっているのかなと思います。私自身もそういう農業を目指したいのでイノチオさんの丸型D-1ハウスと栽培システムを導入しました。新規就農を目指す方にも、そのような農業経営を目指してほしいです。

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東京で農業をする魅力

東京で農業をすることは地域の方に向けて新鮮な野菜を届けられると同時に、農業を通しての風景や季節の移り変わりや自然との関わりも一緒に届けられると思っています。

今後は、私が東京で農業をはじめたように、都市の中で農業をする魅力を次の世代に残していけたら嬉しいです。

「街の行きつけ農園」ネイバーズファームのご紹介

「新鮮でおいしい野菜の一番魅力的な瞬間をリアルタイムで届けたい!」という梅村さんの想いから、東京都日野市で誕生したネイバーズファーム。

東京の街中であっても新鮮で採れたての野菜をビニールハウス側の自販機、地元の直売所、オンラインで販売しています。

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梅村桂さんが導入するビニールハウス

丸型ハウスD-1
耐久性と経済性を追求したロングセラー

丸型ハウスD-1は、耐久性と経済性を追求したロングセラーのビニールハウス。

80種類以上の作物で導入された建設実績があり、近年ではイチゴ高設ベンチとセットで数多くのお客さまに選ばれています。シンプルな設計構造で建設期間の短縮を実現。それによって、ビニールハウスの価格を抑えることにも成功しました。

また、屋根、樋部に上りやすい構造によって、屋根面の被覆材補修やフィルム交換、遮光剤散布などをお客さまにて行うこともできるので、事業開始後のビニールハウスのランニングコストを抑えることも可能です。(※お客さまでの修繕や施工の安全を保証するものではありません)
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梅村桂さんが導入するスマート農業製品(内部設備)

自動潅水システム AQUA BEAT Ex
多彩な灌⽔設定で作物に最適な栄養供給をサポート

アクアビートは、時間・流量・⽇射※1から、お客さまの栽培⽅法に合わせて理想の灌⽔制御が⾏えます。1系統ごとに灌⽔量と肥料倍率の設定もができ、お客さまのこだわりの栽培を実現します。

これまで熟練の経験を持った⽣産者でなければ、最適な灌⽔を⾏うことが困難でした。しかし、アクアビートなら灌⽔量・排液量※2の記録ができるので、データをもとにした持続的な栽培が可能です。

エアロビート、スラブサイトを同時に活⽤することで、⽇射・気温・湿度・灌⽔量・地上部と地下部の栽培環境の⾒える化を可能にします。導⼊後のサポート体制も整っているので安⼼して栽培を⾏えます。

※1:⽇射制御は別途指定センサが必要です。
※2:排液量計測は別途指定センサが必要です。

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ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイント

個人の新規就農や企業の農業参入で施設園芸の分野で農業をはじめる場合に、ビニールハウスの建設は不可欠です。しかし、ビニールハウスと一言に表現しても種類や規模、導入する設備によって金額感が大きく変動してきます。

こちらでは、お客さま事例の梅村さんのように栽培を行うために、ビニールハウスを建てる前に知っておきたいポイントをご紹介します。

知っておきたいポイント➀ビニールハウスの構造体

ビニールハウスの価格は、建設面積の大型化や、軒高(柱高)が高くなることによって、ビニールハウス価格が上がる傾向にあります。それに加えて、風速や積雪等の厳しい地域では、土地環境に耐えうる構造体で設計されるためにさらなるコストアップとなります。

ビニールハウス価格を抑える際は、ビニールハウスの性能を損なわない形で、用地に基づく合理的な設計をすることで金額抑制に繋がります。

弊社はお客さまの予算、栽培作物、栽培方式、土地環境をもとにビニールハウス1万棟の建設実績から仕様やビニールハウス建設プランをご提案いたします。

知っておきたいポイント➁被覆材

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの1つ目として被覆材があります。

ビニールハウスの被覆材は農業用ビニール(農ビ)、ポリオレフィン系フィルム(POフィルム)、硬質フィルムなどがあり、耐用年数や製品特性に応じてフィルムの選定をします。性能や耐久性の高い製品を展張の場合、フィルムそのものの価格とともに、施工方法に伴う資材や工事費も高価となります。

耐用年数3~5年の被覆材と15年以上の長期展張型フィルムを比較すると、 100万円以上の価格差が生じるケースもあります。

そのため、立地条件、栽培作物、栽培スケジュール、ご予算などから、お客さまにとって最適な性能(耐用年数、厚み、保温性、透光率、波長、流滴性)の被覆材をご提案いたします。

知っておきたいポイント➂内部設備

ビニールハウスのイニシャルのコストダウン、または費用対効果の検討ポイントの2つ目としてハウス内部設備があります。ハウス内部設備は選択する仕様によって、ビニールハウス本体の価格と同程度またそれ以上の価格になることもあります。

遮光や保温を行う内張りカーテン装置、ビニールハウス内の温度管理を行うための暖房設備やヒートポンプ設備、ハウス内の温度環境の均一化を目的とする循環扇などの空調設備、炭酸ガス施用設備、環境設備や潅水設備など、設備仕様は多岐にわたります。

内部設備の選定に関しても、ビニールハウス建設実績1万棟以上の知見を活かして、栽培作物と目的に適したビニールハウスの内部設備をトータルでご提案いたします。

新規就農者を助ける支援制度

認定新規就農者制度

認定新規就農者制度とは、これからの農業を支える新規就農者を増やし、安定的な新規就農者を地域農業の担い手として育成することを目的にしています。

新たに農業を始める方が作成する青年等就農計画(事業計画書)を各市区町村が認定し、認定を受けた方に対して、早期の経営安定に向けた措置を集中的に実施する制度になります。

認定新規就農者を取得することで、独立して農業を始める際に必要な設備や機械の初期投資資金や所得確保の給付金等の支援策が優先して、取得できる等のメリットがあります。

認定を受けることで得られる支援を下記でご紹介します。

認定新規就農者制度を知る

青年等就農資金

青年等就農資金は、新たに農業経営を開始する新規就農者を対象に、国が無利子で資金を融資する制度になります。実際には国の出資金をもとに、株式会社日本政策金融公庫が融資に関する審査及び諸手続きを行います。

対象となる条件として、認定新規就農者として市区町村から認定を受けた青年(原則18歳以上45歳未満)、効率かつ安定的な農業経営を営むために活用できる知識・技能を有する65歳未満、これに該当する人が役員の過半数を占める法人、農業経営を開始してから5年以内の方も対象になります。

青年等就農資金の融資限度額は3,700万円(特認1億円)になります。利子は返済終了まで無利子であることも新規就農者にとって、力強い支援制度です。返済期間は12年で、据置期間は最大5年以内と設定されています。

資金の使い道も幅広く活用可能であり、施設・機械の導入費や農地の借地料・機械のリース料に関する一括支払いなどでご活用いただけます。

青年等就農資金を知る

経営開始資金

新規就農者育成総合対策「経営開始資金」(旧 農業次世代人材投資資金)は、経営を始めて間もない時期の所得を確保したい方におすすめです。

制度内容としては、規定の要件を満たす認定新規就農者に対して、経営開始から最長3年間、月12.5万円(年間最大150万円)の給付になります。要件としては、就農時の年齢が原則49歳以下の認定新規就農者であることなど5項目を全て満たす方が対象となります。

夫婦ともに就農する場合(家族経営協定、経営資源の共有などにより共同経営者であることが明確である場合)は夫婦合わせて1.5人分の交付も受けることが可能です。

また、複数の新規就農者が法人を新設し、共同経営を行う場合は、新規就農者それぞれに最大150万円を交付される制度です。

経営開始資金を知る

経営発展支援事業

経営発展支援事業は、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、経営発展のための機械・施設等の導入を地方と連携して親元就農も含めて支援する制度になります。

新規就農をされる方に機械・施設等の導入にかかる経費の上限1,000万円(経営開始資金の交付対象者は上限500万円)に対し、都道府県支援分の2倍を国が支援する取り組みになります。

対象となる条件としては、認定新規就農者として市区町村から認定を受けた独立・就農時の年齢が49歳以下であるほか、就農における事業計画書である青年等就農計画に即して主体的に農業経営を行っている方になります。

経営発展支援事業は、補助対象事業費上限1,000万円のうち県支援分の2倍を国が支援する内容です。補助率の例として、国が1/2、県が1/4、本人1/4になります。1,000万円の施設や機械導入費が1/4に抑えられること、助成対象も幅広い用途で活用できることから新規就農者が苦労する資金確保を解決する可能性のある力強い制度です。

経営発展支援事業を知る

イノチオアグリは新規就農・農業参入を支援します

イノチオアグリについて

イノチオアグリは施設園芸(農業ハウスやビニールハウス)に携わり、50年以上の知見がございます。50年以上に渡り、培ったノウハウを活かし、新規就農・農業参入を計画段階からご支援しております。お客さまのご要望や条件に基づいて農場を設計し、栽培方法や作業計画を一緒に考え、事業収支の試算までの事業計画の策定をお手伝いします。 さらに、圃場研修や専門指導員によるサポートで、事業開始の準備期間から栽培開始後の運営管理や労務管理に至るまで、農業ビジネスの最前線で培ったノウハウを活かしてお客さまの農場運営をトータルサポートします。

イノチオアグリが行う新規就農支援とは?

新規就農は一次産業ですが、会社を興すことと何ら変わりません。新規就農後の農業経営を行うための経営資源である資金確保や経営、営農技術の習得からビニールハウス・機械などの経営基盤構築が必要になります。新規就農には、十分な事前準備が不可欠です。

弊社は新規就農までの課題である、就農計画の提案や新規就農で活用できる融資制度のご紹介、就農までに必要な事業計画書作成支援やビニールハウスの図面、概算見積をトータルで支援いたします。ご要望ございましたら、下記お問い合わせからお申込みください。